日本の美を満喫する唯一無二のクラシックツアー|RALPH LAUREN Tour d’Elegance Japan 2023

RALPH LAUREN Tour d'Elegance Japan(ラルフ ローレン ツールデレガンス ジャパン)は競技性よりも美しい風景や美食、充実したホテルライフと美しいクラシックカーを審査するコンクールを中心に構成されるツアーイベントだ。絶好の晴天に恵まれた晩秋の甲信越地方を、16台の参加車両が駆け抜けた。

【画像】美しい風景や美食を巡る至極のクラシックカーツーリングイベント「RALPH LAUREN Tour d'Elegance Japan」の様子(写真17点)

2021年に初開催され、2023年に3回目を迎えた「RALPH LAUREN Tour d'Elegance Japan(ラルフ ローレン ツールデレガンス ジャパン)」は、世界で開催されるクラシックツアーの中でも、独自性の高いイベントといえるだろう。タイムの早さや正確性など競技性を重視するクラシックカーラリーが一般的であるなか、ドライブの楽しさを味わいつつも、車以外の部分にも優雅さや美しさを見いだすイベントは、類を見ないものだ。

ルールやレギュレーションは存在するものの、定められたいくつかのスポットさえ経由すれば、ある程度の寄り道やコースアウトさえも許容される。窮屈な規定にとらわれるより、美しい風景に足を止め写真に収めたり、参加者同士の交友を深めることを推奨されることこそが、このツアーの醍醐味といえるだろう。

2023年は11月19日から21日の3日間にわたって開催されたが、スタート地点となった東京・表参道の「ラルフ ローレン表参道」では、前日に前夜祭のパーティが開催された。まずは参加者同士が顔を合わせ、自己紹介を互いに行い、親睦を深めることで、翌日からのツアーに対するマインドを高めるイベントとなった。

Day1はラルフ ローレン表参道の隣に位置するキャットストリートへ、参加車両16台が整列した。この日は原宿神宮前商店会が主催するファッションイベント「ウラハラフェスオータム」が開催。Tourd'Eleganceはこのイベントのひとつとして、クラシックカーの展示とスタートイベントが行われ、午後からはキャットストリートに敷かれたレッドカーペットをファッションモデルがランウェイするというプログラムとなった。朝から多くの人が、錚々たるクラシックカーを見学するために集まった。

Tour d'Eleganceの特徴のひとつが、参加者相互の投票によるコンテストだ。「Most Sporty Car」「Most Desirable Car」「Most Original Car」の3つの部門について、もっとも優れている車両を参加者が投票し、評価するというもので、早速このキャットストリートで審査と投票が行われた。さらに2023年の独自の取り組みとして、「Favorite Car ByPublic」を新設。集まったギャラリーの皆さんに、どの車がいちばん好みか投票してもらうという取り組みだ。

Ralph's Coffeeでのドライバーズミーティングと東郷神社による交通安全祈願が行われ、いよいよ16台がスタート。首都高速、東名高速を西へと走り、神奈川県箱根町の「箱根リトリート料亭俵石」と「箱根ラリック美術館」へ立ち寄ったあと、この日は静岡県熱海市の「熱海パールスターホテル」がゴールとなった。

熱海パールスターホテルは、熱海サンビーチと相模湾を眼下に見下ろす、熱海随一の絶景が堪能できるプレミアムリゾートホテル。ダイニング「ローカルガストロノミー」でディナーを楽しんでいるときに、サプライズが始まった。この日はちょうど、年に20日ほど行われる「熱海海上花火大会」が実施される日だ。事前に知らされていなかった参加者たちは、大迫力の光と音の迫力を驚きとともに満喫していた。

Day2は280kmあまりの距離を走るハードな1日。幸い、初日に続いて好天に恵まれ、オープントップモデルによる参加者も快適な環境でドライブを楽しんだ。熱海から三島へ向かい、伊豆縦貫道、新東名高速、東富士五湖道路を経由して河口湖へ。「ハーブ庭園旅日記富士河口湖庭園」では、晴れわたった空にくっきりと富士山の姿を眺めることができた。

国道137号線で御坂峠を越え、中央道を西に向かって、最初の経由地は山梨県小淵沢町にある「中村キース・ヘリング美術館」。31年という短い生涯に多くの作品を残した伝説のストリートアーティストを扱った、世界で唯一の美術館を見学した。

続いて北杜市の台ヶ原地区へ。甲州街道の旧台ヶ原宿で270年以上の歴史を持つ酒蔵「七賢」が直営するレストランでランチを、さらに向かいに位置する和菓子の老舗「台ヶ原金精軒」でスイーツを味わった。

ここからは八ヶ岳の山麓を北上するワインディングロードで、ドライブを堪能。晩秋の風が心地よく、澄み渡った空気は心を洗わせてくれるかのような爽快感がある。高原に差し掛かって寒くなってきたタイミングで、八ヶ岳東麓の「滝沢牧場」でコーヒーブレイクと記念撮影。新鮮なホットミルクやホットチョコレートで体を温め、再び北上。国道141号と中部横断道を経由して、ゴールの長野県御代田町にある「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」へと全車が到着した。

3日目は御代田町から小布施町まで北へ向かい、南下して浅間山の東側をぐるりと回って、再び御代田へ戻ってくる、長野県北部を満喫する周回ルート。最初に立ち寄ったのは「小諸蒸留所」は軽井沢蒸留酒製造が2023年6月に生み出したばかりの、ウイスキーの蒸留所。世界的なマスターブレンダーであるイアン・チャン氏が新しいジャパニーズウイスキー造りをおこなっている拠点だ。残念ながら、最初のウイスキーが誕生するまでには最低でも3年の年月が必要ということで、今回は製造施設の見学を行った。

旧北国街道の宿場町で、日本の道百選にも選ばれている海野宿を走り抜けたあとは、上信越道を北上。歴史的な街並みが広がる小布施町の中心部に位置する、和菓子の老舗「小布施堂本店」のレストランで、和食のコース料理を味わった。小布施は栗の産地として知られており、メニューにも秋が旬の栗をふんだんに使った料理が並び、最後は絶品のモンブランで締めくくった。さらに小布施堂の主人・市村次夫氏が自ら、葛飾北斎の作品を展示する「北斎館」など小布施の街並みを案内した。

小布施から御代田への帰路は一般道。国道406号で菅平高原を抜け、鬼押出し園に差し掛かるところで、正面に浅間山の偉容が広がった。Day1・2の富士山、Day2の八ヶ岳に続き、Day3は浅間山を好天のなかで堪能する、自然の美しさを実感できるドライブコースはまさに圧巻。さらに旧軽井沢を抜けて、最後の経由地である軽井沢千住博美術館へ到着した。

今年のツアーはテイストの異なる3つの美術館を訪れることが、テーマのひとつでもあった。Day1にはフランスを代表する工芸家であるルネ・ラリックの作品を収めた箱根ラリック美術館へ。Day2にはアメリカのストリートアートの先駆者としてダウンタウンを中心に活躍したキース・ヘリングの業績を紹介する中村キース・ヘリング美術館へ。そしてDay3は代表作のウォーターフォールのほか、大徳寺聚光院や高野山金剛峯寺の襖絵など、日本画の存在や技法を世界に認知させた千住博氏の作品が集う軽井沢千住博美術館へ。各日、時代も国もテイストも異なる美術館を訪れた。

16台の参加車両は多少のトラブルはあったものの、参加者全員が無事にゴールの「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」へ到着。ラルフ ローレン ジャパンのCEOであるジェイ・キンプトン氏をはじめ、多くのスタッフから拍手で迎えられた。

最終日はブラックタイによるガラディナーと、コンテストの授賞式が開催された。参加者相互による選出の「Most Sporty Car」には1957年メルセデス・ベンツ190SLRが、「Most Desirable Car」には1965年ジャガーEタイプロードスターが、「Most Original Car」には1969年アルピーヌA110が選ばれた。また表参道・キャットストリートに訪れた人々による一般投票「Favorite Car By Public」では、1929年ブガッティ T44 Corsicaが選出された。

盛況に終わったTour d'Elegance。最高の食事と三者三様の魅力を持つ美術館、ホスピタリティあふれるホテルに加え、3日間とも好天だったことで、走って楽しいドライブルートに美しさという魅力が新たに加わったことは僥倖だった。日本の原風景から自然の豊かさまで満喫できる特別なクラシックカーツアーは、きっと来年もますます魅力的なイベントとなって戻ってくることだろう。

文:オクタン日本版編集部 写真:尾形和美、佐藤亮太

Words:Octane Japan Photography:Kazumi OGATA, Ryota SATO