指定暴力団に密着した『ヤクザと憲法』、ミニシアターで異例の観客動員28万人超を記録した『人生フルーツ』、自局の報道部にカメラを向けた『さよならテレビ』など、社会的に高く評価され、大きな話題を呼んだドキュメンタリー作品を制作してきた東海テレビの阿武野勝彦プロデューサーが、きょう31日で同局を退社する。今後はフリーとして活動していく。
1981年に東海テレビにアナウンサーとして入社した阿武野氏は、ディレクター作品の『村と戦争』(95年)で放送文化基金賞、『約束~日本一のダムが奪うもの~』(07年)で地方の時代映像祭グランプリを受賞。プロデュース作品の『とうちゃんはエジソン』(03年)と『裁判長のお弁当』(07年)でギャラクシー大賞、『光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~』(08年)では日本民間放送連盟賞最優秀賞を受賞した。
さらに、東海エリアで放送したドキュメンタリーを映画化する「東海テレビドキュメンタリー劇場」を立ち上げ、18年に菊池寛賞を受賞している。
この「東海テレビドキュメンタリー劇場」の第15弾で、局員として最後のプロデュース映画『その鼓動に耳をあてよ』が、東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開。2月10日(14:15~ ※東海ローカル)には、最後のテレビ作品『いもうとの時間 名張毒ぶどう酒事件 裁判の記録』が、仲代達矢のナレーションで放送される。
阿武野氏は近年、『村と戦争』の舞台である岐阜県東白川村に移住。今後は、同村にある平和祈念館の関連イベントなども手がける予定だという。