TVメーカーとして知られているTCLは海外でスマートフォンも販売しています。2024年1月にラスベガスで開催されたCES 2024のTCLブースには、同社の新しいディスプレイ「NXTPAPER」を採用したスマートフォンが展示されていました。いったいどんなディスプレイなのでしょうか?

  • NXTPAPER搭載スマホ「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」

NXTPAPERは「次世代の紙」からつけられたネーミングでしょう。最大の特徴は目にやさしい、紙のような見た目のディスプレイであることです。同ディスプレイを搭載した最新スマートフォン「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」を手に取ってみると、確かに反射が少なく紙に近い感覚で画面をずっと見ていられます。

  • 反射の少ないディスプレイ

NXTPAPERを搭載していない同系のスマートフォン「TCL XE 50 5G」と比べるとその差は歴然としています。一般的なディスプレイは輝度が高く明るく見える一方で、屋外では外の光が強く画面は見にくくなります。対してNXTPAPERは若干暗く見えるようで、ディスプレイ表面のナノエッチング加工により外からの反射を抑え、さらにブルーライトカットフィルターも強化されているので屋外でも屋内でも見やすく、また、目が疲れません。

  • 一般的なディスプレイ(奥の端末)より目にやさしい

NXTPAPERの対抗となるのは電子ペーパーですが、カラーの電子ペーパーはまだ色数が少なく、バックライトがないため画面全体がNXTPAPERより暗めです。また電子ペーパーは動画の再生には向いておらず、現時点では電子書籍やコミック、絵本などの閲覧用途に適していると言えます。NXTPAPERは電子ペーパーより明るく色表現に優れ、動画も視聴でき、なおかつ一般的な液晶や有機ELよりも目にやさしいといういいとこどりのディスプレイなのです。

  • 別の会社が展示していたカラー電子ペーパータブレット

TCLは14インチの大型NXTPAPERを採用したタブレット「TCL NXTPAPER 14 Pro」も発表しました。大型ディスプレイのタブレットはAppleやサムスンも手がけていますが、NXTPAPER搭載のこの製品は大画面で動画を見る用途よりも、イラストを書いたりビジネス用途に使うという、ややプロよりの製品と言えそうです。

  • 14インチのNXTPAPERタブレット

充電式のスタイラスを使った手書きにも対応。表面の書き心地もよく、画面を注視していても目が疲れにくいので細かい書き込みを長時間するのにも向いているでしょう。教育向けに小中学生くらいの子供たちに使ってもらうのもいいかもしれません。スマートフォンやタブレットの使い過ぎは目の健康によくありませんが、NXTPAPERならその点もより安心でしょう。

  • イラストレーターにも向いている

TCLはディスプレイを研究開発する子会社、CSOT(チャイナスター)を傘下としており、様々な次世代ディスプレイの開発にあたっています。最近製品が増えてきた折りたたみスマートフォン用のフォルダブルディスプレイもTCL/CSOTが開発しており、それらは大手メーカーが採用しています。

  • 某社の折りたたみスマホのディスプレイもCSOTが開発した

スマートフォンが日常生活の中で手放せない日用品になった今、目の健康を考えたディスプレイの開発はこれから多くのメーカーが注力していくでしょう。TCLは大型TVばかりだけではなく、モバイル向けの小さなディスプレイの開発にも力を入れているのです。日本ではまだ販売されていないNXTPAPER搭載スマートフォンですが、いずれどこかのメーカーが採用する日がくるかもしれません。

  • NXTPAPERはこれから注目される