トーべヤンソン・ニューヨーク(TJNY)のギタリスト、アートディレクター/グラフィックデザイナー森敬太による連載第15回。今年は昨年末公開の記事に加えて、2024年の幕開けにふさわしい雑談と昨年のTJNYアワードをお届けします。(2023年11月28日収録)
[2023年度TJNYアワードのイントロはこちらから]
座談会参加者
森敬太(ギター担当、グラフィックデザイナー)/オノマトペ大臣(ラップ担当、サラリーマン/ラッパー)/西村ツチカ(ギター担当、漫画家)/澤部渡(ドラム担当、ミュージシャン)/唐木元(ピアノ担当、ミュージシャン)/玉木大地(キーボード担当、プログラマー)/金子朝一(ボーカル/ホイッスル担当、編集者)/mochilon(ベース担当、ミュージシャン)/tofubeats(名誉メンバー、音楽プロデューサー)
・ずっと続く
森:観ましたよ。『北極百貨店のコンシェルジュさん』の映画。
西村:俺も観ました。
tofu:実は試写でしか観てないんですよ僕。
澤部:僕も試写ですね。
もち:劇場はまだ行けてないですね。
森:お前らマウンティングしてる自覚ある? スタッフロール見て思ったんだけど、mochilonじゃなくて柿本論理名義で音楽やったんだね。
もち:迷ったんですよね。mochilonだと読んでもらえないかなと思って。
tofu:どうやって名義使い分けてるんですか?
大臣:Toshlと龍玄としみたいなもんじゃないの?
一同:(笑)。
金子:なんで一発目でそんな事情がありそうな例を出してくるんですか。
森:『北極百貨店のコンシェルジュさん』と蒙古タンメン中本の北極ラーメンとのコラボ、グッときたね。中本で一番辛いラーメン。
澤部:あれはよかったですね。オリジナルプリント海苔が乗ってくるやつ(笑)。
森:海苔に「その辛さは、ずっと続く」って書いてあるんだよね。普通に地獄だよ。
tofu:映画のコピー、「その想いは、ずっと続く」とかけたんでしょうけど、絶対嫌ですよ。
森:はっきりと怖いもんね。怖い文章が書いてある海苔が載ってる麺、そうそうあるもんじゃないよ。
金子:現物見とけばよかったなー。
西村:ファンの方が、辛くて途中で箸が止まったけどがんばって食べたって書いてくれてて、いじらしい気持ちになりました。
森:ずっと続くからね。辛さが。
tofu:『北極百貨店のコンシェルジュさん』、「王様のブランチ」のLiLiCoさんの映画コーナーでも紹介されてましたよね!
西村:見ました! たまたまハロウィンの回で、LiLiCoさん全力でデーモン小暮閣下のコスプレしてて。
森:目が散る回に当たったなー。
澤部:似合いそうだなー。閣下コス。
西村:めっちゃ似合ってましたよ。デーモン小暮閣下が「とっても優しい物語で~」って紹介してくれて(笑)。
一同:(笑)。
・美しい青春
森:トピック見ていきましょう。「出張嫌でひき逃げされたとウソ。会社員逮捕」。これはずっしり効くね。アメリカ出張のために空港へ向かう途中で虚偽通報する土壇場感よ。
西村:あまりにも計画性がない。
金子:気持ち分かっちゃうなー。絶対俺も何でも言っちゃうよ。
森:お察しします案件だよ。俺も中学校の時、体育の授業のバレーボールが嫌で前日に自分で腕を折ろうとしたことあるよ。
tofu:発想が怖すぎますよ! バレーボールなんて体育のなかではチョロい方じゃないですか。
森:いやもう本当に体育が嫌いでさ。なかでも球技が特に嫌い。チームの人数が少ないと気配消すのも難しくなってくるし、バレーボールなんてもう世界の終わりなんだよ。見学するためなら、腕の1本くらいくれてやると思って。
玉木:単純に天秤が壊れてますね。どうやって折ろうとしたんですか?
森:浴槽に打ち付けたけど丈夫だったな。腕。万力とか使わないと無理だと悟ったね。技術が足りなかった。
大臣:いまなら折れるのにって思いますね。惜しかった。
森:いまでも覚えてるよ。翌日の授業でたまたま上手くサーブしたら、見てる奴らとか先生が拍手したんだよ。
澤部:いじってくる感じの拍手?
森:いや、心からの優しい気持ちの拍手。「森できたじゃん! ナイス!」みたいな。
tofu:バレー好きになったんじゃないですか?
森:いやもう、悪いけど全員殺すしかないって思ったね。
一同:(笑)。
金子:最悪だ(笑)。
森:みんな体育とか運動とどう向き合ってたの?
澤部:高校の体育祭は、放送の機材を率先していじることでやってる感出して乗り切りましたね。
森:あー、知能犯だね。
澤部:とてもじゃないけど競技の方には構っていられないんですよっていう雰囲気で3年間ごまかしてたら図書カードもらえました。
西村:小学校の時、少林寺拳法やらされてたんですけど本当に嫌でした。
玉木:何が嫌だったんですか?
西村:いや、明確にいじめられてたから(笑)。
森:それは少林寺が嫌だったわけではないね(笑)。
唐木:小学生低学年の時、コーチの股間を思いっきり蹴り上げてスイミングスクールを除籍になったことあるよ俺。
西村:何があったかもうちょっと説明してもらえないですか? できれば感情移入したいんで。
一同:(笑)。
森:いきなりそれだけ聞くとただの少年犯罪だよ。
澤部:除籍。タモリが言うところの一流ですよ。
金子:卒業が三流、中退が二流、除籍が一流(笑)。
tofu:大臣は意外とスポーツマンなんですよね。テニス部だし。
大臣:そうそう。高校でテニスやってたけど、半年間やってもラケットに球が当たらなくて。顧問の先生に「球が当たらないからやめます」って言ったら、「後悔はないか?」って聞くから、「ありません!」ってまっすぐ言い返して。
一同:(笑)。
森:美しい青春だな。
tofu:僕、中学の方針で、毎日3キロ走らされて、年1回は1キロ泳がされてましたよ。
森:トーフくん獄卒だっけ?
tofu:いや、私立校です。10キロのマラソンとかもあったし、太ってる人いないんですよ。運動できない人も1人もいない。
金子:割合的にいるでしょ絶対。
tofu:いや、いないんです。水泳も海でやるんで泳げなかったら死ぬんです。
玉木:淘汰された結果かー。
森:唐木さんのところの子どもは習い事とかしてるの?
唐木:スイミングと公文式やってるよ。公文式がアメリカで流行ってるんよ。宿題やるとKUMON DOLLARSっていうのをくれるの。
もち:アメリカだなー!
唐木:公文のなかでおもちゃとかに交換できるんだよ。昔は勉強はお金のためにやるんじゃありませんみたいな倫理があったけど、一切ないね今。完全に金のために働けみたいな。
西村:進研ゼミやってたけど、課題を提出してたらポイントが貯まって景品と交換できるシステムがありましたよ。顕微鏡もらいました。
森:俺ももらった! 顕微鏡! 一番多くポイント貯めないともらえないやつ!
大臣:ちっちゃいニンジン育てるキットもらいましたねー。
森:よくそんなもので妥協できたね。
西村:我慢できなかったんですねー。
一同:(笑)。
tofu:唐木さんのお子さんはKUMON DOLLARSを何に交換したんですか?
森:ウーマナイザーでしょ。
一同:(笑)。
澤部:最低だ(笑)。
・I like BENNIE K
森:「トム・ヨークはライブ前に3、4分逆立ちする」っていう記事があったんだけど、この場にいるミュージシャンたちのライブ前ルーティンを聞きたいです私。
澤部:ない!
tofu:歌うのに?
澤部:全く声出さないでステージ立つ時もある。
tofu:なんかかっこいいですね!
澤部:いや、まだ探ってる最中なんですよ。声出ししてると、そのモードのままステージに立っちゃうことがあって。脳がびっくりしちゃう。それが結構嫌なんですよ。
tofu:それはちょっと分かりますね。
澤部:でしょ? いろんな時期があったんですよ。ちゃんと別部屋用意してもらって、本番直前までしっかり歌い込んでた時期もあったし。「愛のメモリー」とか思い切り歌って、ストレス飛ばしてステージ上がってた時もあったんですけど、そうすると普通に松崎しげるが残りすぎる(笑)。
一同:(笑)。
澤部:「この胸のときめきを あなたに~♪」って。
tofu:がっつりモノマネ入ってますね。しげるに取り憑かれてる。
森:トーフくんはなんかやってんの?
tofu:ステージの袖にスペースある時はちょっと腕立て伏せやってますね。筋トレすると血流の関係かなんかでパフォーマンスが良くなるって聞いて。
森:割とトム・ヨーク的なのやってんじゃん。
西村:昔イベントのスタッフやったとき、オシリペンペンズの出番前にステージ裏でモタコさんが跪いてお祈りみたいなことしてるの見たことあります。暗黒舞踏みたいな雰囲気で。
もち:イメージ通りだ。
大臣:僕、結構ライブ前に声出しやりますよ。普段サラリーマンだから歌わないし、喉開かないといけないから。
森:そういえばやってた気がするね。
大臣:この前岡山でトーフくんのライブに出してもらったときは、人前で歌うのが5年ぶりぐらいだったんですよ。やばいなと思って「ワーッ!」ってやってたら、後ろでレベルの違う声出ししてる人がいて。振り返ったらEGO-WRAPPIN'の中納良恵さんが同じようにやってました。
一同:(笑)。
大臣:思わず恥ずかしくなってやめちゃいましたね。
tofu:ステージに立つ歌手という意味では、大臣も中納さんも同じですよ!
大臣:いやいや、違う違う(笑)。
森:バリバリ現役の歌手のライブ前ルーティンと、数年ぶりのブランクをなんとかして直前にごまかそうとしてる人とはちょっと違うでしょ(笑)。
tofu:いやでも、全く衰えてなかったですよ大臣は。TJNYも今すぐ音楽活動再開できますよ!
森:でも朝一が衰えてるもん。
金子:俺は元から死んでるようなもんですよ。
森:朝一は1stアルバムのレコーディング中にボーカルレッスン行ったもんね。
tofu:どういうことですか(笑)。
玉木:あまりに声が出ないから、唐木さんがその場で体験レッスンやってる近場のボーカルスクール探したんですよね。
もち:なんか説教されて帰ってきた。「真剣にやってる他のメンバーに申し訳ないと思わないの?」みたいな(笑)。
森:まさか体験レッスンで精神論説かれるとは思ってなかったね。
金子:なーんにも覚えてないよ。
澤部:思い出した! スカートのライブ前にメンバーたちと楽屋にいたら、動物の鳴き声みたいな音が聞こえてきたことがあったんですよ。なんだなんだと思ったら、誰とは言わないけど、Twitterのタイムラインに流れてきたSMの女王様がM男の金玉をリモコンでしばいてる動画を見てる奴がいて(笑)。
一同:(笑)。
澤部:全員それがめちゃくちゃおもしろくなっちゃって。もう信じられないくらいおもしろかったんですよ。 そうなるとやっぱり本番5曲目くらいまではどうしてもM男の金玉のことしか考えられなかったですね。
森:動物の鳴き声で思い出したけど、スカートのアルバムのジャケ制作で澤部くんがうちの家に泊まりに来たとき、隣の部屋から喘ぎ声が聞こえてきたって言ってたことあったよね。
澤部:あったあった! なんか艶めかしい声が聞こえてくるんですよ。森さんは寝室で寝ちゃったし、えらい長いなーお盛んだなーと思いながら聞き耳立ててたんですよ。
金子:森さんが前住んでたマンション、壁薄かったですもんね。
澤部:結局日が登ってきてもまだ喘いでるし、これはなんか薬物でもやってるんじゃないかと思って壁に耳当てようとしたら、僕が一晩中聞いてた声は壁際で寝てる森さんとこのシーズーのいびきだったって気が付いたんですよ(笑)。
一同:(笑)。
西村:「騙された気分はどうだい?」。
森:ジョニー・ロットンだ(笑)。室内犬のセリフとしてはかっこ良すぎる。
澤部:まさにそんな気分でしたよ。アンラッキースケベでしたね。
森:あれはいいエピソードだったなー。西村くんは漫画描きルーティンとかないの?
西村:漫画描いてないんでちょっと……。
もち:でもインスタとかに絵は投稿してるじゃないですか。
西村:落書きね。それはよくやってます。
大臣:西村さんのイラスト、海外の人からすごいたくさんコメント来てますよね。見てますよ。
西村:大体そういう時、大臣が外国人のふりして混ざってくるんですよ。「I like BENNIE K. 」「Uobei is sushis new wave.」みたいなコメントで(笑)。マジでわけわかんないですね。
一同:(笑)。
・そういう年越しもあるんだろうね
森:「JR三ノ宮駅前、全裸の男が路上で寝る 泥酔状態『私としても知らん』」。
西村:「酒を飲んで寝ていただけです。私としても知らん」。いい供述だなー。
森:このセリフ引き出した時、警官も見出しになるのを確信したと思うよ。
西村:神戸はまだそういうおおらかさが残ってるな。
森:いわゆる神戸全裸カルチャーでしょ。
一同:(笑)。
大臣:ないですよ、そんなの!
西村:ガチの風評被害ですね。
森:次、「行方不明の犬が、メタリカのライブ会場で見つかり飼い主大笑い」。
澤部:これはほっこりニュースですね~。あったまる。
森:澤部くんは観客席に犬がいたこととかないの?
澤部:さすがにそれはまだないですね。犬で思い出したんですけど、昔、下北のモナレコードでやってた珍妙な映像を観て年を越すイベントに行ったことがあって。
森:まあ、そういう年越しもあるんだろうね。
澤部:そこで大阪のザ・たこさんっていうバンドのライブ映像が流れてたんですけど、公園で演奏してる間ずっと犬がうろちょろしてるんです(笑)。その映像がすごく味わい深くて。もう1回観たいなー。
森:いいなー。ザ・たこさんかっこいいよな。大好き。
西村:ザ・たこさんの「お豆ポンポンポン」っていう曲好きです。お豆飛ばしてゾンビ倒すMVの曲。
澤部:あと、その時観た映像で「男闘呼組、ロックを語る」っていうのがあったんです。ロンドンレコーディングを終えたばかりの男闘呼組が、とにかく今の日本の音楽はFUCKだって言いまくるんです。あんなもんはロックじゃない。FUCKだって。
森:ロンドン仕込みのFワードで。
澤部:それで始まった曲の歌い出しが「驚き桃の木山椒の木」(笑)。
一同:(笑)。
澤部:そのイベントではそこで切ってあって、ガハハとなって終わったんですけど、去年の男闘呼組再結成のタイミングでその曲を調べてみたら、環境問題についてシリアスに歌った曲だったんですよ。実際すごいロックな歌詞だったんです。
西村:「驚き桃の木山椒の木」はどういう文脈だったんですか?
澤部:木にもいろいろあるけど、最近木が減っている、みたいな(笑)。
一同:(爆笑)。
・全裸を感知しました
森:あ、次も全裸カルチャーの一端だ。「全裸でコンビニ入店、パンツ買う 盗んだバイクを半裸で飲酒運転」。見出しに技があるね。全ての罪状を並べつつ、全裸から半裸への状態変化もスムーズに説明してる。
金子:見出し職人の存在を感じますね。
森:「酒に酔っていたので覚えていないとして、いずれの容疑も否認している」。性善説に基づいた強気な供述もいい湯加減。
澤部:最初のコンビニ店員がすごいですね。よく売ったな。パンツ。
金子:全裸で財布だけ持ってたんですかね?
大臣:電子マネーじゃないですか? 全裸PayPayでしょ。
澤部:きっとApple Watchですよ。全裸にApple Watch付けてても、半裸にはランクアップしないでしょ。まだApple Watch一丁という言葉は無い。
一同:(笑)。
西村:Apple Watchも止めてくれないんですね。「全裸で移動しています」って。
森:「全裸を感知しました」アラートね。
澤部:CMやってほしいなー。かっこよく全裸で外出しようとして間一髪救われるやつ。
森:トーフくんがCMソングやればいいじゃん。
tofu:やぶさかでは無いですね。
森:次。「警察官が一般道で141キロ『パトカーのブレーキ性能を試したかった』」。
金子:こち亀だよー(笑)。
森:40代の男性警部補と30代の男性巡査長が乗ってたんだって。
澤部:絶対両津と本田じゃん(笑)。
tofu:これは楽しかったでしょうねー。「まだいけますよ!」って。
金子:「先輩! いっちゃいましょう!」
森:次もいいよ。「海保巡視艇でマグロやカツオ釣る『採ったあと食べた』」(笑)。勤務中の乗組員に独断で釣りの許可を出したり、一緒に船上で酒盛りをした船長が停職2カ月だって。
西村:これはテンション上がったでしょうねー。
唐木:これは楽しかっただけだよ。
金子:エンジョイ罪ね。
澤部:エンジョイ罪(笑)。
tofu:陸の両津と海の両津が揃いましたね。
西村:あとは空の両津ですね。
森:空の両津(笑)。危険な存在だなー。
澤部:いいなー。そのカードほしいなー。
tofu:唯一笑えない両津ですよ。
澤部:いや、陸も海も笑えないよ。
森:「NASA、宇宙から持ち帰ったサンプル入り箱のフタが開かない」。これ、空の両津絡んでない?
澤部:両津いますね。昔ばなし感も強い。
もち:宙(そら)の両津ね(笑)。
唐木:NASAまで両津いるのすごくない?
森:あれだけの巨大組織だから1人はいるよ絶対。制服に便所サンダル履いてる奴。
澤部:宙の両津、言葉おもしろいなー(笑)。
・FACE
tofu:この前急に思い出したんですけど、僕、人生初DJが大臣と西村さんが司会やってた神戸大学の学園祭だったんですよ。
西村:学園祭っていうか、裏の学園祭ですね。夜間部のための。
森:司会? この2人が?
tofu:総合司会ですよ。今田耕司と島崎和歌子的な。
大臣:なんでか分かんないですけど、気がついたら司会してましたね。
tofu:持ち前の陽気さで。
西村:俺は大臣の補佐的な感じでした。学園祭も夜間主コースの新入生が1人しかいないから、このまま無くなるみたいなこじんまりした規模で(笑)。オールナイトでお酒飲んで。
森:90年代の山田洋次っぽい世界観だな。
tofu:もう夜間部学園祭やってないんじゃないですかね。「げんやさい」っていう祭りなんですけど。
森:げんやさいってどういう漢字?
西村:厳しい夜の祭り(笑)。
森:ヤクーツクかよ(笑)。
tofu:ほんとめちゃくちゃ寒いんですよ。六甲山だし。 でも司会はとにかくウケまくってましたね。
金子:なんかおもしろいことするんですか2人は?
大臣:アカペラサークルのステージの直前に、先に2人で絢香とコブクロの「WINDING ROAD」を全力でハモって歌ったりしましたね。「曲がりくねった 道の先に(道の先に~)♪」って。
一同:(笑)。
tofu:DJの合間に見ると、なんかよく分かんないけどすごい盛り上がってるんですよステージが。司会で(笑)。これが大学生か……って思いましたね。高校生のtofubeatsは。
金子:いい話だなー!
西村:一番最初の開会宣言の時、大臣がglobeの「FACE」を爆音でかけて、ステージに照明が点いてからAメロが1分半ぐらいあるんですけどその間出ていかずに焦らして、サビ入ったら「オイ!オイ!」って叫びながら出ていくんですよ。その時が一番ウケましたね。
一同:(爆笑)。
tofu:あの時の大臣はキレッキレでしたよ。
澤部:バカだねー(笑)。なんでglobeの「FACE」なの(笑)。
tofu:大臣、基本的には何も変わってないんですけどね。一昨日のtofubeatsメジャーデビュー10周年イベントのときも、ステージで僕の33歳の誕生日を祝ってくれたんですけど、「33歳って言われてもねー」って言ったら、大臣が横からちっちゃい声で「耳の歳だね」って(笑)。我慢できないんですよこの人(笑)。
一同:(爆笑)。
10時間と43分。偶然にも箱根駅伝の総合記録と全く同じ時間テレコに注がれた雑談。そこには往路も復路もなく、KEIKOだけがあった。「鏡に映った唐木と二人 お風呂に浸かって 間もなく叫ぶ」。脳内に勝手リフレインする忘れたい替え歌には、ノイズキャンセリング・イヤホンも焼け石に水。聞いたばかりの真新しい昔ばなしに寄り添って言い換えて、焼け玉に湯。2023年度のトーベヤンソン・ニューヨーク・アワードを受賞したのは、「なんらかの皮膚を侵食する液体」です。(森)
Illustration by Tsuchika Nishimura
Keita Mori|森敬太
デザイナー/アートディレクター。書籍、CDなどの装丁を多数手がける。2017年、合同会社飛ぶ教室を設立する。Instagram : @m_o0_ri