キリンビバレッジは1月25日、「2024年 事業方針発表会」を都内で開催、各ブランドの販売戦略や新商品の紹介を行った。

■「自社戦略への成果を実感できた一年だった」と2023年を振り返る

最初に登壇したのは、キリンビバレッジ 代表取締役社長 吉村透留氏。2023年度の販売実績について、「コスト増大により厳しい市場環境ではありましたが、前年比100%で着地を見込んでいます」と報告した。

  • キリンビバレッジ 代表取締役社長 吉村透留氏

昨年はコロナの5類移行によりコロナ前のライフスタイルに戻りつつあった一方、季節外れのインフルエンザや感染症の流行がみられたことから消費者の健康意識の高さは継続、また、猛暑や残暑の影響により、水やお茶などの止渇系飲料の需要が拡大したと説明。

そういった市場環境の中、同社商品の「プラズマ乳酸感入り飲料」や基盤ブランドである「午後の紅茶」は伸長、「ヘルスサイエンス領域強化による高収益化、基盤ブランドの高付加価値・高単価商品の好調など、着実に成果が出てきていると実感しています。自社で推進してきた戦略が間違っていなかったと確信を持つことができた一年でした」と振り返った。

■2024年はCSVを基軸に"強いブランドづくり"と"収益力向上"に注力

続いて2024年については、「キリンビバレッジならではの"強み"を最大限に生かしたCSVの実践が、持続可能な事業成長に不可欠」とし、「おいしい健康を実現する強固なブランドの構築」「持続的な成長を支える事業基盤の強化」の2点に注力することで高収益化への変革を加速していくと明かした。

2023年の販売数量が前年比136%と好調を見せる「プラズマ乳酸菌入り飲料」については、認知が広まった"免疫ケア"を健康習慣としてさらに広めることで販売個数増加を目標に掲げるという。

また「午後の紅茶」「生茶」「ファイア」各ブランドにおいては、「生活の質を高めたい」と考えるユーザーニーズに応えたサービス展開をすることで、高付加価値・高単価商品市場の創造実現を目指すとした。

  • キリンビバレッジ 代表取締役社長 吉村透留氏

「同社が育成してきた商品ブランドやサービス、キリングループとして培ってきた研究や技術力を最大限に活かし、【健康・コミュニティ・環境】の3つの柱で社会課題を解決、経済的な価値を創出していくことがキリンビバレッジの競争戦略だと考えています。2024年もご期待ください」と締めくくった。

■マーケティング戦略は"飲料市場の魅力化"がテーマ

続いて同社 執行役員 マーケティング部長 成清敬之氏が登壇、2024年のマーケティング戦略の方針について「ユーザーニーズを捉えた "キリンならでは "の新たな価値創造を通じ、飲料市場の魅力化に貢献し事業成長を図る」と示し、各カテゴリの取り組みを紹介した。

  • キリンビバレッジ 執行役員 マーケティング部長 成清敬之氏

ヘルスサイエンス領域は「免疫ケア」の習慣化により市場拡大を目指す

昨年3月の発売以来ユーザー認識を拡大してきた「免疫ケア」。2024年はさらなる啓発活動を通じ、健康習慣としての定着化を図るという。「おいしい免疫ケア」は3月19日よりパッケージ変更、「おいしい免疫ケア カロリーオフ」は味のバランスを改善し、毎日飲み続けやすいおいしさにリニューアルを実施すると発表した。

  • 「おいしい免疫ケア」シリーズ

さらに「プラズマ乳酸菌」を配合した商品として、「iMUSE からだ想い ヨーグルトテイスト」を3月19日に新発売、「生茶 免疫ケア」を刷新した「生茶 からだ晴れ茶」を4月2日に発売するという。

  • 新発売となる「iMUSE からだ想い ヨーグルトテイスト」(中央)と「生茶 からだ晴れ茶」(右)

「午後の紅茶」ブランドを通じて紅茶の定着化を目指す

中長期目標として「豊かな紅茶文化を広めていく」掲げる「午後の紅茶」ブランドは、紅茶本来の上質感や報酬感を伝えることで新規ユーザーを獲得 & 生活への定着化を図るとし、これまで期間限定で展開をしていた「午後の紅茶 TEA SELECTION」より「午後の紅茶 TEA SELECTION アールグレイアイスティー」と「午後の紅茶 TEA SELECTION ロイヤルブレンドティーラテ」の2商品を通年発売することも明かされた。

  • 通年発売する「午後の紅茶 TEA SELECTION アールグレイアイスティー」(左)と「午後の紅茶 TEA SELECTION ロイヤルブレンドティーラテ」(右)

両商品は4月16日より全国で発売となる。

緑茶カテゴリーのコモディティ化からの脱却へ

緑茶の新しい価値創造によりコモディティ化から脱却を図るという「生茶」ブランドは、4月9日よりパッケージ・味覚を刷新。従来製法の「生茶葉鮮度搾り製法」「かぶせ茶マイクロ粉砕」に加え、新製法として「凍結あまみ製法技術」を採用、新茶のような"あまみ"が際立つおいしさに進化する。

  • パッケージ・味覚を刷新する「生茶」シリーズ

パッケージは「持ち歩きたくなる緑茶」を目指し、現代的で上品な佇まいのデザインに仕上げている。

淹れたてのような香りを実現「ファイア アロマブリュー」も登場

ペットボトルコーヒー飲料については、焙煎されたコーヒーの香り、淹れたての香りを期待するユーザーに向け新たに「ファイア アロマブリュー」を発売。コーヒーを加熱することで淹れたてのような香りが生成される技術を用いることで、豊かな香りを実現したという。

  • 新発売「ファイア アロマブリュー」シリーズ

パッケージは和紙のようなテクスチャーを採用することで人の手で丁寧に作りこまれた世界観を再現し、従来品との差別化を図った。

  • 和紙のようなテクスチャーを採用したパッケージ