米Appleは1月22日(現地時間)、iOS 17のアップデート「iOS 17.3」をリリースした。「盗難デバイスの保護」、「2024 Black Unityコレクション」の壁紙、音楽のプレイリスト共同作成、ホテルの客室用テレビでAirPlayを利用する機能などを追加する。

「盗難デバイスの保護」は、iPhoneが自宅や職場といったユーザーの日常生活の範囲から離れている間、一部の機能やアクションに対するセキュリティ要件を厳しくする。

ここ数年の間に米国や英国で、パスコードを盗み見てからiPhoneを奪う犯罪が増加していた。被害者の多くは、肩越しに画面をのぞき見するショルダーサーフィンや、会話などから聞き出すソーシャルエンジニアリングでパスコードを盗まれている。例えば、夜のバーで被害者と親しくなり、写真を見せてくれるように誘導して、パスコードの入力を盗み見る。そうしたやり取りでパスコードを盗み見れなかったら、写真を撮るといった理由を付けてiPhoneを手渡させる。そして電源を切れば、再起動時にパスコード入力が必要になる。この窃盗ではパスコードが知られているため、盗まれたiPhoneからApple IDアカウントが乗っ取られ、場合によっては個人情報が悪用される可能性がある。Wall Street Jounalによると、ある被害者はバーでiPhoneを盗まれ、数分後に友達のスマートフォンから自分のアカウントの「探す」機能を使おうとしたらすでにApple IDのパスワードが変更されていた。その後、銀行から制限上限の現金が引き出され、サポートとやり取りしている間にクレジットカードが申請されていた。

「盗難デバイスの保護」は「設定」の「Face IDとパスコード」でオン/オフを設定する。有効にすると、保存済みのパスワードやクレジットカードへのアクセスなどの一部のアクションを実行する際に、Face IDまたはTouch IDによる認証が求められ、パスコードなどの代替手段は認められない。さらにApple IDのパスワードの変更といった一部のセキュリティ・アクションでは、1時間経過してから2回目のFace IDまたはTouch ID認証を行う必要がある(セキュリティ遅延)。これらによって、パスコードを知られた上でデバイスが盗まれても、パスコードを使ってすぐにアカウントが乗っ取られるのを防げ、被害が拡大する前に盗難をレポートできる可能性が高まる。

「Black Unityコレクション」は、Appleが「Black History Month」(黒人歴史月間)の取り組みとして毎年提供しているもので、2024年のコレクションはカラフルな花のパターンの「ユニティブルーム」となっている。

「ミュージック」では、プレイリストを共有するだけではなく、自分のプレイリストに友達を招待し、曲の追加や削除を許可して共同でプレイリストを作成することが可能になった。共同作業プレイリストでは、トラックに絵文字のリアクションを追加できる。

AirPlayの機能追加によって、対応するホテルにおいて、対応する客室用テレビにAirPlayを使ってコンテンツを直接ストリーミングできる。宿泊客はパスワードの入力や専用アプリを使うことなく、固有のQRコードをスキャンするだけで安全な接続を簡単に確立できる。また、「設定」→「一般」の「AppleCareと保証」で、ユーザーのApple IDでサインインしているすべてのデバイスの保証範囲を確認できるようになった。