ロッテのドラフト1位・上田希由翔[撮影=岩下雄太]

 ロッテのドラフト1位・上田希由翔(明治大)は昨年12月7日に行われた新入団選手発表会でプロ1年目の目標に“80安打・50”打点を掲げた。

 新人合同自主トレ初日に、改めて上田はその理由について質問すると、「新人王だったり、首位打者というとざっくりした目標になってしまうので、最低でもこの数値を残したいという意味で、80安打50打点を掲げさせていただきました」と説明し、「なかなか上を見るのは良くないなと思うんですけど、最低でもというラインを自分で作ることによって、それを達成したいという気持ちでいける。数値化したほうが、1年間通しての自分の結果がわかりやすいと思うので、そういう意味でも目標を掲げさせていただきました」と続けた。

 上田は明治大時代、リーグ戦通算83試合に出場して、打率.312(308-96)、10本塁打、74打点。2年秋のリーグ戦から5季連続10打点以上挙げるなど、通算74打点は六大学野球歴代4位にあたる。

 安田尚憲、山口航輝といった近い世代の選手たちと共に、ポイントゲッターとして1年目から期待がかかる。

◆ マリン移転後80安打、50打点を達成した選手は?

 牧秀悟(DeNA)、佐藤輝明(阪神)など大卒1年目からバリバリのレギュラーで活躍する選手もいるが、なかなか1年目から彼らのように打つのは難しく、昨季阪神の優勝に貢献した森下翔太(阪神)も、79安打・41打点と“80安打・50打点”に届かず、上田が目標に掲げた“80安打・50打点”は意外とハードルが高い。昨季大卒1年目だった友杉篤輝も、上田と打者のタイプは異なるが、開幕からシーズン最終盤まで一軍に帯同するも、藤岡裕大と併用で出場したいたこともあり、47安打だった。

 本拠地をZOZOマリンスタジアムに移転した92年以降、ロッテの大卒ルーキーで、“80安打・50打点”をクリアした選手を見ていくと、80安打以上放った選手は10年ドラフト1位で東海大からプロ入りし、1年目の11年に110安打放った伊志嶺翔大のみで、俊足タイプの選手が多いことも関係しているのか、大卒1年目に50打点以上挙げた選手は1人もいない。

 14年ドラフト1位で早稲田大からロッテに入団し、現在チームキャプテンを務める中村奨吾も1年目から出場し活躍していたイメージはあったが、62安打・21打点、現在は楽天でプレーする鈴木大地は大卒3年目の14年からチームキャプテンを務め、若くしてレギュラーとなったが、1年目の12年は37安打・11打点だった。

 即戦力ルーキーとはいえ、野手に関しては1年目からバリバリ結果を残すのが難しいことがわかる。その中で、上田が1年目の目標を達成することができるか注目だ。

▼ 本拠地ZOZOマリン移転以降ロッテに入団した大卒ルーキーの1年目成績

※1年目育成選手の成績は含まない

清水将海(97年)77試 率.169(177-30) 本1 点8 盗0

柳沼 強(97年)一軍出場なし

於保浩己(98年)一軍出場なし

里崎智也(99年)一軍出場なし

喜多隆志(02年)19試 率.220(50-11) 本0 点3 盗0

辻 俊哉(02年)41試 率.207(82-17) 本1 点8 盗0

丸山泰嗣(02年)5試 率.000(3-0) 0本 点0 盗0

田中雅彦(04年)一軍出場なし

大松尚逸(05年)3試 率.143(7-1) 本0 点0 盗0

根元俊一(06年)31試 率.167(54-9) 本0 点1 盗3

神戸拓光(07年)一軍出場なし

伊志嶺翔大(11年)126試 率.261(422-110) 本2 点21 盗32

小池翔大(11年)一軍出場なし

鈴木大地(12年)62試 率.274(135-37) 本0 点11 盗0

加藤翔平(13年)23試 率.154(26-4) 本1 点1 盗0

吉田裕太(14年)50試 率.220(123-27) 本2 点7 盗0

三木 亮(14年)18試 率.176 (17-3) 本0 点0 盗0

中村奨吾(15年)111試 率.230 (269-62) 本5 点21 盗4

寺島寛大(15年)一軍出場なし

柿沼友哉(16年)一軍出場なし

宗接唯人(17年)一軍出場なし

佐藤都志也(20年)60試 率.228 (114-26) 本2 点12 盗0

髙部瑛斗(20年)5試 率.100 (10-1) 本0 点0 盗0

福田光輝(20年)15試 率.087 (23-2) 本0 点0 盗0

小川龍成(21年)20試 率.000 (6-0) 本0 点0 盗2

池田来翔(22年)11試 率.091 (22-2) 本0 点0 盗0

友杉篤輝(23年)64試 率.254 (185-47) 本0 点9 盗9

取材・文=岩下雄太