女優・モデルとして活躍する若月佑美が、地上波連続ドラマで初めて主演を務めることになった。現在ABCテレビ・テレビ朝日で放送されているドラマ『セレブ男子は手に負えません』(ABCテレビ毎週日曜23:55~、テレビ朝日毎週土曜26:30~、TVer・ABEMAで見逃し配信あり)は、小さい頃から結婚に憧れながらも、ある出来事をきっかけに恋を封印したヒロインが、ひょんなことから高級ペントハウスの管理人となり、超セレブ男子たちと同居生活を送ることになるというストーリー。
そんな今作に、若月はどのような思いを胸に主演という大役に挑んだのか、話を聞いた。
できることが増えてきた今、主演をやれてうれしい
――地上波連ドラ初主演、おめでとうございます。ドラマが決まったときは、どのようなお気持ちになりましたか。
すごくいいタイミングでお話をいただけたと感じています。私自身、俳優として主演の方を脇でしっかりと支えて、その中でストーリーに影響を与えられるようなエッジの効いた存在になれたらと思っていました。そのためには、主演の方のお気持ちもしっかりと理解したい。スケジュールの忙しさやセリフの量など、現実的な部分も経験して理解した上で寄り添えたらと思っていましたし、いろいろな人から影響を受ける真ん中の立ち位置で翻弄されていくような役を経験したいと思っていたところでした。本当にいいタイミングでしたね。
――主演を支えるお芝居のためにも、自分が主演の立場を経験してみたい、と思っていたところだったんですね。
もし俳優業を始めてすぐに主演って言われていたら、きっと右も左も分からずに、自分のことで手一杯になってしまって、思ったように動けなかったかも知れません。俳優になって少し時間が経ち、現場でのあり方も少しは分かってきて、私にできることが増えてきた今、主演という立場で演技ができることを、とてもうれしく思っています。これまで、いろんな方とお芝居してきた中で、演技に正解も不正解もないということを教えていただきました。だからこそ、自分の芝居を出せるようにならなければと思っています。相手からいただいて返す“受ける芝居”と、ちゃんと自分から“発信していく芝居”の両方ができないといけないですから。主演という立場は、0から100までちゃんと自分から出して、向き合わなきゃいけない立ち位置。私にとって、チャレンジです。
――セレブ男子たちと同居するヒロインの物語ですが、ストーリーについては、どんなところに魅力を感じていますか。
守られる系のヒロインじゃないところが、すごくいいなって思っています。管理人という立場として下から出ることはあるんですけど、人間同士で話しているときは、セレブ男子たちともきっちり対等に話していて、そこは自分自身が視聴者として見たとしても気持ちがいいです。物怖じせずにグイグイと自分を貫いていて、それを魅力的だと思ってくれている人もいる。それが正解! と見ている人がきっと応援したくなるんじゃないかな。
――主人公の百瀬ひかるは、小さい頃から結婚に憧れながらも恋を封印している女性です。役どころについてはどのような印象ですか。
ひかるを演じるのは、難しかったですね。ひかるは、分かりやすい言葉で言うと、天真爛漫とか、物怖じしないとか、頑張り屋さん、努力家、っていう感じ。でも迷うときや落ち込むときもあって、そこはすごく人間味があるんです。むしろ、そこがいい意味で人間らしすぎて、難しかったですね。セレブ男子たちの誰と最終的に恋に落ちるのか、その迷い方も人間らしくて……分かりやすく答えを出してしまうこともできるんですけど、優しさを持ちすぎているがゆえに答えを出せなくて、ズルズルと引き延ばしてしまうようなところがひかるにはあるんです。自分だったらすぐに答えを出しちゃうので(笑)、そういうところはキャラクターに頑張って寄り添いました。
――ひかるは、料理に掃除と完璧に近い家事スキルがありながらも、おっちょこちょいな部分もありますよね。
私自身、おっちょこちょいな部分なんて絶対に見せずに生きていきたいタイプなので、そこも難しかったです。ひかるを演じていても、私自身としては「どうしてそうなるの!」ってツッコんじゃう(笑)。たぶん、そこがカワイイポイントでもあるので、手を抜かずにやりました。でもやりすぎると女性の敵っぽく見えてしまうから、ダメなんですよね。リアルさもありつつ、でもコミカルでカワイイ印象になるよう、監督と話し合いながら演じました。例えば驚くシーンでリアルとコミカルの間くらいでやってみたら、監督から「ここはもうコミカルな面白パートにしちゃうから、全開に面白いほうに振って!」とオーダーをいただいたりしましたね。
掃除や料理で自分以外にも喜んでくれる人がいるって最高
――若月さん自身は家事って得意ですか?
お料理はすごく好きです。掃除も、トイレ掃除とかコンロ周りとかの掃除が好きで……なんで好きか、理由は分からないんですけど(笑)。キレイになった! っていう達成感かな? だから、ひかるのような管理人の仕事はいいなって思います。自分がめちゃくちゃ頑張った結果、部屋がキレイになって、それを別の人が喜ぶって、最高ですよね。自分の部屋だと自分が満たされて終わりですけど、管理人だと喜んでくれる人がいるっていうのがいい。そういう仕事って幸せだと思います。
――得意料理はあるんですか?
凝った料理だと、ローストビーフ。でも凝らなければ何でも作るんですよ。冷蔵庫を開けて、余っているものを頭の中で組み合わせて作っちゃいます。これとこれの賞味期限が早いから使わなきゃ、とかで決めていきます。そもそも、このお料理を作ろう! って決めて買い物に行かないんですよ。安いから買っておこう、これおいしそうじゃん、みたいな感じで買って、作るときに冷蔵庫を見て決めるので、具体的な料理名がないんです(笑)。父がそういうタイプだったんですよね。だから、家族譲りです。人に振る舞うのは緊張もするし、普段は良いもの食べているんじゃないかとか、いろいろ考えてしまうんですけど、自分が想像していた以上に喜んでもらえたら、もう最高です!
――主演として、大切にしたことはなんでしょうか。
頑張ることをやめない。それだけは決めていました。体調的にしんどいときもあったんですけど、気を使われるよりは使うほうがいいので、絶対に「主演だから」と気を使われることのないようにしたかったんです。周囲にケアをさせるようなことをしたくなかった。言葉で「頑張るぞ!」っていうタイプではないので、現場にいち早く入るとか、やると決まったときにすぐに立つとか、すごく当たり前のことなんですけど、それが士気を高めることにも繋がればいいなと思っていましたね。
1994年6月27日生まれ、静岡県出身。2011年から乃木坂46で1期生として活動し、2018年11月にグループを卒業。その後は女優としてドラマ『今日から俺は!!』、『私の家政夫ナギサさん』、『共演NG』、『アンラッキーガール!』、『ユーチューバーに娘はやらん!』、『invert 城塚翡翠 倒叙集』、『ワタシってサバサバしてるから』、『王様に捧ぐ薬指』、『何曜日に生まれたの』、映画『ヲタクに恋は難しい』、『劇場版ラジエーションハウス』、『ブラックナイトパレード』、Netflix『桜のような僕の恋人』、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』などに出演。ファッション誌『Oggi』で美容専属モデルを務め、モデルとしても活躍している。2023年にはフォトエッセイ『履きなれない靴を履き潰すまで』を発売。
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