最新シングル「Water」が世界累計2.6億回再生を記録し、第66回グラミー賞(2024年)でも「最優秀アフリカン音楽パフォーマンス賞」にノミネートされている南アフリカの新星タイラ(Tyla)。今年11月にはトラヴィス・スコット、マシュメロをそれぞれ迎えた「Water」リミックスバージョンを2曲同時に公開し、2024年にはデビューアルバム『TYLA』をリリース予定。アマピアノという新興ジャンルをリードする彼女は、同郷のアーティストのために「門戸を開く」存在になりたいと語る。
ポップとアマピアノ(南アフリカ発祥・ハウスの派生ジャンル)を融合させたタイラの音楽は、セクシーなシングル「Water」の特徴的なダンスによって一躍注目の的となった。ローリングストーンUS版が公式YouTubeチャンネルで公開したインタビュー「THE BREAKDOWN」のなかでタイラは、バイラルヒットした「Water」の制作の裏側と、音楽づくりにおいて大切にしていることについて語っている。
「音楽のビートに心を動かされることが多いです。曲をつくるときは、まずそのビートに惹かれるかどうかが決め手となります」とタイラは言う。「ビートを聴いて思いついたこと歌い、後から聞き返して曲に一番合うものを選ぶことが大好きなんです。歌詞は、その後に自然と降りてきます」。
さらに彼女は、歌詞が「ストレートな」曲よりも、「なにかを感じさせてくれる」曲のほうが好きだと語った。
「『Water』は、誰もが共感して楽しめるようなサマーソングにしたいと思っていました。曲としては、性的なたかぶりを表現しています。『あなたになにができるのか、見せてちょうだい。おしゃべりはもういいから』と男の人を挑発しているのです。男の人って、なにかと口数が多いですから」。
タイラは、「夏を代表する曲」を作るという明確な目的を持ってスタジオ入りしたと解説する。また、南アフリカのケープタウンでレコーディングを終えた後も「ずっと聴き続けていた」こと、ステージ上でオーディエンスの反応に深く感動したことも語った。
「『Water』を聴いた瞬間、『できた!』と思いました。思い通りの曲に仕上がったと確信したんです。個人的には、2023年を代表する曲……アフリカのサウンドを象徴する曲だと思っています。アフリカの人だけでなく、世界中の人のための曲なんです……実際、私はこの曲を通してアフリカの音楽を世界に届けているのです」。
さらに彼女は、複数のボーカルトラックを重ねる手法が大好きだと語った。「Water」でも、コーラスの部分で複数のシンガーの歌声が重ねられ、メインボーカルを支えている。「ほかの人たちの歌声を取り入れたことで、楽曲を俯瞰できるようになりました。そうすることでひとつのバイブとして、パーティーでみんなが同じ曲を歌っているような雰囲気を醸成することができたのです。おかげで、とても美しいサウンドに仕上がりました」
ネット上で拡散された「Water」のダンスの着想源について尋ねると、曲の振り付けは「自分の一部であるため」、自然に浮かんだものであると明かした。また、母国・南アフリカを代表するアーティストとして、この国の音楽を世界中に発信することにも言及した。
「子供の頃は、リアーナやブリトニー・スピアーズ、マイケル・ジャクソンのようなポップスターが南アフリカから誕生することを願っていました。自分の故郷からスターが生まれたらいいのにとずっと思い続けてきたのです。いまは、故郷の人たちのためにも、私自身が南アフリカを代表するポップスターになりたいと思っています」と彼女は語る。
「いつかはアーティストとして認められる日が来るとずっと信じていましたが、いつもどこかに疑いの気持ちがあったのも事実です。私の周りには、南アフリカから世界に羽ばたいたアーティストがいませんでしたから」と言い、次のように言葉を継いだ。「ですから、いまは自分自身が門戸を開く存在になりたいと思っています」。
2024年3月リリースのデビューアルバム『TYLA』から、12月中旬時点で「Water」のほか3つの収録曲が先行公開されている
From Rolling Stone US.
タイラ
『TYLA』
2024年3月1日リリース予定
再生・購入: https://lnk.to/tylatyla
「Water」
再生・購入:https://lnk.to/TylaWater