第37期竜王戦(主催:読売新聞社)は1組の出場者決定戦がスタート。1月25日(木)には豊島将之九段―斎藤慎太郎八段の一戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀の熱戦を151手で制した斎藤八段が本戦出場に向け一歩前進しました。
激戦の出場枠争い
本局は5位決定戦の開幕局。羽生善治九段、永瀬拓矢九段ら9名からなるトーナメントを勝ち抜いた1名が本戦出場権を手にします。振り駒が行われた本局は両者の息が合って角換わり腰掛け銀へ。後手の豊島九段は右玉に組み替えて早くも手待ち作戦の様相です。
千日手含みの様子見合戦のなかで先手の斎藤八段は着実にポイントを稼ぎます。中央の位を取ったのは敵陣の発展性を奪いつつ右銀の動きを楽にする大きな一手。類似の定跡と比べて後手の囲いが矢倉でなく雁木である点がどう作用するか。これが局面のテーマです。
斎藤八段が攻め切って快勝
後手が歩をぶつけてきたところで斎藤八段は本格的な仕掛けを開始。手にした桂を盤上六段目に控え打ったのが「桂は控えて打て」の格言通りの好手でした。放っておくと雁木の銀に対して大きなクサビの歩が入るため、後手はこれを手抜くことができません。
豊島九段もなんとかスキを縫って反撃を目指しますが、斎藤八段の猛攻は止まりません。後手の銀が逃げた場所に角を叩き込んだのが豪快な決め手。瞬間的に角銀交換の駒損でも、先に打った桂が自然に跳躍できては先手の攻めが切れなくなりました。
終局時刻は21時32分、最後は豊島九段の王手ラッシュをかわした斎藤八段が快勝で次回戦進出を決めました。一方敗れた豊島九段は2組降級が決まっています。
水留啓(将棋情報局)