東京での住まい探しをしたことがある人なら、タワマン暮らしに一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。高層階からの眺望、ラグジュアリーな共用施設など、タワマンならではの魅力があります。一方で、物件価格や家賃が高いことで、早々に住むことを諦めてしまう人も多いのがタワマン。そこで、タワマンに住むには年収いくら必要なのか、購入時だけでなく、その後の生活まで考えて、無理のない年収を導き出してみました。
東京のタワマンいくらで買える?
一般的に、20階以上の高層マンションをタワーマンション(通称タワマン)と呼びます。東京のタワーマンションの価格は、東京23区と東京都下では大きく価格が異なり、東京23区のタワーマンションの価格を、不動産サイトで検索してみると、ざっくり5,000万円~5億円という価格帯になっています。港区では10億円を超えるものもあります。価格は立地や築年数、階層などによってさまざまですが、安くても5,000万円前後はすると考えていいでしょう。都心寄りで駅近、新築、高層階となると価格は数億円に跳ね上がります。
物件価格から年収を割り出す
5,000万円から東京のタワーマンションが購入できるとして、5,000万円の物件を無理なく買える年収を導き出してみましょう。一般的に、住宅ローンを組んで物件を購入する際に、望ましいとされる条件は次の二つです。
- 物件価格の20%の頭金を用意する
- 月々の返済額を手取り収入の25%以内にする
この条件をもとに年収を割り出すと、年収は約1,080万円になります。
<5,000万円の物件を購入>
頭金(20%): 1,000万円
借入金: 4,000万円
※金利1.8%(固定金利・元利均等返済)、借入期間30年で計算
月々の返済額(手取りの25%):
14万4,000円
手取り収入
57万6,000円(月収の80%)
年収
1,080万円(月収72万円×12ヵ月+ボーナス月収3ヵ月分)
ここではボーナスを入れていますが、ボーナスなしであれば年収864万円になります。月々の返済額を25%の上限で計算しているため、実際はもう少し余裕がほしいところです。
以上のことから、5,000万円の物件を購入できる年収は、900万円~1,100万円と考えられます。
これが東京でタワマンに住むための無理のない年収の最低ラインとなります。
住み続けるための費用は?
東京でのタワマン生活は、物件を購入したら終わりではありません。住み続けている間かかる費用も考慮する必要があります。どんな費用があるのかみていきましょう。
*固定資産税・都市計画税
*火災保険・地震保険
*管理費
*修繕積立金
*駐車場代
固定資産税・都市計画税
固定資産税は、土地や建物を取得した翌年度から課税されます。固定資産税評価額に1.4%の税率をかけた額を、都市計画税とあわせて年4回に分割して納付します。第1期に全額納付することも可能です。
火災保険・地震保険
住宅ローンを組んで物件を購入した場合は、火災保険は必ず加入する必要があります。一方、地震保険は、加入は必須ではありませんが、地震が原因の火災は火災保険では補償されないので、地震保険はできれば入っておきたいものです。地震保険は火災保険とセットでなければ加入できません。3LDKのマンションで保険期間5年であれば、地震保険とあわせて10万円程度が目安となるでしょう。
管理費
管理費は共用施設が充実しているマンションほど高くなります。タワーマンションは共用施設の豪華さが売りになっている面もあるので、一般的なマンションに比べて高額になります。管理費はマンションごとに管理規約で定められており、専有面積が広くなるほど管理費は高くなります。マンションごとに異なりますが、70平米で月額2万円~3万円程度が目安となるでしょう。
修繕積立金
修繕積立金は、通常10年~15年に一度のサイクルで行われるマンション全体の大規模修繕のために積み立てておくお金です。タワーマンションなど大規模マンションほど高くなる傾向があります。また、将来の修繕費用が不足すると予測される場合には、値上がりする可能性があります。マンションごとに異なりますが、70平米で月額1万円~2万円程度が目安となるでしょう。
駐車場代
車の所有者は駐車場代も毎月かかります。駐車場代は、主に駐車場の保守点検やメンテナンスの費用に充てられ、管理会社に支払います。金額はマンションによって変わりますが、周辺の駐車料金に近い価格で設定されることが多く、地方より都市部の方が高くなります。相場は月額5,000円~3万円ほどになりますが、東京の都心部では5万円以上かかるエリアもあります。
東京のタワマンに住む場合、月に5万円~10万円は維持費として継続的にかかってくることは想定しておきましょう。
タワーマンションの実態は?
不動産経済研究所の「超高層マンション動向2023」によると、全国で2023年以降に、完成が予定されている超高層マンション(20階建て以上)は287棟に上り、1年前に比べて23棟増加しています(2023年3月末時点)。そのうち東京23区内は113棟になります。東京都心部や湾岸エリアだけでなく、地方中核都市でも超高層大規模開発や複合再開発プロジェクトなどが数多く控えているとのことで、今後もタワーマンションの建設は増えていくと思われます。
このように、タワーマンションが増え続けている中で、気になるのがタワーマンションのその後です。国土交通省の「マンションを取り巻く現状について」の資料によると、超高層マンション(20階以上のマンション)は2000年代に入ってから大幅に増加しており、特に2003~2010年に多く供給され、これらのマンションの多くが大規模修繕工事を行う時期になっていると指摘されています。
さらに、同資料には、高層マンションは賃貸の割合がマンション全体に比べると高く、また、区分所有者の通常総会への出席率もマンション全体よりも低い傾向があるとの調査結果もあり、大規模修繕工事に向けて合意形成が困難になることが予想できます。
都心のタワーマンションは投資目的で所有されているケースも多く、海外在住の区分所有者も一定数いると思われます。そうした人たちにマンションの運営に関する決議の合意を取ることが難しいことは容易に想像できます。
資産価値が高いと思われるマンションほど、投資を目的に買われるため、実際に住んでみたら、お隣は賃貸、そのお隣は居住実態がないなど、住み心地がいいとは言い難い状況になることもあります。特に新築マンションは住み始めるまで分からないので注意が必要です。
まとめ
東京でタワーマンションに住むためには、少なくとも年収1,000万円程度が必要であり、月々の維持費は5万円から10万円はかかると見ておいた方がいいことをお伝えしました。
マンションは立地や価格、広さなどで、住人の属性が変わってきます。投資物件は都心が人気であり、ファミリータイプのマンションは郊外に多くあります。住んでいる人たちの傾向はそれぞれのタワーマンションで違いがあります。憧れだけではなく、長く住み続けられるかどうかも考えて選択したいものですね。