昨年、アークテリクスによるクライミング体験企画で同ブランドの原点を「身をもって知った」筆者。
今度は2024の春夏モデルの発表会に参加してきました。シェルジャケットやバックパックという「いかにもな製品」に交じり、意外なプロダクトにも出会えたので紹介します。
ハードシェルとバックパックが進化
定番のハードシェルは「BETA JACKET M/W(以下、ベータ ジャケット)」(6万8,200円)、「BETA LIGHTWEIGHT JACKET M/W(以下、ベータ ライトウェイト ジャケット)」(8万4,700円)の2モデルがリリース。
その特徴は 耐久性のある「ePEメンブレン」を使用していることでしょう。
ゴアテックスの最新素材で、「耐久防水性、防風性、透湿性」に加えて軽量で薄く、丈夫という特性を実現している本素材。
「現行のベータ ジャケットは30デニールの表生地ですが、新モデルは80にデニール数を上げ、耐久性が非常に向上したのが特徴です。 一方、重量はメンズモデルで300グラムが375グラム、ウィメンズが270グラムから300グラムとやや重くなりますが、風や雨を遮断する機能は高まっています」とMD担当の方が説明します。
またベータ ライトウェイト ジャケットは現行モデルの「ベータ LT ジャケット」がゴアテックスのアップデートと共に製品名も変わった形。
表生地の40デニールは新モデルも同じですが、非常に薄くて軽いのが特徴で、ウィメンズモデルが300グラム、メンズが340グラムとなり、「携帯性に優れているので、夏の登山や高山でもアルパインとして使用できる仕様です」とその強みを説明するのでした。
またバックパックの新モデル「Aerios 18/35 Backpack」(2万9,700円/18l、4万2,900円/35l)は現行のメンズ、ウィメンズ区分を廃止。
新しいショルダー/ヒップベルトの構造で「ジェンダーレスでより快適なファストハイク用バックパック」になったと言います。
「トップ部内側のバックパネルがベルクロになっていて、白い目盛りを参考にして自分の肩の場所にショルダーベルトを調整可能です。それぞれの体にフィットし、ショルダーを体型に合わせられるのでジェンダーレスとしています」
アークテリクス初のシューズが登場
最後に紹介されたのがシューズ。アークテリクスとシューズはあまりなじみが無いですよね?
実はシューズ専門のオフィスが誕生したのは2021年6月、そこから製品化を進め2024春夏モデルが満を持してのお披露目となるのです。
「3名のアスリートによる開発協力を得て、いま使っているプロダクトの課題抽出や解消したい点を洗い出しました。そして理想の『フィット』『ライド』『プロテクション』に焦点を当てた3種類の製品をリリースします」
こうして登場したのが、クライムポイントに向かったり、登山にも利用したりする「VERTEX ALPINE(バーテックス アルパイン)」(3万7,400円/ゴアテックスモデル4万2,900円)、トレイルランニングシューズ「SYLAN(シラン)」(3万4,100円/ゴアテックスモデル3万9,600円)、5~10分程度の短い距離のアプローチやリカバリーを軸とする「KRAGG(クラッグ)」(2万7,500円)です。
その中でもリカバリーシューズのクラッグが気になりました。
アッパーはメッシュ素材、ストレッチの効いたニットのタンなど「履いていることを忘れるような」フィット感が特徴です。
開発に協力した女子クライミング選手白石阿島さんは「クライミングのアプローチシューズは『グリップ力があるしっかりしたもの』『サンダルのようなリカバリー特化のサンダルのようなもの』の2択なの?」という疑問を持っていたそうです。
そこから誕生した本シューズ、つま先は保護のためのラバートゥキャップ、ソールはヴィブラムを採用するなど足元とかかとの保護に前述したメッシュ素材による最適な通気性を両立しているそうです。
ヒール部は折り込み可能で「片手で着脱可能」、またミッドソールとインソールが一体化することで快適性と抗菌性を体現したとも言います。
アークテリクスの原点は「クライミング」だということを改めて感じさせるプロダクトではないでしょうか。
筆者の場合だと、趣味のスノーボード後に足を休ませ、温泉へ向かう際の履物として使ってみたいですね。
同ブランドの高い機能性を備えたプロダクトたち。春夏コレクションも含め、そのアップデートに注目が集まりそうです。