富山県は、「令和6年能登半島地震」の影響とみられる落石で黒部峡谷鉄道の全線開通時期が不明となっていることを受け、1月29日に予定していた「黒部宇奈月キャニオンルート」を含む旅行商品の販売開始を延期すると発表した。

  • 「黒部宇奈月キャニオンルート」を含む旅行商品の販売が延期に

「黒部宇奈月キャニオンルート」は、2018年に関西電力と富山県が締結した協定により、安全対策工事の完了後、黒部峡谷から黒部ダムに至る電源開発の歴史をたどる新たな観光ルートとして、2024年度から一般開放・旅行商品化を予定している。

60年以上前、黒部川第三発電所・第四発電所の建設にともない整備された工事用ルートで、これまで一般に開放されていなかった。黒部峡谷鉄道の欅平駅から黒部ダムまでを結び、蓄電池機関車やインクラインなどの乗り物で進みつつ、地底に作られた多様な電源施設や設備、掘削時の岩盤温度が160度に達した高熱隧道など、電源開発の軌跡を体験できる。荒々しい稜線が織りなす裏剱や仙人谷など、黒部奥山の絶景も満喫でき、黒部峡谷と立山黒部アルペンルートを結ぶ新たな観光ルートが形成されることになる。

  • 蓄電池機関車で高熱隧道を通過した後、トンネルの外で仙人谷を眺められる

「黒部宇奈月キャニオンルート」を含む旅行商品として、同ルート訪問の前泊または後泊がセットになった4種類の基本コースを設定。6月30日の一般開放・旅行商品化に先立ち、1月29日から旅行商品の販売を開始する予定としていた。

しかし、「令和6年能登半島地震」の影響とみられる落石により、黒部峡谷鉄道の鐘釣橋が損傷。黒部峡谷鉄道の全線開通時期が不明のため、旅行商品の販売開始を延期することとした。黒部峡谷鉄道の全線開通時期が発表され次第、速やかに販売を開始する予定としている。なお、一般開放・旅行商品化の開始日について、現時点ではこれまで通り6月30日を予定しているが、黒部峡谷鉄道の全線開通時期に応じて、延期の有無を判断するとのこと。