ロングティーを行うロッテ・髙部瑛斗[撮影=岩下雄太]

 ロッテの髙部瑛斗は、もう一度レギュラーを掴みにいく。

 3年目の22年はオープン戦で12球団トップの打率をマークし、開幕してからも大きく調子を落とすことなく1年間戦い抜き、リーグトップの44盗塁、リーグ2位の148安打、守っても外野手部門最多得票でゴールデン・グラブ賞を受賞した。2年目まではファームで2年連続打率3割以上をマークするも一軍に定着できずにいたが、レギュラーを掴み取り、大きく飛躍を遂げた。

 一軍定着、レギュラー入りを狙った21年オフは「技術、フィジカル面、メンタル面、この3つの要素が全て揃っていなかった」と、一軍で打てなかった原因を分析し、技術、フィジカル、メンタルの向上を図ったが、22年オフは「まずは体の面を重点的にやって、体が大事だなと感じたシーズンでもあったので、体をまずやって技術に繋げられるように」ということをテーマに過ごした。

 23年は2月14日以降も石垣島に残ってキャンプを送り、関東に戻ってからは3月2日のDeNAとの春季教育リーグで『3番・指名打者』で出場して2安打すると、翌3日の西武との春季教育リーグに出場。しかし、3日の試合を最後に二軍戦の出場がなく、9日に『右肩甲下筋肉離れ』と診断された。開幕一軍が絶望視されていた中で、19日のDeNAとの二軍戦で実戦復帰し、24日の中日とのオープン戦に出場。開幕一軍に間に合うかと思われたが、開幕は二軍スタート。4月19日のヤクルトとの二軍戦で初めて守備についたが、23日の日本ハムとの二軍戦に出場した際に右肩に違和感を感じ、29日に『右肩甲下筋損傷』で離脱。

 オールスター期間中の7月20日のZOZOマリン練習で一軍練習に参加し、8月8日の日本ハム二軍戦で、『3番・指名打者』で4月23日の日本ハム二軍戦以来となる実戦出場。第3打席に適時三塁打を放つなど2安打1盗塁をマークし、一軍が8月停滞気味だった中で、髙部の二軍戦復帰は明るい材料だった。ここから髙部が一軍に戻り、オリックスを追いかけていく切り札になるかと思われたが、結局この試合が2023年の最後の実戦出場となった。

 9月1日に『第一肋骨切除術』。8月のファームでの実戦復帰は、最後まで一軍の試合に出られるのであれば、試合に出るぞという強い気持ちを持っての復帰だったのだろうかーー。

 「そうですね、完璧の完璧ではなかったですが、どうにか試合に出なきゃいけないなという気持ちもあり、いろんな方と話をさせてもらって、ああやってファームで復帰させてもらった。結果は良くなかったですけど、最後まで一軍に出ようと思えていたのは僕の中では良かった。残念でしたけど、はい」。

 飛躍の22年から一転、23年は一軍出場がなく、悔しいシーズンに終わった。昨季は故障で一軍出場がなかった中で、22年に出た課題を24年に活かしていくのか、それともまた新しい形を見つけていくのかーー。

 「22年に経験したこともすごくありますけど、結局は過去のことなので、24年はしっかりまたイチから自分を作り上げていきたい。毎年そうだと思うので、出ていない関係なく、しっかり自分の形というのをどんどん作り上げたいなと思います」。

 髙部が一軍不在の中で、チームは絶対に負けられない4位・楽天とのシーズン最終戦に勝利し2年ぶりの2位に入り、ソフトバンクとのクライマックスシリーズでも第3戦に3点を追う延長10回に藤岡裕大の値千金の同点3ラン、安田尚憲のサヨナラ打で劇的勝利し、ファイナルステージに進出を決めた。

 「去年はほぼ試合を見ていないので、あまり分かりませんが、自分がいて優勝しなければつまらないですし、出るからには優勝目指したりとか、優勝した時の一員で入れるようにとは思っています」。

 外野手の競争は熾烈だが、故障がいえ、万全な状態であれば、外野のレギュラー最有力候補であることは間違いない。昨季の悔しさを“結果”という形で晴らしたい。

取材・文=岩下雄太

※お詫びと訂正

初出時に3年目の23年と書いておりましたが、正しくは3年目の22年です。大変申し訳ございませんでした。