2023年12月、AppleはiOS 17.2のアップデートにて新たに「ジャーナル」アプリの提供を開始しました。簡単に言えば「日記」アプリですが、「diary(プライベートな日記、日誌)」ではなく「journal(日記。議事録、新聞、専門的な定期刊行誌という意味もある)」であることからも、日記ではあるもののやや外向き、深入りしないスタンスが感じられます。
今年は日記をつけてみたい……と考えているなら、一度「ジャーナル」を開いてみてはいかがでしょうか。特に、日記が苦手で下記のような症状のある方にはおすすめです。
- 日記を書くこと自体をすぐに忘れてしまう
- 飽きてしまう
- 書くことがない
- 書こうとすると嫌なことばかり思い出してしまう
- 労力をかける意味ある?と思ってしまう
写真があっても思い出せない……からの脱却
iPhoneを長くお使いの方は、多数の写真がiPhoneの中に残っているでしょう。しかし、3年前、5年前の写真を見ると、意外に憶えていないことが多くありませんか? カメラの位置情報がオンでも地下や建物内で記録がなかったり、前後のカットがなく記憶が掘り起こせなかったりすることは少なくありません。
そこに一言でもヒントがあれば、思い出せる可能性は高まるはずです。「ジャーナル」は写真に限らず、iPhone上にあるさまざまな「記録」に、思考や体験を結びつけて「記憶」を保存できるアプリといえます。使い方と特徴を簡単にご紹介しましょう。
ジャーナルがネタと資料を提供してくれる
「ジャーナル」の大きな特徴の一つは、iPhone上にあるさまざまな情報を元に日記の書き始めをサポートしてくれる点です。写真や動画、位置情報、ワークアウト、再生した曲やポッドキャストなど、提案された情報から何かを選んで、その日のジャーナルを作成できます。
ネタを選んでコメントを書き込むだけなので毎回2〜3分で作業でき、気負わずに、残したい記憶や気分を無理なく保存していくことが可能です。もちろん、書きたいことがあればたっぷり書いてもいいし、モーメントに関係なく書き始めることも可能です。
メディアの日付で保存も
「おすすめ」には過去の写真や位置情報も表示されます。それを選択した場合、書いた日付ではなく、写真や位置情報が記録された日付でジャーナルを保存することが可能です。時間がある時は、思い出せるうちに過去の記録をジャーナルに加えていくのもよい思い出づくりになるでしょう。
「リマインダー」で書くことを促す
いくら手軽に書けるとしても、書く習慣がないとアプリを開くこと自体を忘れがちです。継続的に書くためには、リマインダー機能を活用するのがおすすめです。
設定した日時に通知が届き、通知をタップすると書き始めることができます。
ジャーナルを閲覧する・編集する
書き終えた日記は、「ジャーナル」アプリのメイン画面に時系列で並んで表示されています。下へスクロールすると古い日記を閲覧することができます。また、過去の日記を再編集することも可能です。
ジャーナルを振り返る
「ジャーナル」のリリース以降、筆者は実際にほぼ毎日使用してみました。リリースされてから1カ月足らずなので、まだ"振り返り"するほどの量もないのですが、1年後に見返せば、忘年会帰りに新橋駅前で見たSLのイルミネーションを思い出すかもしれません。3年後、金沢への旅行を計画する際に今年泊まったホテルを思い出せるかもしれません。
それが何? と言われると、確かに人様にとってはたいした情報ではないのですが、過去を"思い出す"ということは逆に過去の経験や思考の上にある“いま”を確かめる行為でもあり、そこには本能的と言うしかない何らかの安心感があると思えるのです。1年後、3年後に振り返ってもいいし、振り返らなくてもいい。iPhoneの中にある断片的な記録を、自分という文脈に取り込むこと自体に価値がある、むしろ、時間が経ってから価値になると言えるのではないでしょうか。
現状、「ジャーナル」の閲覧画面には全てのエントリーが時系列に並ぶ表示しかありません。今後エントリーが増えるに従って、週/月/年ごとカレンダー表示が必要になると思われます。また、検索機能も求められるでしょう。記録が目的のアプリにおいてこれらの機能が搭載されないことはないと思います(思いたい)ので、今後のアップデートを待ちつつ、まずは今年1年、書き続けてみたいと考えています。