不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、5年以内に賃貸物件から引越しをした1,075名に調査を実施し、「退去費用は入居者負担?間違えがち項目ランキング」を発表した。

引越しシーズンに毎年SNS等で話題になる「退去費用にまつわるトラブル」。国土交通省は賃貸物件の退去時における原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぐことを目的に、原状回復の費用負担のあり方などをまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開している。このガイドラインを把握していれば納得感をもって退去費用を負担することができ、減額交渉もできるが、しっかりと読み込んで理解するのもなかなか大変だ。このほど同社は、5年以内に賃貸物件から引っ越した1,075名にアンケートを実施し、特に間違いが多かったものをランキング化することで、特に注意すべきポイントを明らかにした。

退去費用について過半数が「納得がいかなかった」

まず「賃貸物件の退去費用について納得はいきましたか?」という質問では、「納得がいかなかった」と回答したのは過半数の51.6%。そのうち10.9%は「納得がいかず交渉をして減額となった」と回答しており、提示額はそのまま飲み込まなければならないもの、という訳ではないよう。

賃貸物件を借りると、入居者(借主)には「原状回復」義務が生じる。ガイドラインでは、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなど、入居者の使い方に問題があったことでできた汚れや傷の修繕費用を入居者が負担すると定義されている。

しかし「原状回復」という言葉の意味について、最も考えに近いものを選んでもらったところ、最も多かった回答が「借りた当初の状態に戻すこと」(48.2%)。正しい理解をしている人は42.7%と半数以下だった。

「借主が負担しなくて良い費用」間違えがち項目TOP10:1位は「画びょうやピンの穴」

入居者が負担しなくて良い(貸主負担とされる)各項目について、正解率が最も低かったのは「ポスター等を貼ったことによる画びょうやピンの穴」(正解率33.4%)だった。また、「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」(正解率39.6%)、「冷蔵庫設置による壁焼け」(正解率43.9%)、「エアコンを設置したことでできた穴や跡」(46.1%)、「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」(46.9%)も、正解率が半数を割り込んだ。

ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものとされ、壁の下地にまで達しない画びょうの穴は通常の損耗と考えられる。一方、釘やビスなどを壁に打ち込んだ場合の補修費用は、入居者負担になるという。

「貸主が負担しなければならない費用」間違えがち項目TOP10:1位は「専用庭の雑草処理」

続いて、入居者が負担しなければならない(借主負担とされる)各項目について、正解率(「借主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「専用庭の雑草処理」(正解率27.8%)。また、「雨の吹き込みによる床の色落ち」(正解率38.0%)、「(物件構造に起因しない)結露によるカビ・シミ」(正解率41.0%)、「エアコンの水漏れによる床の傷み」(正解率41.4%)、「水回りの水垢やカビ」(48.2%)は正解率が半数を割り込んだ。

借りた物件に専用庭が付いている場合、庭の管理責任は入居者となる。民法で定められている「善管注意義務」を賃貸物件に当てはめると、「入居者は一般常識に則り、注意しながら借りている物件を保存しなければならない」ということになり、退去時に雑草が生い茂っている場合にはその処理費用は入居者負担となるという。

なお、明らかに物件の構造に問題がある場合などは退去費用を払う必要がない可能性もあり、被害を見つけた際には早急に貸主に報告を行うことが重要と言えそうだ。