JR東日本は30日、上野~大宮間の架線故障(1月23日午前に発生)により東北新幹線と上越・北陸新幹線が広範囲で終日運休となった件について、概況と緊急点検結果、再発防止策などを公表した。
同社は架線トラブルが発生した後の現地確認で、上野~大宮間の上り線において、架線の垂れ下がり、架線張力を調整する「滑車式自動張力調整装置(WTB)」の部品(重錘ロッド)の破断、車両のパンタグラフの損傷を確認。これを踏まえ、「重錘ロッドの破断により垂下した架線下を列車が通過したことで、車両のパンタグラフおよび架線金具が損傷し、架線からの異常な電気を検知したことで、停電発生に至った」と今回の原因を推定した。
これにもとづき、同社管内の新幹線全線で滑車式自動張力調整装置の重錘ロッドを点検し、1月30日早朝までに対象490カ所すべてで異常がないことを確認したという。
追加点検として、色の付いた検査液を用いて表面のクラック(傷)を検出する「浸透探傷試験」による点検を新幹線全線で実施する。東京~大宮間は1月30日早朝までに対象7カ所の点検が完了しており、異常がないことを確認。残りの箇所も6月末までに点検を終える予定としている。
重錘の落下によって架線が垂れ下がる同種の事故を防止するための対策も進める。暫定対策として、東京~大宮間の7カ所で3月末までに重錘ロッドを取り替える。工事完了までの間、万が一、重錘ロッドが破断しても架線が垂下しないよう、ワイヤーによる二重防護措置を施す。車両センターを除く新幹線全線(394カ所)で、7月末までに重錘落下防止金具を取り付ける。
恒久的な対策として、車両センターを含む新幹線全線(約440カ所)で、滑車式自動張力調整装置(WTB)から、メンテナンスが容易で構造が単純な「ばね式自動張力調整装置(STB)」への取替えも進めるとしている。