第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。1月30日(火)には2組の計3局が東西の将棋会館で行われました。このうち、関西将棋会館で行われた糸谷哲郎八段―三枚堂達也七段の一戦は68手の短手数で糸谷八段が勝利。本戦出場に向け好スタートを切りました。
雁木VS右四間飛車
今期のランキング戦2組は本戦出場に向けた2枠を16名で争うもので、予選突破には3連勝が必要です。振り駒が行われた本局は後手となった糸谷八段が雁木の態度を表明してスタート。対する先手の三枚堂七段は左美濃+右四間飛車の攻撃陣を築きます。
糸谷八段が6筋に玉をかわして受け流す方針を見せると三枚堂七段は仕掛けを決行。4筋で大立ち回りが行われた局面では飛車銀交換の駒損ながら、手順に飛び出した角が王手になるため先手好調。加えて左美濃の堅陣は飛車を打ち込まれても響かないのが好都合です。
攻守一転の歩突き
守勢に回る糸谷八段ですがここで受けの勝負手を披露。じっと5筋の歩を差し出したのは空いたスペースに攻防の自陣角を打つ狙いで、実戦もこれが実現して急に先手の攻めが細くなった印象です。ペースをつかんだ糸谷八段はこの角を起点に怒涛の反撃に乗り出します。
三枚堂七段も攻め合いに望みをつなぎますが、駒得を果たした糸谷八段の寄せは正確でした。終局時刻は14時47分、最後は自玉の詰みを認めた三枚堂七段が投了。攻勢に転じてからは鋭く決めた糸谷八段が逆転で2回戦進出を決めています。
水留啓(将棋情報局)