ブルペンで投球練習するロッテ・二保旭(撮影=岩下雄太)

◆ 139球の投げ込み

 「怪我せずにまずチームに慣れていければなという感じで初日は入りました」。

 二保旭は、プロ16年目の春季キャンプをピンストライプのロッテのユニホーム、育成選手として迎えた。

 二保は08年育成ドラフト2位でソフトバンクに入団し、プロ4年目の12年に支配下選手登録となり、15年には44試合に登板して6勝1敗5ホールド、防御率3.25でリーグ優勝に貢献。16年4月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、18年に一軍復帰し同年35試合に登板。21年途中にトレードで阪神へ移籍し、同年に4試合に登板したが、22年と23年は一軍登板がなく、23年の10月に阪神から戦力外通告を受けた。同年11月23日にロッテが非公開で実施した入団テストに参加し、11月28日にテストの結果、育成選手として入団することになった。

 このオフの自主トレでは「いい準備をして怪我なくキャンプを迎えられることを意識して、後は環境に慣れることもあったので、1日も早くチームに溶け込めればと思います」ということをテーマにおいて取り組んだ。

 キャンプ初日のブルペンでは「初日にしては球数を投げられました。後は傾斜とフォーム、投げていって早く自分の感覚を掴めたらなという感じです」と、139球の熱投を見せた。

◆ 投球スタイル

 二保の阪神時代の投球を見ると、動かすボールを中心に投げていた印象。自身では投手としてのタイプをどう見ているのだろうかーー。

 「どちらかというと、三振でバッタバッタ斬るタイプではないので、ゾーンで勝負していく。バッターが振った結果、どうなのかというスタイルなので、ストライクゾーンに投げ込める。そこで緩急をつけながら、勝負していけたらなと思います」。

 右の内、左の外に投げているのはシュートなのだろうかーー。「シュートもありますし、カットもありますし、そこは出し入れしているという感じですね」。

 スライダーに関しても、カーブ系のスライダー、縦変化に落ちるスライダーを持っているように見える。「カーブはスピードが落ちて、スライダーはスラーブに近い感じですかね」。

 現在のような投球スタイルに辿り着いたきっかけについて訊くと、「トミー・ジョン手術した後なので、7、8年前くらいですかね。中継ぎから先発をやり始めたくらいの時に、どうしても長いイニングを投げたい。球数を考えた時に、三振をとるスタイルから早く結果を出して、どちらかというとゴロだったり、球数を少なくしていけたらなというところで、やっていった感じですね」と教えてくれた。

 話を再び春季キャンプに戻す。このキャンプでは「自分が持っているのを出していければ、結果次第で使ってもらえると思うので、結果が全てですね。育成という立場もありますし、試合だったり結果を出していかないと支配下になれないと思うので結果を出してアピールができればなと思います」と誓った。

 今年の5月で34歳を迎えるベテラン。支配下選手登録をつかみ一軍で活躍し、同じ世代の社会人に希望を与えるような、“希望の星”になって欲しい。

取材・文=岩下雄太