女優の奈緒が、とんねるずの木梨憲武とW主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『春になったら』(毎週月曜22:00~)が現在放送中だ。福田靖氏のオリジナル作品である今作は、笑って泣けるハートフル・ホームドラマ。“3カ月後に結婚する娘”椎名瞳(奈緒)と“3カ月後にこの世を去る父”椎名雅彦(木梨)が、「結婚までにやりたいことリスト」と「死ぬまでにやりたいことリスト」を実現していく3カ月間を描く。あす22日放送の第2話では、瞳の婚約者・一馬がバツイチの子持ちだと知り、雅彦は大激怒。瞳と激しい言い争いを繰り広げ……?
劇中では娘が父に結婚を反対されるが、奈緒はかつて母に上京を反対されたという。そのときを振り返っての感謝の思い、そして最新版・母のキュートな天然エピソードとは。女優デビュー10年での“変化”についても話を聞いた。
上京を反対してくれた母へ「ありがとう」
――瞳は父に結婚を反対されますが、奈緒さんは女優になるために上京したとき、お母さまに反対されたとか。
そうです。私にとって上京はすごく大きな人生の決断で、だからこそ母が心配してすごく反対してくれたんだと思います。以前出演させていただいたカンテレさんの『姉ちゃんの恋人』というドラマで、「反対論者と賛成論者はいたほうがいい」という自分の台詞があったんですけど、上京するときのことを思い出して、「あのとき反対されなかったらここまでがんばれてなかった、母が反対してくれて良かったんだ」とすごく腑に落ちたんです。思わず、「お母さん、あのとき反対論者になってくれてありがとう」って言ったのを覚えてます。もちろん心配の裏側に愛があったことも分かっていましたし、今はすごく応援してくれています。
――反対されることで、本当にやりたいのかどうか立ち止まって考えたり、相手を説得させるための材料を集めたりと、自分の意志をかためていくことにもつながりそうですよね。
きっと母も心から反対していたわけじゃないと思うんです。応援してくれる人はほかにいるから、母である自分は、乗り越えようと思う力を引き出す壁になろうと。母の愛ですね。
――今は女優業を応援してくれているんでしょうか。
はい。「奈緒ちゃんはお芝居で生きていくんだね。お母さんはちゃんと分かりました。応援するからね」って言ってくれて。今は私以上にテレビや雑誌の出演情報をチェックしていて、私の仕事を心から喜んでくれているので、本当に良かったです。
母の最新天然エピソード“ブラインドタッチ”
――そんなお母さまの天然エピソードをよくテレビやXでお話しされていますが、もし最新のエピソードがあったら教えてください。
この間、母がパソコンのキーボードをカタカタ打っていたんです。「何してるの?」って聞いたら、「奈緒ちゃん、お母さんね、ブラインドタッチができるようになったの! 見て!」ってすごい笑顔で。カタカタ打ってるのを見せてくれたんですけど、画面にはつないでいなくて、宙を見ながらプラインドタッチをしてるんですよ。だからできているのか分からなくて。でも、「すごいじゃん」って褒めたらすごく喜んでました(笑)。もしかしたら、見えていないだけでちゃんと打てているかもしれないので、今度は画面ありでやってもらおうと思ってます。
“花”のバリエーションを知った10年
――かわいいエピソードがありがとうございます! 2013年に女優デビューを果たした奈緒さんですが、ちょうど10年経って、お仕事を始めた頃と今で変わったことはありますか。
“花がある”っていう言葉があるじゃないですか。10年前の私は、その花は1つしかバリエーションがなくて、たとえばすごく綺麗な赤いバラしかないと思っていて、私はそんな花にはなれないと自分の限界を決めてしまっていたんです。でもこの10年間、お芝居を続けさせてもらった中で、いろいろな先輩たちに出会って、花の形が一1つじゃないことを知りました。そして、私は私だけの花を見つければいいんだ、と。今はまだ見つかったと胸を張って言えないんですけど、10年前より希望を持てるようになりましたし、よりお仕事を楽しめています。
――奈緒さんだけの花を見つけるのが目標なんですね。考え方が変わった感じることはありますか。
“有限性”を知ってしまったなと思います。10年前は、極端に言うと、人生はすごく長いと思っていたし、無限に生きられると思っていたし、たくさんの役に出会えると思っていたし、できることはたくさんあると思っていて、それが自分のパワーになっていました。今は28歳になって、20代はあと2年、いくつの役に出会えるんだろうとか、お仕事でご一緒した方とお別れする機会もあって、再会できることが当たり前じゃないんだとか、有限性を感じるようになって。「気付いちゃったな」って感じですよね。一長一短で、10年前の自分の考え方のままいられたらなと思うこともあるのですが、時間の大切さは10年で学べたなと。
――“有限性”は正に今回のドラマ『春になったら』と通じるところがありますね。
『春になったら』は、父の余命と娘の結婚式まで3カ月という期限が急にできてしまって、当たり前に続くと思っていたことが続かないという現実と向き合う時間を描いていくストーリー。父と娘が互いの衝撃的な告白でガツンと気付かされた有限性というものを、私は10年かけて少しずつ分かってきたところです。
――視聴者の方にとっても、“有限性”について考えさせられるドラマになりそうですね。ありがとうございました!
1995年2月10日生まれ、福岡県出身。地元・福岡で活動後、15年に単身上京し、『雨女』(16年)で映画初出演。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(18年)でヒロインの親友役を演じて注目を集める。以降、『のの湯』(BS12)、『あなたの番です』『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』『ファーストペンギン!』(日本テレビ)、『演じ屋』(WOWOW)、『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ)などのドラマ、『ハルカの陶』『みをつくし料理帖』『事故物件 恐い間取り』『TANG タング』『マイ・ブロークン・マリコ』『#マンホール』などの映画に出演。公開待機作に、映画『陰陽師0』(2024年4月19日公開予定)がある。