旬とは?

その野菜の味が最もよい食べごろの時期を旬といい、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、手頃な価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。

旬の「走り」の野菜はみずみずしくフレッシュ。生のまま、あるいは水分を生かした調理方法が適しています。「盛り」はベストタイミング。栄養価が高く価格も安くなるので、いろいろな調理法でたっぷり楽しんで。「名残」は水分量が少なくなり味が凝縮されるので加熱調理がおすすめです。

2月が「走り」の野菜

春を告げる山菜やサヤエンドウが出回り始めます。山菜のほろ苦さやサヤエンドウの明るい緑色で一足早く食卓に春を呼び込んではいかがでしょうか。素材を生かした調理法がおすすめです。

サヤエンドウ

エンドウマメを若採りしたもので、さやごと食べます。カロテンを多く含む緑黄色野菜で、ビタミンC、食物繊維も豊富。豆の部分には、ビタミンB1やタンパク質、必須アミノ酸も含まれています。小型のキヌサヤ、肉厚のスナップエンドウなどの品種があります。サラダ、炒め物、煮物のほか汁物の具にも。保存はビニール袋に入れて冷蔵庫で1~2日。

調理例:卵とじ、バター炒め、ツナマヨネーズあえ

タラノメ

タラノキの若芽で、芽が裂けて姿を見せたばかりのものを摘み取ります。香りがよくほろ苦い味わいで山菜の王様と呼ばれています。天然物は桜の開花から1週間が採取の目安。近年はハウスで栽培されたものも多く出回り、一足早く春を告げてくれます。栄養素は、ビタミンK、葉酸、カリウムを多く含んでいます。アクが少ないので、ゆでておひたしやあえ物などに。天ぷらは中温で素揚げがおすすめ。保存は湿らせた新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫で2~3日。

調理例:天ぷら、ごまあえ、ベーコン巻き

フキ

日本原産の野菜で、茎のシャキシャキとした歯ざわりとほろ苦さを楽しみます。95%が水分で栄養素はカリウムが豊富。現在、栽培されているフキはほとんどが愛知早生(わせ)種で、全生産量の3分の2を愛知県産が占めています。2月ごろから出回りはじめ、4月に最盛期を迎えます。板ずりをしてからゆで、水にさらして皮をむき、煮物などに。購入後はすぐに茎と葉を切り分け、ゆでて水にひたした状態で保存します。

調理例:炒め煮、きんぴら、フキと油揚げの含め煮

2月が「盛り」の野菜

2月が盛りの野菜には春の山菜もあれば、寒さでおいしくなる冬野菜もあり、季節の移り変わりが感じられます。タアサイやメキャベツなど、使う機会が少ない野菜を、価格が落ち着く盛りの時期に試してみてはいかがでしょう。

ウド

山菜の一つで、独特の香りとシャキシャキとした食感、ほのかな甘みを楽しみます。暗所で光を当てずに栽培したものを「ウド」または「軟白ウド」、根株に盛り土をして栽培したものを「山ウド」と呼んでいます。水分が多くカリウムが豊富です。皮を厚めにむいて切り、酢水にさらしてアクを抜き、酢みそあえやサラダに。

調理例:酢みそあえ、ウドとチキンのサラダ、ウドと牛肉の煮物

タアサイ

中国原産の野菜で、2月ごろに収穫量が多いことから日本では如月菜(きさらぎな)と命名されました。日中国交回復を機に中国から再輸入され、現在はタアサイの名で全国的に栽培されています。耐寒性があり、寒さにあてて栽培されたものがおいしいとされています。カロテンを豊富に含み、ビタミンB1・B2、鉄、カルシウムも多い。葉は硬そうに見えますが繊維質が少ないので柔らかく、おひたし、あえ物、煮物、炒め物など、どんな料理にも合います。保存は、新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てておきます。

調理例:オイスター炒め、ニンニク唐辛子炒め、かき玉スープ

メキャベツ

キャベツの一変種で、葉柄につくわき芽が結球したものです。「子持ちかんらん」とも呼ばれ、1株から50~60個とれるものもあります。少し苦みがあり、寒くなると球が締まり甘みを増します。カロテン、ビタミンCに富み、ビタミンB1・B2も比較的多く含まれています。ゆでてからサラダ、炒めもの、煮込み、グラタンなどに調理します。保存は、軽く湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:アヒージョ、グリル、メキャベツとジャガイモのポトフ

2月が「名残り」の野菜

鍋やスープ、炒め物などに活躍した冬の葉物野菜がシーズン終盤に入ります。少しでも長く楽しめるように冷凍保存のポイントも紹介します。

ハクサイ

霜にあたると繊維が柔らかくなり、風味も増しておいしくなります。大部分が水分で、葉の肉質は柔らかく、歯ざわりのよい淡泊な味でどんな料理にも使いやすい野菜です。ビタミンCが比較的多く、カルシウムなどのミネラルも含んでいます。冷凍保存は、洗って水分を拭き取り、ざく切りにして冷凍用保存袋で1カ月。凍ったまま料理に使えます。

調理例:中華スープ、白菜とシーフードのうま煮、白菜と豚バラ肉の炒め煮

コマツナ

ハウス栽培が盛んで通年で出回っていますが、12月~2月がおいしい時期。カロテン、ビタミンC、鉄、リン、食物繊維などを豊富に含んでいます。特にカルシウムはホウレンソウの3倍以上。アクが少なく、おひたし、あえ物、炒め物、漬物、汁物など用途は広いです。冷凍保存は、洗って水分を拭き取り、使いやすいサイズに切って冷凍用保存袋に入れて3週間程度。汁物や炒め物には凍ったままで、自然解凍でナムルやおひたしにも使えます。

調理例:中華風スープ、卵とじ、ナムル

ペコロス

小タマネギの別名で、タマネギを密植させて小型化したもの。産地の一つ北海道では、8月下旬~翌年2月下旬までが出荷の時期。栄養はタマネギと同じで、抗酸化作用がある流化アリルをはじめ、ビタミンB1・B2・C、カルシウム、カリウムなどが含まれています。タマネギよりも糖度が高く、小さいサイズを生かして丸ごと調理するのがおすすめ。冷凍保存は、皮をむき、丸ごと冷凍用保存袋に入れて約1カ月。凍ったままスープ、煮込み、グラタンなどに使えます。

調理例:ピクルス、オニオングラタンスープ、ペコロスとミニトマトのグリル

まとめ

冬野菜と春の味覚が同時に店頭に並ぶ2月。まだ寒く雪深い季節ですが、これらの食材を取り合わせた料理で春の訪れを感じることができます。春にかけての短い間に山菜が次々と芽吹いて出回り始めるので、見かけたら献立の一品に取り入れてみてはいかがでしょうか。まだ価格は高めですが、走りを味わうと一足早く春を感じられます。

フキと油揚げの含め煮(左)、ウドのきんぴら(右)

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)