第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)は本戦トーナメント1回戦が進行中。1月22日(月)には羽生善治九段―斎藤明日斗五段の対局が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、横歩取りの力戦を100手で制した斎藤五段が2回戦進出を決めました。
4度目の対戦
両者の対戦はこれまで3度あり羽生九段の全勝。斎藤五段としては昨年6月に指された王座戦挑戦者決定トーナメントの借りを返したいところです。振り駒が行われた本局は先手となった羽生九段が横歩取りに誘導。勇気流と呼ばれる積極策を取って先攻を目指します。
駒組みが続くかと思われた20手目にして後手の斎藤五段が動きます。9筋の歩を突っかけて端攻めを開始したのは用意と思われる作戦で、対する羽生九段が飛車角交換を決断したことで盤上は激しい攻め合いに突入。飛車と金桂の二枚換えが行われて局面は一段落です。
斎藤五段が羽生九段戦初勝利
形勢互角の中盤戦は続きますが、ここから斎藤五段がリードを奪います。自陣に打ち込まれた飛車めがけて強く玉でアタックしたのが攻め駒を責める好着想。先手に飛車切りを強要して駒得を主張することに成功しました。局面が落ち着くと先手の攻めは切れ模様です。
終局時刻は16時49分、最後は自玉の詰みを認めた羽生九段の投了で斎藤五段の勝利が決まりました。得意の横歩取り研究で金星を挙げた斎藤五段は2回戦で山崎隆之八段―伊藤匠七段の勝者と対戦します。
水留啓(将棋情報局)