ロッテの種市篤暉は今季180イニング投げることを目標に掲げているが、個人タイトル獲得にも期待したい。
19年に当時の日本人最多タイとなる23イニング連続奪三振を記録するなど、116回2/3を投げ135奪三振をマーク。規定投球回に届かなかったものの、奪三振ランキングはリーグ4位だった。同年に同学年の山本由伸(現ドジャース)が最優秀防御率のタイトルを獲得し、翌20年1月の取材で獲ってみたいタイトルについて訊くと「僕がいけるとしたら奪三振しかないと思っています」と力強い言葉が返ってきた。
20年シーズン途中に右肘を手術した影響で離脱したが、同年7月11日の西武戦後には奪三振数でリーグトップに立った。一軍に本格復帰した昨季は奪三振リーグトップの時期が長く、最終的には最多奪三振とはならなかったが、リーグ2位の157奪三振を記録した。
169奪三振で同タイトルを受賞した山本由伸は今季から活躍の舞台をメジャーに移籍。山本は奪三振だけでなく、3年連続で防御率、最多勝利、最高勝率と、投手部門のタイトルを独占していた。山本がメジャーに移籍したことで、種市にもタイトル獲得の可能性がかなり高くなってきたが、「自分次第ですね」と話した。
4年前には獲れるタイトルは最多奪三振と話していたが、今は「獲れるなら全部獲りたいですよね、成績に直結するので、あとキャリアに直結するので」と、意欲十分。タイトルを獲りたいとはっきりと口にできるところが種市の良さであり、多くのマリーンズファンが期待したくなる理由のひとつでもある。
昨季リーグ2位で右肘手術した20年も一時リーグトップに立ち、19年も規定投球回に達しなかったがリーグ4位と、奪三振のタイトルが最も期待が持てる。種市の昨季月別での奪三振数を見ても、イニングを上回る三振数を記録している月が多い。
球種別では昨季、ストレートが68奪三振、フォークが54奪三振、スライダーが35奪三振(縦スライダー含む)。ストレートとフォークでの三振が多いが、7月は30奪三振中、ストレートの16奪三振に次いで2番目に多い10奪三振と、追い込んでからスライダーを決め球にするケースもあった。ストレート、フォーク以外にも、2ストライク追い込んでから縦スライダーを決め球にすることができるのも強み。フォークも130キロ台だけでなく、140キロ台、130キロ台を投げ分けられるようにしたいと昨年の秋季練習中の取材で明かしている。
▼種市の昨季の月別奪三振
3・4月 37奪三振・25回2/3
ストレート:12奪三振
フォーク:22奪三振
スライダー:3奪三振(縦スライダー:2奪三振)
5月 21奪三振・21回
ストレート:5奪三振
フォーク:9奪三振
スライダー:7奪三振(縦スライダー:5奪三振)
6月 24奪三振・17回2/3
ストレート:15奪三振
フォーク:6奪三振
スライダー:3奪三振(縦スライダー:3奪三振)
7月 30奪三振・24回2/3
ストレート:16奪三振
フォーク:4奪三振
スライダー:10奪三振(縦スライダー:7奪三振)
8月 24奪三振・26回2/3
ストレート:13奪三振
フォーク:7奪三振
スライダー:4奪三振(縦スライダー:4奪三振)
9月 21奪三振・21回
ストレート:7奪三振
フォーク:6奪三振
スライダー:8奪三振(縦スライダー:5奪三振)
今季は中5日での先発を増やしたいと意気込んでおり、昨季1度だけだった中5日の登板が増えれば、それだけ登板数も増え、勝ち星が増える可能性もある。そうなれば、最多勝利、最高勝率のタイトルも見えてくる。中5日で投げるということはそれだけ信頼されている証。つまり、かなり良い防御率を記録していると想定できる。そうなってくれば、投手四冠、球団初の沢村賞への期待も膨らむ。24時間365日野球のことを考えることができ、向上心の高い種市に今年も期待したくなる。
取材・文=岩下雄太