第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)は本戦トーナメント1回戦が進行中。1月29日(月)には山崎隆之八段―伊藤匠七段の一戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの持久戦を124手で制した伊藤七段が2回戦進出を決めました。
令和の相掛かり
本局は1回戦に残された最後の対局、これで本戦トーナメントベスト8が出そろいます。振り駒が行われた対局は山崎八段の先手番で相掛かり調の出だしへ。対して後手の伊藤七段は飛車先の歩交換を保留して腰掛け銀調の持久戦策を打ち出します。
序盤の駆け引きで3三金型の愚形を強いられた伊藤七段ですが、戦いのなかでうまく陣形を整備。左辺をツノ銀雁木の好形に組み替えて戦いの時を待ちます。手に困った先手が自陣に手を入れたタイミングで中央の歩を突っかけたのが好タイミングの仕掛けでした。
一気呵成の玉頭攻め
素直に応じては受けがない山崎八段も工夫の受けで応じますが、勢いに乗った伊藤七段の攻めは止まりません。中央でガツンと銀をぶつけて玉頭戦に持ち込んだのが金銀の厚みの違いを主張する決め手。8筋の壁銀がたたって先手が強く戦えないのを見越しています。
終局時刻は16時8分、最後は自玉の詰みを認めた山崎八段が投了。中盤の作戦勝ちをうまく具体化することに成功した伊藤七段が快勝で2回戦進出を決めました。伊藤七段の次戦の相手は兄弟子の斎藤明日斗五段と決まっています。
水留啓(将棋情報局)