今週(1月22日~)、来週と、主要な中央銀行の今年最初の政策会合が開催されています。いずれも、金融政策の現状維持が決定ないし見込まれるものの、注目は今後の金融政策の変更に関して、市場に向けて中央銀行からどのようなシグナルが発せられるかという点です。日本銀行(以下、日銀)は4月ごろのマイナス金利解除が有力視されており、米FRB(連邦準備制度理事会)、ECB(ユーロ圏)、BOE(英国)は4~5月の利下げが予想されています。


日銀は現状維持を決定

さて、22-23日の日銀の金融政策決定会合では全員一致で現状維持が決定されました。大規模金融緩和、いわゆる長短金利操作付き量的・質的金融緩和が継続されました。政策金利はマイナス0.1%、無制限の国債購入によって長期金利(10年物国債利回り)はゼロ%程度に維持されました。長期金利は1.0%を上限の「目途(めど)」とし、上限を設けずに必要な金額の長期国債の買い入れが行われます。公表文では、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するために、粘り強く金融緩和を継続していく意向が表明されました。

物価目標実現の確度は「少しずつ高まっている」

もっとも、決定会合の結果判明と同時に公表された「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」や植田総裁の記者会見では、物価目標を実現する確度は「少しずつ高まっている」との判断が示されました。金融緩和を修正し、マイナス金利を解除する(=利上げを開始する)タイミングが視野に入りつつあるということでしょう。

4月にマイナス金利解除か

植田総裁は目標実現の確度は高まっているとしつつも、会見での記者の質問に対して、それがどの程度か、そして利上げまでの距離については、現時点で「定量的な把握は難しい」と回答。今後の政策会合で最新のデータを基に都度判断するとの姿勢は崩しませんでした。ただし、記者からは4月のマイナス金利解除を前提とするかの質問も多く出されましたが、重要なのは植田総裁がそれらの前提に異を唱えなかったことかもしれません。

マイナス金利解除の条件とは

キーワードは「賃金と物価の好循環」です。2%の物価上昇率をサポートするのに十分に賃金が上昇すれば、マイナス金利解除の判断もありうるのでしょう。ただし、春闘(主に大企業)の結果だけではなく、中小企業の状況や企業の収益状況、労働コストの価格への点か状況なども含めて、総合的に判断するようです。金融市場では「春闘の結果を確認して4月にマイナス金利解除」とのシナリオが根強いですが、一部には「春闘の結果が反映されるマクロの賃金統計を確認して6-7月にマイナス金利解除」との見方もあるようです。

3月会合で新たなヒントは出るか

次回の日銀の金融政策決定会合は3月18-19日に開催されます。今年の春闘の集中回答日は3月13日。春闘の結果だけを受けてマイナス金利を解除する可能性は高くないでしょうが、それを一つの判断材料として、4月あるいはそれ以降に向けて「マイナス金利解除までの距離」について何らかのヒントが出されるか、大いに注目でしょう。