俳優の福士蒼汰が主演を務めるABCテレビ・テレビ朝日系新ドラマ『アイのない恋人たち』(毎週日曜22:00~)が21日にスタートする。『魔女の条件』『GTO』『女王の教室』『家政婦のミタ』『同期のサクラ』などを手掛けた遊川和彦氏のオリジナル作品である今作は、2024年の東京に生きる男女7人が、それぞれにワケアリな恋愛観や家族の問題を抱えながらも出会い、触れ合い、愛し合おうとする物語。福士はバイトをしながらもテレビの世界で成功することを信じている33歳の売れない脚本家、久米真和を演じ、岡崎紗絵、本郷奏多、成海璃子、前田公輝、深川麻衣、佐々木希演じるアラサー男女たちと群像劇を繰り広げていく。
今回は福士に、役どころやストーリーの見どころについてインタビュー。同じドラマでの2役出演、海外進出など、2023年の“挑戦”も振り返ってもらった。
アラサーを題材にしたドラマへの出演に喜び
――今作の脚本を読んだときの感想を教えてください。
男女7人の恋物語を遊川さんがどう描くのだろうとワクワクしながら読みましたが、現代のリアルを映し出している、“大人の群像劇”の魅力あふれる脚本だと感じました。今、僕は三十歳なので、同年代のアラサーを題材にした作品に出演させていただけることがうれしかったです。
――ラブストーリーであり、人生について考えさせられるような群像劇でもありますよね。
人間関係や恋愛を通して、それぞれのキャラクターの成長を描くストーリーになっていると思います。
――福士さんから見て、演じる真和はどんなキャラクターですか。
夢に縛られている人、そして愛にあふれた人、です。家族も高校時代の友達もすごく好きだけど、その愛情表現が少し偏っているというか。大学入学後、「俺は夢に向かって頑張るんだ」と自分を閉ざしてしまうのですが、それは彼にとっては、夢を叶えるための“高貴な行動”で。目標を達成しないと人と会う勇気が出なくて、昔の友人と疎遠になってしまう面もありますし、再会してからも、「俺には夢があるからお前らとは違う」と自分で自分に言い聞かせないと夢に向かえない人なんだろうなと感じました。脚本家に憧れていて、皆のことが好きで、そんな愛があるからこそ人と距離を取ってしまう人間なんだろうなと。寂しいことですが。
――冷たい印象を与えがちな真和ですが、愛があるからこそ、そんな態度になってるんですね。
人のいいところや悪いところというのは逆説的に捉えられるなと感じるんです。たとえば雄馬(前田公輝)は“見る目(eye)がない男”と呼ばれていますが、相手を見すぎてしまってどうしていいか分からなくなっているのだと思うし、“自分(I)がない男”と呼ばれる多聞(本郷奏多)は、人一倍わがままで、人一倍自分を持っているからこそ、それを表現せず相手に合わせるほうが楽だと考えているんじゃないかと。そんな人間らしさを出すために、人間の持つ表と裏を表現することが、今作では必要になってくると思います。
――そんな作品に座長という立場で臨まれますが、座長として心がけていることはありますか。
皆が仕事をしやすい環境を作ろうということは、座長だからというわけではなく、いつも一番に心がけています。スタッフさんやキャストの皆が自分の能力を発揮できる空気を作るために、積極的にコミュニケーションを取りますね。距離感は大事なので、あえて近づかないようにするときもありますが、やっぱりリラックスできたほうがお芝居しやすいので、基本的には仲良くなることが多いです。
『大奥』の反響が自信につながった
――昨年三十歳になった福士さんですが、2023年も『大奥』(NHK)で2役を演じたり、『弁護士ソドム』(テレビ東京)で主演を務めたり、海外作品の『THE HEAD Season2』に挑戦されたりと大活躍だったと思います。振り返って、どんな一年でしたか。
すごく充実したいい一年でした! 二十代のうちに挑戦したいと思っていた海外作品出演という夢が叶ったり、『大奥』ではありがたいことに大きな反響があったり。『大奥』への出演は、すごくドキドキしていたんです。人気のある作品で、その中でも「家光と有功が一番好き」という方も多いキャラクターを演じるということで、大丈夫かなと不安を感じながらでしたが、好意的な意見も多くいただいたけて、自信につながりました。俳優をやっていて良かったな、今まで頑張ってきたことが形になったな、と感じる作品でした。でもその後すぐ『大奥season2』にお声がけいただいて、挑戦したい気持ちと、高いハードルへのプレッシャーとの板挟みで。
――胤篤は、有功編の放送が終わってからのオファーだったんですよね。
そうなんです。とても悩みましたが、やっぱりやってみたいという気持ちが勝ちました。「有功を演じさせていただいたのなら胤篤も演じたい、“お万の方の再来”を実現できるのは僕しかいない」と。引き受けて良かったです。