藤井聡太王将に菅井竜也八段が挑戦する第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は、第3局が1月27日(土)・28日(日)に島根県大田市の「国民宿舎さんべ荘」で行われました。対局の結果、向かい飛車対居飛車の対抗形を94手で制した藤井王将が開幕3連勝として防衛にあと1勝と迫りました。
菅井八段の積極策
開幕連敗で苦境に立たされた菅井八段が選んだのは角交換型向かい飛車。ノーマル三間飛車を主力としてきた菅井八段ですが、局後「同じ戦型が続いていたので」と変化をつけたかった意図を明かします。対する藤井王将は自玉を左美濃に収めて戦いに備えました。
菅井八段は7筋の歩を突っかけて局面を打開。風通しのよくなった同筋に飛車を回ったのは「戦いの起こった筋に飛車」のセオリー通りの攻めですが、この手を境に局面の主導権は藤井王将へ。たたきの歩で強く銀を引き付けたのが読みの衝突を恐れない好手です。
藤井王将が3連覇に王手
2日目に入り戦いは本格化。藤井王将は馬を主軸に大駒の押さえ込みを目指しますが、誤算があり飛車角駒交換を余儀なくされます。開き直った藤井王将が5筋に歩を垂らした局面が分岐点となりました。ここは角打ちで攻め合いを望めばもうひと山あったという結論に。
実戦で菅井八段が選んだ手順はと金作りを拒否して辛抱を重ねる意味合いですが、こうなるとしばらく攻めのターンは回ってきません。終局時刻は16時41分、形勢の開きを認めた菅井八段が投了。最後まで攻め切った藤井王将が快勝で開幕3連勝を飾りました。
一局を振り返ると、左辺の攻防でポイントを稼いだ藤井王将がその貯金を生かして中盤を乗り切った形です。藤井王将の先手番で迎える第4局は2月7日(水)・8日(木)に東京都立川市の「オーベルジュ ときと」で行われます。
水留啓(将棋情報局)