明治は1月10日、カカオから抽出した美容にまつわる成分「カカオセラミド」の素材化に世界で初めて成功したことを発表した。
■カカオの未活用部位から美容成分を発見!
同社は、カカオに関わるすべての人を笑顔にしたいという考えのもと、「ひらけ、カカオ。」をスローガンに掲げ、カカオの新しい価値創造に挑戦してきた。
今回の素材化もその取り組みの中の1つ。メディア発表会で明治代表取締役社長の松田克也氏は、「取引の対象であり、チョコレート原料として活用してきたのはカカオ豆だけであり、国内に運ばれたカカオハスク(種皮)は加工段階で取り除かれ、有効活用がされておりません。カカオの実の約3割しか価値に転換されてないと言えます」と説明。
特にカカオハスクは、世界で約50万トン、国内では約4900トンもの量が発生していると推計されており、その大半が活用されていない現状があるという。その未活用部位であるカカオハスクに、スキンケア成分として知られる「セラミド」が含まれていることを、同社は帝京大学と成分研究を行う中で発見。
そもそも"セラミド"とは、肌の表皮の角質層内に含まれる"保湿因子"のひとつで、スキンケア成分として多くの化粧品に含まれるなど、人気の高い成分だ。
帝京大学の古賀仁一郎教授によれば、同成分は、その原料や性質によって分類されており、肌に塗る用途で主に使用されているのは「ヒト型遊離セラミド」、主に健康食品素材として食されているのは「グルコシルセラミド」だという。
今回、素材化したカカオ由来のセラミドは、「グルコシルセラミド」と「ヒト型遊離セラミド」の2種類が含まれているため、食品と化粧品の双方に活用することが可能なのだとか。さらに研究では、カカオの部位のうち、カカオハスクには他の植物よりもはるかに多量のセラミドが含まれることがわかった。
古賀教授はこの発見に対し、「グローバルの意味で、非常にインパクトがあると考えております。セラミド素材というのは、一般的に植物の中では含有量が非常に低いので、抽出コストがかかり、非常に高価だと言われております。しかしながら、この素材を使えば、大幅なコストダウンが期待できると考えております」と話す。
続けて、「私たちの発見は、カカオの未活用部位の高付加価値化を導きました。これはグローバルな意味において、カカオ生産国におけるサステナブルな原料の利用を将来的に促進するのではないかと考えております」とし、期待感をのぞかせた。
続いて、登場したZero Gravity主席顧問でありスキンケア成分ハンターの竹岡篤史氏は、近年の世界の化粧品成分マーケットにおいて植物由来や発酵、藻類など天然の素材を活用した美容成分の開発が特に進んでいることについて触れた。
またその中でも"アップサイクル"や"サステナビリティ"といった環境や資源への配慮がされた成分開発が大きなトレンドに。「カカオセラミド」も、このトレンドに乗り、世界の市場でも高い評価を受ける可能性を持っているという。
そんな可能性を秘めた成分に対し、明治代表取締役社長の松田氏は「このカカオセラミドを明治1社だけではなく、新たなパートナーと共創していくことで、地球全体のメリットとして広げていきたい」と、今後の展望を明かした。