◆ センバツ出場校がいよいよ発表
1月26日、第96回選抜高校野球に出場する32校が発表される。今回から21世紀枠が3校から2校に減少したほか、各地区の割り振りも東北と東海が2校から3校に増加し、中国と四国がこれまでは合計5校だったものが2校ずつへと変更となった。また、昨年の明治神宮大会で星稜(石川・北信越代表)が優勝したことによって、北信越は通常の2校に加えて神宮大会枠が与えられて3校が選ばれることが決まっている。果たして各地区の代表校、そして21世紀枠はどこになるのか。昨年の秋季大会の戦いぶりから予想してみたい。
【北海道の出場校予想】
北海(北海道)
【東北の出場校予想】
青森山田(青森)、八戸学院光星(青森)、学法石川(福島)
北海道は1枠ということで、秋の北海道大会を制した北海が順調に選ばれるだろう。東北は予想が難しい。秋の東北大会の決勝に進んだ青森山田(青森)と八戸学院光星は当確。意見が分かれそうなのが、3枠目。同大会の準決勝で敗れた一関学院(岩手)と学法石川が有力な候補となるが、筆者は学法石川を推したい。
両校とも、2回戦と準々決勝の2試合はロースコアの接戦で勝ち上がるなど、守りが持ち味のチームだ。チーム打率を比べると、学法石川が.240に対して、一関学院は.155。長打の本数は、学法石川が4試合で6本、一関学院は3試合で1本と、打力に大きな開きがある。
一関学院を推す材料としては、岩手県大会を制しているほか、東北大会で優勝した青森山田に敗れている点が挙げられる。しかしながら、両チームの戦いをフラットに評価すれば、学法石川が上と判断される可能性が高いのではないか。
【関東・東京の出場校予想】
常総学院(茨城)、作新学院(栃木)、健大高崎(群馬)、桐光学園(神奈川)、山梨学院(山梨)、関東一(東京)
毎年、高校野球ファンの間でも議論になる関東と東京の6校。秋の関東大会で4強に進出した、作新学院、山梨学院、常総学院、健大高崎に加えて、東京都大会で優勝の関東一は確定だ。
最後のイスを争うのは、関東大会で準々決勝に進出した中央学院(千葉)と桐光学園、そして、東京都大会準優勝の創価(東京)。
―3校の戦いぶりは、どこが選ばれても全くおかしくないが、筆者はわずかの差で桐光学園と予想した。その理由は、関東大会の準々決勝が延長タイブレークの末の敗戦だったためだ。また、強豪ひしめく神奈川県大会の決勝で、横浜を破って優勝している。これは、大きなプラス要因。それに加えて、エースの法橋瑛良(新3年)が、関東大会2試合、20回を投げて自責点4、防御率1.80と安定しており、こうした点も評価できる。
【東海の出場校予想】
豊川(愛知)、愛工大名電(愛知)、宇治山田商(三重)
東海は、秋の東海大会で優勝の豊川、準優勝の愛工大名電が当確。残る3枠目は、準決勝で豊川をあと一歩のところまで追いつめた宇治山田商が選ばれると予想した。対抗馬の藤枝明誠(静岡)も粘りは見せたが、準決勝で愛工大名電に序盤から圧倒されて10失点を喫している。ここはマイナス評価となるだろう。
【北信越の出場校予想】
星稜(石川)、日本航空石川(石川)、敦賀気比(福井)
北信越は3枠。明治神宮大会を制した星稜と、秋の北信越大会で準優勝だった敦賀気比が当確。最後の枠は、日本航空石川(石川)と北陸(福井)の争いになる。筆者は、日本航空石川が有利と見ている。
日本航空石川は、石川県大会の決勝で星稜と1点差の接戦を演じたほか、北信越大会の準決勝で敦賀気比と延長10回の熱戦を繰り広げている。同校は、1月1日に発生した能登半島地震の影響で、兄弟校の日本航空(山梨)に拠点を移して、練習を再開している。こうしたなかで選抜出場が決まれば、被災地に勇気を与えるだろう。
【近畿の出場校予想】
近江(滋賀)、京都外大西(京都)、京都国際(京都)、大阪桐蔭(大阪)、報徳学園(兵庫)、耐久(和歌山)
6枠の近畿は、秋の近畿大会で4強に進出した大阪桐蔭、京都外大西、京都国際、耐久が当確だ。残り2枠を、同大会の準々決勝で敗れた4校が争う。筆者は、大阪桐蔭と1点差の接戦を演じた報徳学園が一歩リードしていると見ている。打力は昨年の選抜で優勝したチームに比べて少し劣るものの、投手力は、間木歩と今朝丸裕喜(いずれも新3年)と力がある投手を揃え、安定した戦いぶりが光る。
そして、残る1枠。履正社(大阪)と須磨翔風(兵庫)、近江が候補となり、どこを選ぶか、判断が分かれるところだろう。筆者は近江を推したい。理由としては、エースの西山恒誠(新3年)の活躍だ。近畿大会初戦の興国(大阪)戦で、わずか76球で完封したほか、近畿大会の準々決勝で敗れたものの、京都国際打線を8回まで0点に抑える見事な投球を見せた。履正社と須磨翔風には同じ府県に有力校があり、地域性を考えても、近江に軍配があるのではないか。
【中国の出場校予想】
創志学園(岡山)、広陵(広島)
【四国の出場校予想】
阿南光(徳島)、高知(高知)
【九州の出場校予想】
東海大福岡(福岡)、熊本国府(熊本)、明豊(大分)、神村学園(鹿児島)
中国と四国、そして九州。枠が1つ減った中国と四国は、秋の地区大会で決勝に進出した広陵(広島)、創志学園(岡山)、高知(高知)、阿南光(徳島)が当確。九州の4枠も、秋の九州大会で4強に進出した熊本国府(熊本)、明豊(大分)、神村学園(鹿児島)、東海大福岡(福岡)が順当に選ばれるだろう。
【21世紀枠の出場校予想】
別海(北海道)、鶴丸(鹿児島)
最後に21世紀枠。最終候補は、別海、仙台一(宮城)、水戸一(茨城)、帝京大可児(岐阜)、富山北部(富山)、田辺(和歌山)、岡山城東(岡山)、大洲(愛媛)、鶴丸の9校が残った。
過去の傾向では、1校が地域的に過疎化など困難なところ、1校が文武両道、1校がそれ以外の理由という並びになることが多い。近年は野球人口の減少もあって地域の小学生や未就学児に対して野球の普及活動を行っているような学校が評価されるケースが目立っている。
ただ、今回から2校に減ったことで、どの点が重視されるか。
昨秋の実績を見ると、別海(北海道大会ベスト4)、仙台一(東北大会初戦敗退)、富山北部(北信越大会初戦敗退)、田辺(近畿大会初戦敗退)、岡山城東(中国大会初戦敗退)と実に5校が地区大会に進出を果たしており、例年以上に、結果を残している。
極めて予想は難しいが、筆者は別海と鶴丸を推したい。別海がある北海道野付郡別海町は、乳牛の数が人口の約8倍と言われる畜産の町。野球部員はわずか19人(選手は16人)という中で、前述したように北海道大会ベスト4となった。これは見事という他ない。
鹿児島県屈指の進学校である鶴丸は、文武両道が高く評価されると予想した。ライバルになりそうな進学校には、仙台一や水戸一、岡山城東がそれに当たる。鶴丸は、4校のなかで、春夏の甲子園出場から最も遠ざかっており、鹿児島県勢として初めて選抜に出場した伝統校でもある。
秋季大会の戦績は、九州大会出場こそ逃したが、鹿児島県大会では鹿児島商、鹿県内の強豪校を相次いで破り、ベスト4に進出している。99年ぶりの選抜出場となれば、地元が盛り上がることは間違いない。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所