◆ 「一緒の時間を過ごすのはすごく大事なこと」
キャッチャーミットを手に“チームザキ”に飛び込んだ。
昨季、35セーブを挙げるなどチームのリーグ優勝に大きく貢献したタイガースの岩崎優が後輩投手を引き連れての合同自主トレが年明け4日から静岡県静岡市で始まっている。
参加する投手はすべてサウスポー。育成の川原陸を除いて島本浩也、桐敷拓馬、及川雅貴の3人はリリーフと、リーグを代表する抑え投手となった岩崎から日々、技術を吸収し進化を目指している。
そんな中、第2クールから加わったのがキャッチャーの栄枝裕貴。
昨年に続き2年連続での参加となる25歳は「めちゃくちゃ良い練習ができていると思います。トレーニングも走る方も、打つ方も本当に」と充実の日々を振り返った。
どちらかと言えば、合同自主トレは投手は投手、野手は野手で集まって行うことが多い。
投球練習と打撃練習など、取り組むメニューが投手と野手では違う部分もあり、練習効率を考えれば栄枝も他の“チーム”に参加することも選択肢の1つだったように思うが本人は首を振る。
「ザキさん(岩崎)、シマさん(島本)、桐敷が(ボールを)1箱投げてくれる。打つ方もしっかり練習できている」
拠点の草薙球場での屋外フリー打撃では岩崎らが打撃投手を務めてくれることもあるという。
豪華な面々の生きたボールをこの時期から目にして打ち込めることは大きな利点。野手が1人ということで打撃練習に割ける時間も多いそうだ。
「野手陣のとこに行ってもいいんですけど、(打ち込みの)数っていうのは、本当に一番良い環境じゃないかなと。独り占めじゃないですけど」
技術的な助言を送ってもらえる野手の先輩は不在でも、昨秋のフェニックスリーグで手応えをつかんだという打撃フォーム、感覚をしっかりと体に落とし込むための「数」は十分なほどこなせる。
何より、ここは捕手として最高の環境。「ピッチャーと触れ合うというか、一緒の時間を過ごすのはすごく大事なこと」と力強くうなずく。岩崎という1軍で実績のある投手から育成の川原までタイプも性格もそれぞれ違った4投手と同じ釜の飯を食って意思疎通を図っている。
「やっぱりピッチャーに信頼してもらうっていうのは試合に出た時に良い結果を生むと思うので。抑えるのはピッチャーとの共同作業。この期間は大事」
昨年はリーグ優勝、日本一の瞬間を味わったものの、1軍での出場は2試合のみだった。
「優勝の輪の中にいたんですけど、心の底から喜べたかというと全然そうではなかった。やっぱり試合に出て、チームに貢献して優勝したい。かなりアピールしないとチャンスはもらえないと思うんですけど、そこを突破できるように」
チームには梅野隆太郎、坂本誠志郎がおり、牙城は1つではない。静岡で醸成した信頼関係をグラウンドでどう結果に結びつけるか。
4年目を迎えた背番号39の真価が試される。
文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)