【コスパよすぎで新型がかすむ!?】旭川でも十分わかった…スバル フォレスターのBUY NOW度

5代目となる現行型フォレスターが登場したのは2018年7月。以後、改良を重ねるごとに商品力を高め、円熟の域に達したスバルのミドルサイズSUVだ。すでに彼の地で披露された次期6代目の存在は無視できないが、現行型をカシコく手にするチャンスはとにかく今!らしい。

その理由と真価を探るべく向かったのは、2023年末の北海道。結論から言えば、確かに現行型は深雪のなかでも驚くほどよく走り、驚くほどコストパフォーマンスが高かった。でも今回一番驚かされたのは…試乗の舞台があまりに攻めすぎていた?ことかもしれない。

●(左)今回のフライトの軌跡。稚内空港の上空で幾度も着陸を試みるも…断念。地上からも空港上空で旋回する飛行機の音が聞こえたとか。新千歳空港からは列車を乗り継ぎ、陸路で旭川入りした

■遠きにありて思うもの

「SUBARU AWD×日本最北&最寒取材会」と銘打った北海道試乗会。北海道には仕事柄 毎年のように行くが、最北の地・稚内は、いまだ訪れたことがなかった。

われわれのスケジュールは、羽田から稚内空港に直行。スバルSUVでスノードライブを楽しみながら南下し、1泊2日で旭川まで300㎞弱の行程だ。

日本海側のルートを採ると、留萌(るもい)から足を伸ばしたところに増毛(ましけ)という町がある。

「(映画)『駅 STATION』の舞台ですね。駅や食堂が観光用に保存されていますから、もし観ていなかったら観ておくといいですよ」

と、同行するカメラマン。確かにこうした知識があるかないかで、旅の味わいは全然違うものになる。

出発前夜、動画配信サービスに契約し、男と女の哀しい物語を堪能して準備はオッケー。あとは北の国らしく雪があることを祈るばかりだ。そして試乗会に合わせたかのように、日本列島の日本海側にはこの冬一番の寒波が流入するという。雪不足の心配もなさそうだ。

が、ちと降りすぎた。

NH571便は天候状況確認のため羽田を1時間遅れで出発したものの、大雪の影響で稚内空港に着陸できず、降り立ったのはハブ空港の新千歳。そこから羽田にとんぼ返りの展開も覚悟したが、スバル試乗会スタッフの尽力で翌朝、なんとか旭川周辺での試乗が可能になった。旭川には鉄道で移動。北海道でクルマ以外に乗ったのは今回が初めてで、これはこれでいい思い出になったのだ。

●翌朝、旭川市内で出くわした「?」な光景。繁華街の看板と電線との距離を確保するため、ぐにゃりと曲げられた電柱。正式な名称は「S型組立鋼管柱」。かつて、側溝整備道路改良工事の際に電柱を建て替える用地を道路側に確保できず、やむなく家屋側に建てたため、このようなカタチになったのだとか

●今回の試乗車は、Xブレイクをベースとした近畿地区スバルグループ限定の特別仕様車「フォレスター KS-01」。ちなみにKSは Kinki Subaruの略だ(価格:388万円)

■これ、絶対買い得なやつ

さて、われわれがおもに試乗したのは「フォレスター KS-01」。近畿地区スバルグループ限定の特別仕様車だ。タフさを際立たせたX-BREAKをベースに、パナソニックNAVIパック4点、北米ウィルダネス仕様のアルミホイール、ヨコハマ ジオランダーA/T G015ホワイトレター、カーゴステップパネル、リヤゲートプロテクターを装備。この人気アイテムがプラス58万円(税込み)で手に入るリーズナブルな価格を実現している。

●北米専用車である「アウトバック ウィルダネス」の17インチアルミホイールを特別装備(とても似合う)。タイヤは雪上試乗会用にスタッドレス(ヨコハマ アイスガード G075)を装着

なかでも注目なのが、ウィルダネスのホイールだ。足元をこれに替えるだけで、外観全体がグッとたくましくワイルドに変貌する。試乗車はスタッドレスタイヤに履き替えていたが、ホワイトレター入りのジオランダー(これもウイルダネスと同じ)ならさらに特別感を増すこと請け合いだ。

旭川は日本海側のような大雪ではなかったが、大型車が行き交う幹線道路も雪でしっかり踏み固められている。圧雪、わだち、アイスバーン。路面状況が刻々と変化する雪道で本格SUVほど心強いものはない。

●低重心のボクサーエンジンとシンメトリカルAWD。その素性のよさを味わうのに、雪上は格好の舞台

フォレスターは最低地上高がクラストップレベルの220㎜。スバル伝統のアクティブトルクスプリットAWDは、つねに4輪で路面を踏みしめるフルタイム4WDならではの安定感に満ちている。路面状況に応じて駆動力やブレーキを最適制御するXモードで、悪路走行も鬼に金棒だ。

車両パッケージもフォレスターの大きな魅力。手ごろなミドルサイズのボディは車内が意外なほど広く、堆雪で狭くなった道路や駐車場でも十分に扱いやすい。ステアリングヒーターと4座のシートヒーターは標準装備で、後席もポッカポカ。雪に覆われた風景をウインドー越しに眺めながら、じつに快適なスノードライブを味わえるのだ。

●手元のダイヤル操作で走行シーンに応じた最適な駆動力が得られるXモード。ノーマルのほか、スノー・ダート、ディープスノー・マッドの2モードを設定。下り坂で一定の速度を維持するヒルディセントコントロールも備わる。パワートレーンは最高出力107kW(145馬力)、最大トルク188Nm(19.2㎏m)を発揮する2L DOHC直噴エンジンとモーター組み合わせたeボクサー

●高めの視点だけでなく、ドアミラー位置の工夫やピラー形状の最適化などによる優れた視界性能もフォレスターの魅力

●Xブレイクのシート表皮は、水分が浸透しにくいポリウレタン素材。表面には滑りにくさと汚れの拭き取りやすさを兼備した、ヘキサゴン柄のディンプル加工が施される。シートヒーターは後席左右にも、USB出力電源も前席/後席に2つずつ備わる

●スクエアで積載性に優れる荷室(容量はVDA法で520L)。2023年8月の一部改良では、Xブレイクとアドバンスにパワーリヤゲートを標準化し、後退時ブレーキアシストの設定を変更。障害物を検知した際の警報を早めることで安全性をより高めた

■何より頼もしい本格四駆

市街を離れ、幹線から脇道のカントリー路に入ると、ほとんど汚されていないバージンスノーが待っていた。SIドライブをSモードに切り換え、アクセルオン。eボクサーがモーターアシストとともに心地よく吹き上がり、フルタイム4WDが雪道とは思えない抜群の駆動力を発揮する。そして、つかの間のスポーティドライビングを楽しむ。

●ジェットコースターのようにアップダウンを繰り返す雪道でも安定感ある走りを見せた

同じセグメントのなかでも求めやすく、どんな場面でも使い勝手がよく頼もしいオールマイティSUV。5代目フォレスターは魅力健在にして、今が円熟の時だ。

2023年11月のロサンゼルスオートショーでは、ついに6代目となる新型が世界初公開された。将来導入されるだろう日本仕様は、やはりハイブリッドのeボクサー搭載が濃厚。現行型からの価格アップは必至だ。新型を待つのもいいが、現行型なら今が断然買いどきなのである。

というわけで、圧縮したタイムスケジュールで慌ただしく取材を終え、旭川空港から帰路についたのだが、やっぱり行ってみたかった日本最北の地。いつかリベンジなるか!?

■フォレスター KS-01 価格:388万円(ベースグレード:Xブレイク)

●近畿地区スバルグループ(大阪、京都、滋賀、兵庫)限定100台の特別仕様車。パナソニックNAVIパック4点(8インチビルトインナビ、ドライブレコーダー、リヤビューカメラ、ETC2.0車載器キットほか)、カーゴステップパネル樹脂、リヤゲートプロテクター、そしてウィルダネス仕様のホイールに冬用タイヤとしても使える、スノーフレークマーク付きのヨコハマ ジオランダーA/T G015 ホワイトレタータイヤを特別装備。これに標準タイヤとホイールも付いてくる(実質2セット)。ちなみにベースグレードは、eボクサー車であれば変更可能だ。2024年3月25日までの期間限定

●試乗車はオプションのTHULE(スーリー)製キャリアバスケット(Thule Canyon 859XT)を装着。こちらもKS-01の購入特典として20%OFF(12万9800円→10万3840円)で購入できるのだ

■フォレスター OUTDOOR Gear Tune 特別装備合計価格:121万円(車両本体を含まず)

●こちらは千葉スバル オリジナルのラギッド仕様。足まわりはKS-01と同じくウィルダネス仕様のホイールにホワイトレターのジオランダー(35万4200円)の組み合わせとし、ルーフにはFRONT RUNNER(フロントランナー)製のルーフキャリアとDARCHE(ダーチ)製のサイドオーニング(37万4000円)を装着。ボンネットとルーフ、リヤゲートにはマットブラックのラッピング(38万5000円)、そしてフロント・リヤバンパー、サイドガーニッシュにチッピング塗装(36万3000円)を施した。以上の合計147万6200円が121万円(26万6200円OFF)に。対象グレードは、Xブレイクと特別仕様車のXエディション

●ルーフキャリアに直接インストールできるDARCHEのサイドオーニング(ECLIPSE180)。丈夫さと、ひとりでも簡単に展開できることが売りだ

●こちらはeボクサーを搭載するスタンダードグレードのツーリング(価格:306万9000円~)にウィルダネス仕様のホイールを装着した参考例。近畿地区や千葉のほか、全国のスバル販売店でも同様の施策を実施しているので、気になる人はぜひ近くの販売店へ

〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉