キンセンカとはどんなハーブ? 特徴や由来など
キンセンカはキク科の一年草で、カレンデュラやポットマリーゴールドという呼び方をすることもありますが、よく知られているマリーゴールドとは別の植物です。地中海沿岸が原産地で、北アメリカ、中央アメリカ、南ヨーロッパなどで広く栽培されています。
大きさは種類によって異なり、10センチ程度の矮性(わいせい)種から、1メートル近くになる高性種のものまでさまざまです。日本では花壇などに植えられ、主に観賞用として楽しまれますが、ヨーロッパでは原種がエディブル・フラワー(食用花)としてハーブティーやオイル漬けなどに利用されています。
キンセンカの栽培歴
キンセンカは種類・地域によって栽培スケジュールが異なりますので、あくまで参考としてください。
一般的には暖地や温暖地では夏・秋に種をまき、寒地や寒冷地では春・夏に種をまきます。
なお本記事では、コモンキンセンカの育て方について解説していきます。
キンセンカの種まき
キンセンカは丈夫で栽培しやすい植物なので、種から栽培しても良いでしょう。
種まきから栽培する際の方法や気をつけたい点について解説していきます。
種まきの時期
キンセンカは住んでいる地域が、寒地・寒冷地・暖地・温暖地のどれに当てはまっているかによって、種まきの時期が大きく変わります。
事前に種袋に表示してある種まき時期を確認してから、準備をしましょう。
一般的には、種まき時期は次の通りです。
寒地・寒冷地:3月~4月、7月~8月
暖地・温暖地:8月~9月、9月~10月
夏の暑い時期に種まきする際は、暑さで種がダメにならないよう、ポットにまき、半日陰などで管理しましょう。
一方秋にまく際は、ポットにまき、寒冷紗(かんれいしゃ)などで保温しましょう。
種まきの方法
育苗ポットやプランターに培養土を入れ、親指の第一関節くらいの深さのまき穴を作ります。
まき穴に種を2~3粒ずつじかまきし、軽く土をかけ戻し、たっぷり水をやります。
その後は半日陰で管理したり、室内で保温したりするなど時期に応じて適切な管理を行いましょう。
発芽適温は15~20℃で、だいたい5~10日で発芽がそろいます。
注意点
種まき後、土が乾かないように適度に水を与えます。種が発芽するまでは、土の表面が乾燥しないように注意してください。
日当たりを好む植物なので、種をまいた後は日光が十分に当たる場所に置きましょう。
発芽後、苗がある程度成長したら、間引きを行って適切な間隔を保ちましょう。
キンセンカ苗の植え付け
キンセンカは種からの栽培のほか、育苗した苗や、ホームセンターやガーデンショップで購入した苗を植え付けることでも栽培できます。
鉢植えやプランターで栽培する場合と、地植えで栽培する場合、それぞれ解説していきますので、参考にしてください。
植え付け時期
キンセンカの植え付け時期は、種まき時期と同じく品種や地域によって異なります。
あくまで参考としてください。
寒地・寒冷地:5月~6月、8月~9月
暖地・温暖地:10月~12月
植え付けには、本葉4~6枚の苗を使いましょう。
株が成長したときに混み合わないように、十分に間隔をあけて植え付けましょう。
プランターの場合
◯用意するもの
・プランターor鉢植え(ゆとりをもった大きめサイズが望ましい)
・ハーブ用土or野菜用培養土
・鉢底石、鉢底ネット
・プランターを置く台やブロック、すのこなど
◯植え付け方法
初めに、用意したプランター(鉢植え)に、鉢底石と鉢底ネットを設置します。
次に土を入れ、軽くたたいたり揺らしたりして、土をならしましょう。
土の準備ができたら、苗を植え付けます。
複数の株を植え付ける際は、矮性種は15~20センチ、高性種は25~30センチほど株間をあけましょう。
植え付けが終わったら、ジョウロなどで優しく水やりを行ってください。
◯注意点
ベランダや庭で栽培するときは、エアコンの室外機から離して置いてください。
室外機の温風が当たると、株が弱ってしまい、枯れてしまうこともあります。
プランターは直接床や地面に置かず、台やすのこなどに置いて、風通しを良くしてあげましょう。
地植えの場合
露地植えする場合は、まず土作りから行います。
キンセンカは弱アルカリ性の土壌を好むため、植え付け2週間前までに、1平方メートルあたりバケツ一杯の堆肥(たいひ)と苦土石灰200グラム、1週間前までにボカシ肥料や緩効性化成肥料を200グラム入れて土作りを行っておきましょう。
矮性種・高性種どちらの場合も、地植えにすると大きく成長します。
プランター栽培と同じように、株間はしっかりとって、混み合わないように注意してください。
キンセンカの栽培管理の方法
キンセンカは病害虫に強く、比較的栽培管理も難しくない植物です。
ここでは、キンセンカの栽培管理方法について解説していきます。
・水やりの方法
・施肥の方法
・剪定(せんてい)、摘心の方法
以上の三つについて説明しますので、参考にしてください。
水やりの方法
◯プランターの場合
土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。
発芽がそろわないうちは、種を流してしまわないように注意深く水やりしてください。
一方で水をやりすぎてしまうと、種や根が腐ってしまうことがあるので、多すぎず少なすぎずを心がけましょう。
◯地植えの場合
庭や畑で栽培している場合は、水やりをする必要はありません。
基本的に自然降雨で十分ですが、晴れの日が長く続く場合は水をあげたほうが良いでしょう。
施肥の方法
◯プランターの場合
市販の栽培用培養土を使っている場合は、元肥は必要はありません。
その後は、苗が育ち始めたタイミングで、週に1度液肥を与えるか、月に1度緩効性肥料を一握り与えると良いでしょう。
◯地植えの場合
元肥として、1平方メートルあたり、バケツ一杯の堆肥、200グラムの苦土石灰、200グラムの緩効性肥料を与えましょう。
追肥として、週に1度液肥を与えるか、月に1度緩効性肥料を一握り与えると良いでしょう。
剪定・摘心
キンセンカを長く楽しみたい場合は、摘心しましょう。
株の中央から出てくるつぼみを摘み取ると、脇芽が出てくるようになります。
その脇芽を伸ばして栽培すると、株が横に広がっていくので、より多くの花を収穫できるようになります。
キンセンカの収穫
キンセンカを切り花として収穫する際は、寒い時期には5分咲き、暖かい時期には8分咲きくらいで収穫しましょう。
食用品種の場合は、品種ごとに収穫タイミングが異なるため、それぞれ確認してから収穫してください。
収穫する際は、清潔なハサミを使って摘み取りましょう。
キンセンカの植え替え
キンセンカは一年草です。花が終わると枯れてしまうので植え替えはできません。
キンセンカの増やし方
キンセンカの種取りは、花が枯れた後に行います。まず、キンセンカの花が完全に咲き終わり、花びらが落ち始めたら、種取りの準備を始めます。
種を取るためには、枯れた花を株から慎重に取り除きます。株についたまま揺すって落としても良いですが、よりたくさん種を取りたい場合は、花を摘み取りましょう。
取り出した種は、保存する前に完全に乾燥させましょう。乾燥が不十分だと、カビや腐敗の原因になる可能性があります。種が十分に乾燥したら、乾燥した涼しい場所に保管します。種を保存する際には、空気が通る容器や紙袋を使用し、湿気を避けることが大切です。
キンセンカにつく害虫
キンセンカは害虫が付きづらい植物なので、とくに対策や工夫は必要ありません。
春先になるとアブラムシがつくことがあるので、見つけ次第捕殺しましょう。
アブラムシを手で取り除くことが難しい場合は、水で流したり、割り箸などでこすり落としても良いでしょう。
また、エコピタという食品由来の農薬もあるので併せて使っても良いでしょう。
キンセンカは見ても良し、食べても良しのうれしいハーブ
キンセンカは見た目もよく、ハーブティーやオイル漬けなどにもできるので、多くの人から愛されています。草勢も強く、はじめての人でも栽培のしやすい、家庭菜園でも楽しめるハーブです。
発芽し、苗がある程度大きくなるまでは、こまめなケアが必要ですが、生育が順調に進めばある程度放任してもすくすくと育ってくれます。
本記事を参考にして、キンセンカ栽培に挑戦してみてください!