ソフトバンクから人的補償で西武に移籍した甲斐野央(C)KyodoNews

 西武は11日、ソフトバンクへFA移籍した山川穂高選手の人的補償選手として甲斐野央投手を獲得した。甲斐野は1年目の19年に65試合、26ホールド、8セーブをマークし、昨季は46試合に登板して、3勝1敗2セーブ8ホールド、防御率2.53の成績を残した。

 新天地となる西武は昨季、救援防御率2.79だったが、セットアッパー、クローザーの固定に苦しんだ。甲斐野にはセットアッパー、さらにはクローザーとしての活躍に期待がかかる。

 近年、FA選手の人的補償選手が、新天地でリリーフとして活躍するケースが増えている。昨季でいえば、ソフトバンクにFA移籍した近藤健介の人的補償選手として、日本ハムに加入した田中正義がそうだ。田中はソフトバンク時代、故障に苦しみ22年までの6年間で一軍で34試合の登板だったが、日本ハムに移籍した昨季シーズン自己最多の47試合に登板。プロ初勝利を挙げるなど、2勝(3敗)、8ホールド、シーズン途中から抑えを任され、プロ初セーブを含む25セーブをマークした。

 19年に楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償選手として、ロッテに加入した小野郁も移籍1年目の20年に、当時シーズン自己最多となる40試合に登板し、プロ初勝利、初ホールドを含む、2勝、4ホールド、防御率3.23。同年から3年連続40試合以上に登板し、22年には初めてオールスターゲームにも出場した。

 同じく19年にロッテへFA移籍した美馬学の人的補償選手として、楽天に入団した酒居知史も楽天のブルペンに欠かせない存在になっている。酒居も今回人的補償で移籍した甲斐野と同じように、ロッテ最終年となった19年に54試合、20ホールドを挙げるなど、一軍でバリバリ投げていた投手。酒居は楽天移籍1年目となった20年、46試合に登板して、3勝(2敗)、12ホールド、防御率3.65。移籍2年目の21年には54試合に登板して、28ホールド、3セーブ、防御率2.28の成績を残し、昨季も47試合に登板して5勝(3敗)、20ホールド、1セーブ、防御率2.98。楽天で更なる飛躍を遂げた投手と言えるだろう。

 又吉克樹の人的補償で中日に移籍した岩嵜翔は、中日移籍後1年目の22年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、1試合の登板にとどまったが、故障が癒えれば、戦力になる可能性は高い。

 その他、馬原孝浩、一岡竜司などが人的補償選手として移籍し、リリーフで存在感を見せた。甲斐野も西武で、キャリアハイとなる活躍を見せることに期待したい。