2023年もさまざまなゲームが発売された。この1年、みなさんはどんなゲーミングライフを過ごしただろうか。

年間のベストゲームやeスポーツプレイヤーなどを表彰するイベント「The Game Awards 2023」では、最高賞として位置する「GAME OF THE YEAR(ゲーム・オブ・ザ・イヤー/GOTY)」に『バルダーズ・ゲート3』が選ばれた。支持されるには必ず理由がある。きっと、それだけ『バルダーズ・ゲート3』には魅力があるのだろう。

とはいえ、ゲームに対するスタンスは人それぞれ。話題のタイトルをいち早くプレイする人もいれば、同じゲームを繰り返し遊ぶ人もいる。セールになったタイミングで過去作を嗜むゲーマーもいるだろう。そう、人によって「マイベストゲーム」は変わるのだ。

あまりプレイ時間は確保できなかったものの、筆者もこの1年間のうちに数タイトルのゲームをプレイした。せっかくなので、少ないながらも2023年にプレイしたタイトルを振り返り、「マイベストゲーム」を決めて、勝手にアレコレ言いたいと思う。

  • 個人的に印象に残っているタイトルをピックアップ。2023年のマイベストゲームを勝手に決める。みなさんの「マイベストゲーム2023」は何だろうか?

2023年は、年初に「PlayStation 5(PS5)」の供給量が安定しただけでなく、薄型軽量化した新型モデルの「PS5」が11月10日に発売された。ようやく「PS5」をゲットできた人も多いのではないだろうか。「Nintendo Switch」は、発売から6年が経過。まだまだ現役機として人気を維持しているが、後継機への期待が強まる時期でもある。

そんな2023年、筆者がプレイしたゲームは以下の通り。これらをノミネートタイトルとして、そこから印象に残った3作品をピックアップし、「マイベストゲーム」を決める。

なお、対象は筆者が「2023年にプレイし始めたゲーム」。発売時期は問わないことにする。また、DLCは1つのタイトルとしてカウントしようと思う。「The Game Awards 2023」のように、「GAME OF THE YEAR」「BEST MOBILE GAME」「BEST ACTION GAME」などのカテゴリーを設けられるほど多くのゲームをプレイできていないので、ピックアップしたタイトルにはそれっぽい賞をつけてみた。

<2023年に遊んだゲームたち>
『Stray』
『Horizon Forbidden West』「焦熱の海辺」
『FINAL FANTASY XVI(FF16)』
『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(AC6)』
『ソニックスーパースターズ』
『Marvel‘s Spider-Man 2(スパイダーマン2)』
『龍が如く7外伝 名を消した男』
『ペルソナ5 タクティカ(P5T)』
『十三機兵防衛圏』
『PowerWash Simulator』
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット ゼロの秘宝』
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
『RPGタイム!~ライトの伝説~』
『Don't Starve Together』
『8番出口』
『7 Days to End with You』
『Idol Showdown』
『WHAT THE GOLF?』
『Monster Hunter Now (モンスターハンターNow)』

【もう疲れちゃってもゲームはずっとやりたくてェ賞】

1つ目のタイトルは『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』。「もう疲れちゃってもゲームはずっとやりたくてェ賞」にふさわしいゲームだった。

  • 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はオープンワールドのアクションアドベンチャー。ハイラルを救うため、主人公のリンクは、ガノンドロフに立ち向かう

無限に感じるほど広い「上空」「地上」「地底」のオープンフィールドは、マップを埋めるだけでも超大変。それでも、あちこちにある祠や龍の泪、地底の明かりを灯す根、豊富なサブクエスト、お楽しみ要素などが豊富なだけでなく、「次はあそこを目指してみよう」「あそこへ行くにはどうすればいいのか」と、プレイヤーの好奇心を刺激する仕組みが盛りだくさんで、常にワクワクしながらプレイできた。

同作で「おもしろいと感じるポイント」は、プレイヤーによって異なるだろう。ただ、個人的には、フィールドにあるさまざまなものを運んだり、ものどうしをくっつけたりできる能力「ウルトラハンド」がおもしろいと感じた。

作れるものは、プレイヤーのアイデア次第。「ゾナウギア」と呼ばれる古代の機械を組み込めば、空飛ぶバイクやレーザーを放つロボットなど、さまざまなマシンを自由にクリエイトできる。どんなものを作ろうかとアレコレ試行錯誤していたら、その場から一歩も動かずに数十分も経過していた、なんてことも少なくない。

同じ「ハイラル」地方を舞台にしていることから、「前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ほどの衝撃はなかった」という意見を聞くこともある。しかし、筆者としてはむしろ、同じ場所を舞台にしておきながら、まったく異なるゲームデザインで楽しめるようになっていたことにも衝撃を受けた。通常、シリーズの続編は、ベースとして基本的なゲームシステムをそのままに、新たな舞台で新たな物語が展開されることが多いが、同作ではハイラルを舞台にまったく新しい遊びを提供してくれたのだ。

広大なマップの探索に疲れることも、自由度の高いクラフトで考え過ぎてしまうこともあったが、それでもやめられないおもしろさがある。そんなゲームを、2023年の「もう疲れちゃってもゲームはずっとやりたくてェ賞」に認定したい。

  • トロッコの車両に扇風機を取り付ければレール上の移動もラクラク

  • 操縦桿を搭載した自動車。わりとオーソドックスなマシン

  • 作中では、妖精のような種族「コログ」を友だちのところまで運んであげるクエストがいくつもある。そのときのセリフが「もう疲れちゃって 全然動けなくてェ…」だ

【愉快な遠足の始まりで賞】

2つ目のタイトルは『AC6』。前作からおよそ10年ぶりに登場した「アーマード・コア(AC)」シリーズ最新作だ。筆者は同シリーズほぼ初プレイ。初代PlayStationで第1作をプレイしたことがあるようなないような、おぼろげな記憶はあるが、初心者レベルであることは間違いない。そんな自分でもハマれるだろうかと心配だったが、まったくの杞憂に終わった。

  • 10年ぶりに登場したシリーズ最新作。プレイヤーは「AC」を操るパイロット(レイヴン)となり、「コーラル」と呼ばれる新物質を求めて惑星「ルビコン3」を縦横無尽に駆け巡る

同作の特徴は、なんといってもパーツを組み替えてアセンブルした自分だけのオリジナルメカ「AC」を操作すること。スピーディに空中を飛び回って遠距離ミサイルで敵を翻弄したり、タンクのタフネスさを活かした殴り合いで勝負したりと、パーツの構成によって立ち回りもガラリと変わる。特に、試行錯誤を繰り返して、何度やっても倒せなかったボスに有効なアセンブルを見つけたときは、コントローラーを持つ手にも力が入った。

しかし、相性のいいパーツ構成を見つけるだけで楽に勝てるような相手はそう多くない。アセンブルを完成させても、強敵相手には、あくまで手応えを感じる程度。そこからは、自らのプレイングスキルの向上が求められる。

必要なのは、敵の行動パターンを学習し、立ち回りをレベルアップさせること。特に、アップデートが入る前のバルテウス戦はシビレた。資金的に余裕があるわけではなかったので、メイン武器は初期パーツの「パルスブレード」だ。何度もの敗北から「被弾覚悟で前進するタイミング」を見極めるなど、自分なりの攻略を見つけ出し、みごと倒せたときには、かなりの達成感があった。

また、ストーリーの展開や個性豊かな登場人物もプレイを盛り上げる。真のエンディング到達のためには、「3周」を前提としているのだが、同じミッションに見えて分岐が発生したり、新たなミッションが選択できるようになったりと、まったく同じ周回はなく、最後まで飽きずにプレイできた。

事前準備の大事さや、本番のバトルの歯ごたえ、そして、2周目以降も「次はどんな展開になるのかわからないドキドキ」がある同タイトルは、まさに「愉快な遠足の始まりで賞」がふさわしい。

  • さまざまなパーツを選ぶアセンブル。幅広いマシンアクションの操作性を存分に味わえる

  • 「アセンブルを考える」「プレイングスキルを上げる」の2つが求められるマシンアクション。簡単に勝てないからおもしろいのだ

  • 621。年末年始も関係ない。今日も明日も明後日も仕事だ

【マイベストゲーム2023】

どのタイトルもおもしろかったが、2023年のベストゲームとして1つ選ぶとするならば、『十三機兵防衛圏』を挙げよう。発売は、PS4版が2019年11月、Nintendo Switch版が2022年4月。つまり、2023年に発売されたタイトルではない。PS4版を入手したあと、プレイするタイミングを見つけられずに積んでいた。なぜもっとはやくプレイしなかったのだろう。このゲームを遊んだとき、筆者は激しく後悔した。

  • 13人の視点で物語が展開されるSFアドベンチャーゲーム『十三機兵防衛圏』。2023年発売のゲームでなくて恐縮だが、個人的な年間マイベストゲームはコレ

ゲームの舞台は、13人の少年少女が「機兵」と呼ばれるロボットに乗って、街の侵略を狙う謎の巨大マシン怪獣「ダイモス」と戦う世界。1945年から2188年以降まで幅広い時代で物語が展開される。

同タイトルの魅力は何といってもストーリーにある。13人のキャラクターの物語を順不同で断片的に追いかけていくのだが、その魅せ方にとにかく心を奪われた。

物語を進めれば進めるほど増える謎。複雑に交差するストーリーと登場人物。それぞれキャラクターの視点で短めのシナリオを読み進めていくのだが、同じ物語のはずなのに、時代や状況が異なることがあり、最初は戸惑うことばかりだ。「2188年にいたキャラクターと容姿の異なる同名の人物が1945年に出てくる」なんてシーンも少なくない。

シナリオパートのヒキは秀逸で、毎回「次のシナリオを早く見たい!」と思わせる終わり方をする。しかも、いざ次のシナリオパートを始めようと思ったら、ほかのキャラクターのシナリオを進めないと続きを見られないことも多く、仕方なくほかのキャラクターのシナリオを見たら、今度はそちらの話が気になる……、といった繰り返し。どんどんわからないことが増えていき、さまざまな考察が頭に渦巻く。

そして、物語の全体像がわかった瞬間。まるで「バラバラだったパズルのピースが一気にそろう」ような感動があった。具体的な内容はネタバレになるので伏せるが、筆者なりの考察を「いつからそう勘違いしていた?」とあざ笑うかのような結末が待っていたのだから、「やられた」とただただ感心するばかりである。

ストーリーを進める「追想編」のほかに、実際に機兵に乗ってダイモスとバトルするパート「崩壊編」と、これまで手に入れたキーワードなどを振り返る「究明編」も用意。「崩壊編」は、もちろんバトルそのものもしっかり楽しめるのだが、個人的に、物語への没入感や臨場感を高めるためにあると感じた。「追想編」で登場する機兵とダイモスたちが実際どのような戦いを繰り広げているのか理解することで、ストーリーにより深みが増したように思える。

物語を魅せるおもしろさに衝撃を受けた『十三機兵防衛圏』。ゲームのストーリーテリングに新たな可能性を見た。2023年に発売されたタイトルではないが、2023年にプレイしたもっとも心に残る作品として、個人的な「マイベストゲーム2023」に認定したい。

  • ストーリーを進めるアドベンチャーパート「追想編」。序盤は次々と新たな謎が登場し、読み進める手が止まらなくなった

  • 機兵に乗ってダイモスと戦うバトルパート「崩壊編」。物語の臨場感がさらに高まる

  • さまざまなワードが登場するので、考察のための振り返り要素「究明編」も用意している

2024年もきっと多くのゲームが世に登場するだろう。どんなタイトルに出会えるのか、期待に胸が膨らむ。一方で、シリーズの最新作はたしかに楽しみだが、ふとしたタイミングで、過去タイトルやこれまであまり触れてこなかったジャンルにも挑戦してみたいところだ。

今年も素晴らしきゲーミングライフがあらんことを――。