第72期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)は二次予選が進行中。1月24日(水)には飯島栄治八段―及川拓馬七段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、横歩取りの熱戦を74手で制した飯島八段が次回戦進出を決めました。

横歩取り青野流の攻防

本予選は4~5名からなるトーナメントを勝ち抜いた計12名が挑戦者決定トーナメントに進出するもの。この日の二人には3勝が必要です。振り駒が行われた本局は先手となった及川六段が横歩取りに誘導。対する後手の飯島八段は飛車角総交換の定跡を採用しました。

一段落すると中盤の長考合戦がスタート。手番を得た及川七段は一足先に垂れ歩を放って後手陣に圧力をかけますが、じっと自陣角を打って攻防の要としたのが飯島八段の好対応。1筋の香を助けるために、先手は先に打った歩を成り捨てるよりありません。

「凄八先生」の快勝譜

ペースをつかんだ飯島八段は角のにらみを生かして攻勢に出ます。合わせの歩で2筋突破を見せたかと思えば、先手の対応を見て一気に敵玉攻略へギアチェンジ。角を犠牲に飛車を打ち込んだのが「終盤は駒の損得より速度」の格言を地で行く好手でした。

攻めの手を緩めない飯島八段はその後も抜かりない手順で先手玉への寄せの網を絞ります。最後は自玉の受けなしを認めた及川七段の投了で熱戦に幕。角を捨ててからはほとんど反撃を許さなかった飯島八段が快勝で次回戦進出を決めています。

水留啓(将棋情報局)

  • 相居飛車戦の本局、飯島八段得意の引き角戦法の採用とはならなかった

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