東京メトロ、鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズの5法人は、5Gを活用した列車運行システムの実証試験を共同で実施すると発表した。東京メトロ丸ノ内線新大塚~後楽園間で8月から実証実験を開始し、2025年3月まで実施予定としている。

  • 5Gを活用した列車運行システムの実証試験が行われる

パブリック/ローカル5Gを使い、地下のトンネル内や地上の線路内などに設置した地上設備と列車間で通信を行う。次世代の鉄道向け無線通信基盤「FRMCS」を参照した鉄道用通信基盤プロトタイプやローカル5Gを東京メトロのフィールド内に構築し、電波環境を測定する。構築した鉄道用通信基盤プロトタイプを用い、列車運行システム「CBTC」や各種鉄道システムを想定した5G通信の実用性に関する試験を行う。

従来の鉄道用通信システムは、各鉄道事業者が独自に開発した専用設備で構築されていた。そのため汎用性が低く、開発・維持管理コストの増大や熟練技術者の減少によるメンテナンス技術伝承が課題となっていた。実証試験で専用設備を必要としないパブリック5Gと専用設備を必要とするローカル5Gの両環境を検証し、5G通信の活用による設備投資の低減やメンテナンスなどの効率化を図る。

5Gを活用した鉄道用通信基盤の先行事例として、欧州諸国を中心にFRMCSプラットフォームの仕様について検討されていることを踏まえ、同プラットフォームとの将来的な互換性も考慮したプロトタイプシステムによる実証試験を行い、国内の鉄道事業において共通利用できる鉄道用通信基盤の仕様や国際標準化への対応をめざす。今回の実証実験で試作した鉄道用通信基盤の仕様案は、鉄道業界での標準化をめざして公開される。