AYANEOがCES 2024にあわせて発表したハンドヘルド型ゲーミングPC「AYANEO Next Lite」は、初出時SteamOSをプリインストールしているとして注目を集めていた。今回詳細な仕様と価格が明らかにされており、なんとOSにはSteamOSではなくHoloISOをプリインストールすることが判明している。
ハンドヘルド型ゲーミングPCの大半は一般的なPCと同様、Windowsを導入している。これによって互換性の問題等を考慮する必要がなく、普通のゲーミングPCと同様に販売可能。一方でSteamを展開するValveのみ、独自にLinuxをカスタマイズした「SteamOS」を開発しており、これを標準搭載する「Steam Deck」を販売している。
今回、AYANEOはCES 2024にあわせて、Valveに続いてSteamOSをインストールするという「AYANEO Next Lite」を発表していた。しかし発表後にブログの内容が更新され、SteamOSという記述を削除。新しい文面によると、プリインストールOSには「HoloISO」が採用されているようだ。
HoloISOとは、SteamOSからフォークした非公式OSのこと。もともとSteam Deck登場時、Steam DeckにインストールされているSteamOSを他のシステムに導入して使いたいユーザー向けに展開されてきたようで、GithubのRead Meによると99%ほどは同じコード・パッケージだとされている。コミットは5カ月前のものが最後で、今はほとんどメンテナンスされていないようだ。 ちなみに、HoloISOはGeForce環境を全くサポートしていない。
というのも、今ではValveが直々にSteam OSを他システムに導入できるようイメージの配布を行っており、一般的な用途では非公式のHoloISOを利用する必要がない。公式配布版Steam OSならGeForce環境でも利用できる点もポイント。自分だけのSteam Machineを組み立てることができるとしている。
上の画像をよく見ると、HoloISOはAYANEOチームによってNext Lite向けに最適化が行われているようだ。さらに購入後、ユーザー独自にWindowsをインストールすることも可能。専用のドライバも配布するとしており、Windows環境でも快適に利用できそうだ。なお、その場合は別途Windowsのライセンスを用意する必要がある。飛躍して解釈すれば、標準仕様では製品価格にWindowsのライセンス料を載せる必要がなく、競争力のある価格設定実現に一役買っているともいえるだろう。
OSのほか、製品ページが開設されて仕様についても判明している。プロセッサにはAMD Ryzen 5 4500U / Ryzen 7 4800Uが搭載されるとのことで、16GBメモリを搭載して128GB SSD / 512GB SSDモデルをラインナップ。価格は299~399米ドルに設定されており、Steam Deckに競合するための価格設定が図られている。
ちなみに、AMD Ryzen 5 4500U / Ryzen 7 4800Uは約4年前のプロセッサ。CPUはZen2、GPUはVegaが採用されている。一方、Steam Deckのプロセッサは専用のカスタムモデルなので、CPUこそ共通のZen2だが、GPUにはRDNA 2を搭載していて世代が新しい。性能差は多少なりともあるはずだ。