最近人気の金継ぎとは?サステナブルなだけじゃない、金継ぎの魅力を紹介

■最近話題の『金継ぎ』って?

金継ぎは室町時代より発祥したとされる、器を直す技術です。
欠けてしまったところや、割れてしまったところに金粉をまぶしていくことが “金継ぎ” と言われる理由です。

直す道具には漆の木の樹液を使用します。
漆は日本の歴史の中では欠かせないもので、金継ぎ以外にもたくさん使用されています。
なんと、縄文時代には漆を使用して土器を直したような跡が見つかっているほど。

■なんで今になって金継ぎが話題なの?

最近ではテレビでも取り上げられ、書店では金継ぎの本がたくさん売られています。
話題になったキッカケはいくつかありますが、一番の理由はSDGsやサステナブルという考えが広まったことではないでしょうか。
金継ぎが器を直す技術であるということはもちろん、金継ぎしたあとのデザイン性も優れているのが、メディア的に訴求しやすい部分だったと思います。

東京2020パラリンピックの閉会式でも金継ぎが取り上げられていましたし、イギリスのBBCテレビではオリンピック選手と金継ぎをコラボしたビデオが放送されました。
他にも、ルイヴィトンやpumaが商品に金継ぎをデザインに取り入れるなど、2024年もまだまだ話題に上がることが予想されます。

■金継ぎの魅力はサステナブルだけじゃない!

上記したとおり、サステナブルな視点で金継ぎが取り上げられることが多いです。
ただ、それだけが金継ぎの魅力ではありません。
私が運営している金継ぎ教室に来られたお客様の声を交えて紹介したいと思います。

○経年変化を楽しめる

教室に来られたお客様の中に、破損箇所以外で、すでに金継ぎされた箇所がある器を持参された方がいらっしゃいました。
「金継ぎされたことがあるんですか?」と聞くと、お客様本人ではなく、お客様のご家族が直されたそうです。

「ここは昔に祖母が直したところで、こっちは母が直したところ。そして、今日は私が欠けちゃった部分を直したいんです」と、お客様が話してくださいました。
金継ぎされた箇所はそれぞれ違う色味となり、それがご家族の歴史を刻んでいるようでした。

金継ぎはずっと金色のままではなく、使っていると徐々に金が剥がれ、下の漆の色味が出て黒っぽくなります。
この変化を、経年で美化していると考えられていたり、育てるなんて言ったりします。

このように、金継ぎは使った後の経年の変化も魅力的なポイントです。

○金継ぎ作業でリフレッシュできる

教室に来られる方の多くが、金継ぎ未経験の方です。
金継ぎは結構大変で、時間もかかりますし、慣れない道具でうまくいかないこともあると思います。
それでも最後にはしっかり使えるように直り、「むしろ金が入って前よりも素敵になった」と言ってくださる方も少なくありません。

「仕事で忙しく、こんなに集中して取り組むことは久しぶりだった」
「どんどん直っていく過程を見て、気持ちがリフレッシュされた」
というお声を、お客様から聞くことも多いです。

金継ぎは大変な作業もありますが、その大変だったという思い出も器に跡として残っていきます。
金継ぎの修理を依頼する選択肢もありますが、直したい器がある方はご自身で金継ぎするのもおすすめです。

■金継ぎの魅力を体感してください!

金継ぎの魅力について紹介しましたが、実際にやってみるとさらに新しい発見があると思います。
大切な器が壊れてしまった時に、これを読んだ方が金継ぎを思い出していただけたら嬉しいですし、すでに破損した器がある方で、これをキッカケに始めていただけたら嬉しいです。

直したい器が無くても、体験用の器がある教室もあります。
今では金継ぎの書籍も充実していますし、インターネットで道具も購入できる時代です。
今年はぜひ、金継ぎをはじめてみてはいかがでしょうか?

(萩原 裕大:漆芸家)