銀ピカに光り輝くブガッティシロン「ラ・メール・アルジェンテ」とは?

黎明期の軽量なグランプリカーから、物理学の常識を覆すチェントディエチに至るまで、ブガッティはこれまでに最も技術的に秀逸でエクスクルーシブなマシンを生み出してきた。中でもシロンは、モールスハイムをハイパーカー生産の最前線に返り咲かせたマシンの後継モデルとして登場し、発売当時はまさに”地上最速の市販車”だった。この驚異的なマシンはわずか500台しか製造されなかったが、その限られた台数の中でも、1月21日に開催されるRMサザビーズ主催のオークション「PARIS」に出品された「ラ・メール・アルジェンテ」は完全に唯一無二の存在である。

【画像】これでもか!というほどのパーソナライゼーションが施された、銀色に光り輝くブガッティシロン(写真10点)

2016年4月にオーダーされたこのラ・メール・アルジェンテは、最初に納車された3台のうちの1台で、モールスハイムのアトリエからそれぞれオーナーの元へ向けて同時に出発した。ラ・メール・アルジェンテに搭載された1,479馬力の8リッター・クワッドターボ・W型16気筒エンジンは他のシロンとも共通だが、他の部分ではめったにお目にかかれないレベルのパーソナライゼーションが施されている。

この車はノクターンとアージェントメタリックのカラーリングが施され、アージェントメタリックのシグネチャーライン、エンジンカバー、ホースシューグリルは特に印象的だ。インテリアは、ベルーガ・ブラックのレザーにイタリアン・レッドのキルティングが施されたシートと同色のシートベルトで豪華に仕上げられている。コンフォートシートはオプションで2万5000ユーロ、レッドブレーキキャリパーは追加価格3000ユーロだ。また、「シルバー・シー」を意味するこの車名がデディケーション・プレートに刻まれ、各ヘッドレストには4500ユーロのステッチが施された。

納車から2年後、シロンはファクトリーでさらなるアップデートが施された。2019年2月には、シロン・スポーツからアップグレードされたサスペンション・セットアップ、ポリッシュ仕上げのアルミニウム製ホイール、カーボン製フロントガラス・ワイパーを含むパフォーマンス・パッケージが、約12万5000ユーロで装着された。

同年5月にはエクステリアの改良も行われ、ミラーシャイン製の新しい馬蹄形グリルとサイドメッシュ、そして車体前部にアルミニウム効果のあるラッピングが施され、その総額は6万2250ユーロだった。直近では、このシロンは2022年7月22日に定期点検のためにモールスハイム工場に戻っており、8124.65ユーロの請求書が添付されている。

現在、このシロンは最初のオーナーの手元にあり、走行距離はわずか4758kmだ。ブガッティのオーナーズハンドブックとマニュアル、販売時の請求書、さらに工場での数々のアップグレードや整備に関する数多くの請求書が付属している。なお、落札予想価格は約4億4000万円~5億6000万円と高額だ。

しかし、生産台数に限りがあり、現代のほかのハイパーカーとは比較にならないほど魅力的なシロンの出品は、多くのコレクターの注目を集めるだろう。低走行のワンオーナー車が入手可能であることは貴重な機会であり、ユニークな仕様が魅力をさらに高めている。シロン・スポーツ・サスペンションやホイールなど、数々のアップグレードが施されたこの「ラ・メール・アルジェンテ」は、ランドマーク的モデルのコレクションの中でもハイライトとなるに違いない。