京都市交通局は17日、地下鉄烏丸線20系の第5編成を導入し、1月30日から運行開始すると発表した。第5編成も車内装備品の標記銘板や釘隠しに新たなデザインを採用。「おもいやりエリア」の展示スペースに京都の伝統産業品「京銘竹・京竹工芸」「京七宝」を飾り付けた。
地下鉄烏丸線で活躍する全20編成のうち、開業以来40年間使用し、老朽化した9編成について、安全確保のため、2021~2025年度にかけて新型車両20系への更新を進めている。これまでに4編成導入されており、新たに導入される第5編成は、1月30日の竹田駅15時5分発、国際会館行の列車から営業運転を開始する。
新型車両20系は、伝統産業を身近に感じてもらい、京都らしい地下鉄車両とするために伝統産業を活用。第5編成も車内装備品である標記銘板(車号・事業者)や釘隠しに新たなデザインを採用した。
標記銘板は「京象嵌(きょうぞうがん)」の技法を活用し、伝統文様である「幸菱(さいわいびし)」の基本的な柄はそのままに、編成ごとにデザインを変更。第5編成は幸菱そのものの形状が浮かび上がるように配置し、リズミカルにまとめたデザインとしている。
釘隠し(くぎかくし)は「金属工芸」の技法を活用し、編成ごとにデザインを変更。第5編成は「地下鉄でおでかけ(地下鉄沿線の京都市関係施設)」をテーマとし、「京都コンサートホール(烏丸線北山駅)」「二条城二の丸御殿(東西線二条城前駅)」「京都市動物園(東西線蹴上駅)」「京都市京セラ美術館(東西線東山駅)」をモチーフとしている。
「おもいやりエリア」に展示する伝統産業品も編成ごとに変更。第5編成の2135号車は「京銘竹・京竹工芸」を飾り付ける。「京銘竹」は京都産の良質な竹を京都ならではの技法で加工した白竹(しらたけ)、図面角竹(ずめんかくちく)、亀甲竹(きっこうちく)、胡麻竹(ごまたけ)の4種類があるとのこと。「京竹工芸」は京都産の竹を素材に伝統技法を用いて作られた小物。「おもいやりエリア」では「京銘竹」を一部使用した垣根や戸、「京竹工芸」の代表的な編み目の実物を紹介する。
2835号車に飾り付ける「京七宝」は、銀・銅の金属の上にガラス質の釉薬をのせて、高温で焼き付ける金属工芸。安土桃山時代に京の公家文化の中で生活を彩る産業として華開き、宮殿の釘隠し、襖の引き手等のさまざまな作品が作られたという。現在は工芸品や額、アクセサリー等が作られており、「おもいやりエリア」では、装・食・和・飾・住・楽・誂の各テーマに沿った実物作品を紹介している。