日産は2024年1月12〜14日まで開催された東京オートサロン2024で、「ルークス ビームス カスタマイズド コンセプト」を公開した。同車の担当者に開発のいきさつについて話を聞いた。
■開発コンセプトやターゲットユーザーは?
「ターゲットとしては運転するのがおっくうだな、めんどくさいけれど仕方がないから乗っています、と感じている女性や若い方です。そのような方にもっと楽しくクルマに乗っていただきたいのですね。もっと気軽にお手軽に、所有する喜びとして、持ちたいと思わせるようなクルマを出したいというところから企画が立ち上がりました」
■ビームスとタイアップしたきっかけは?
「それを具現化するのにどういうデザインやアプローチをするか、となったときに、ふつうのクルマのデザインではおもしろくないので、ちょっと変わったデザイン、気分を上げられるようなデザインにしたいね、というところがありました。さらに日産車のユーザーだけではなく、若い女性や男性にアプローチしたいという考えから、日産単体で臨むのではなくてどこかとタイアップしようと。このようにデザインとアプローチの両面でタイアップしようとしたときに、セレクトショップのBEAMS(ビームス)さんがいいのではないかと。いろいろな業界と多岐にわたって活動をされており、例えば大相撲や調味料メーカーとタイアップしていましたので、一緒にやりませんかとお声がけさせていただいた感じですね」
■コンセプトカーの注目のポイントは?
「実現するにあたり、どういう素材を使おうかとなったとき、ビームスさんはファッションでは個性的なところがあって、どのシーンでもどういう使い方でもマッチするデニムを使おうかとなりました。ただ、そのまま使うのではおもしろくないよねと。そこで生まれたのがデニムを裏返しして、表裏のない楽しいところを狙う。デニムを裏デニムのように使ったのがこのクルマです」
■こだわりは?
「内装はデニムを使ったコンセプトということで、実際にビームスさんで製品として使われているデニム生地をそのまま調達して、裏デニムでシートを張り替えました。生地を合わせて折り返したところにあるホワイトのラインは耳というのですが、ほつれないように赤い点線でかがってある部分をセルビッチと呼びます。それを今回、アクセントで使っています。デニムなので触り心地も非常にいいんです。遊び心で随所にポケットを配置し、その一部に実際に製品で使われているビームスさんのタグを付けています。カーペットも同じデニム地を採用し、ドアトリムもデニムに張り替えています。ドアスイッチベースはデニムを高精細スキャナーでスキャンをして印刷パターンに起こし、車両部品に印刷しています」
■エクステリアの特徴は?
「外装色もデニムの裏地がメインカラーです。今回のために塗料を仕立てた専用色になっています。下まわりの青地はデニムをロールアップしたときの表地が出るのをイメージしています。ボディサイドにあるホワイトのラインはデニムをロールアップしたときに出てくるセルビッチを表現しています」
■制作の主導は?
「全体のデザインは日産側で行っていますが、どういうデザインにしようか、どこにどういうアクセントを持って来ようか、色をどうするかというのはビームスさんと相談しながら進めました。実際に完成車確認会では、いっしょに確認をしたという経緯があります。だからコラボレーションというよりもいっしょに作り上げたという感じですね」
■市販化の考えは?
「今回の反響を見て進めたいと思います。ですが、例えばデニムの生地は衣料用ですので、このままでは使えません。実際に座っていると擦れてきたりするので耐久性はもちろん、色移りをしない、難燃性の素材でなければダメとか、クルマ用の素材として使うには条件があります。ハードルはけっこう高いので、これに似た要素を取り入れたものを今後、市販化できればと思います。まだ検討段階ですね」
日産とビームスのタイアップで生まれた魅力的なモデルとして、ぜひとも市販化してほしい1台である。
〈文=ドライバーWeb編集部〉