ロッテ・益田直也 (C) Kyodo News

 今季はロッテの勝ち試合の9回に、守護神・益田直也が君臨した。

 昨季は開幕から抑えを務め、前半戦が終了した時点でリーグ2位の23セーブを挙げ、チームも首位と2.5差の4位で終え、リーグ優勝を狙える位置につけていた。後半戦も抑えとして益田にはしっかりと勝ち試合を締めて欲しかった中で、オールスター明けの初戦となった7月29日のオリックス戦で3点リードの9回に同点3ランを浴びると、8月11日のソフトバンク戦、翌12日の日本ハム戦でいずれも失点。8月19日の楽天戦では6-5の9回、益田ではなく、ロベルト・オスナ(現ソフトバンク)が登板し試合を締め、翌20日に益田は井口資仁前監督体制後では初めて一軍登録抹消となった。9月2日に再昇格したが、本来投げるべき場所での登板はなかった。

 20年と21年は11月まで戦っていたことを考えると、久しぶりに長いオフシーズンとなった。

 「結構ゆっくり休めたので、今年は体がいい感じです。休めるということはチーム的には良くないことですが、体的には良かったと思います」。

 シーズンオフは「毎年1年間戦いぬく、バテないような体づくりをするというテーマを変えずにあとは体の強さ、年々体は変わってくると思うので、自分に合った、みんなに合ったトレーニングをしてきました」と1年間戦う体づくりを行ってきた。

 オープン戦を6試合・6イニングを投げ、防御率0.00で終え、開幕を迎える。チームは開幕3連敗スタートでソフトバンクとの開幕3連戦での登板はなかったが、4月4日の日本ハム戦、6-4の9回にセーブシチュエーションで今季初登板。三者凡退に抑え今季初セーブを挙げると、初登板から4試合連続セーブ。4月14日のオリックス戦で、今季初めて抑えではなく、2-0の8回に登板し、6番・中川圭太、7番・西野真弘、8番・若月健矢と続いていく打順を三者凡退に抑えた。

 4月18日の日本ハム戦では再び4-1の9回に登板し、今季初失点も5セーブ目をマーク。3-1の9回に登板した4月21日のソフトバンク戦は、セーブを挙げたが1失点と2試合連続で失点。4月23日のソフトバンク戦は、唐川侑己が柳田悠岐に2ランを浴び、二死後、牧原大成、柳町達に連打を浴びた6-2の8回二死二、三塁と、今季初めて走者を背負った場面でマウンドに上がった。今宮健太を遊ゴロに仕留め、ソフトバンクに傾きかけた流れを止めた。

 この登板以降は基本的に勝ち試合の9回を担当し、5月18日のオリックス戦では本拠地・ZOZOマリンスタジアムで通算100セーブを達成、6月15日のDeNA戦では史上10人目となる通算200セーブを記録した。

 セーブシチュエーションでしっかり抑えていた益田だが、1-1の9回に登板した6月27日のオリックス戦は森友哉にサヨナラ本塁打を浴び、今季初黒星。7月16日の楽天戦も3-3の9回にマウンドに上がるも、浅村栄斗に2ラン、阿部寿樹に2ランを食らい4失点で2敗目を喫した。

 前半戦はセーブ機会で1度も失敗がなかったが、オールスター明けの8月1日の日本ハム戦で2-1の9回、万波中正、マルティネスに連続被弾で逆転負け。同点の登板で失点はあったが、その後もセーブ機会ではセーブを積み重ねていき、最終的にはリーグ2位の36セーブ。

 同点の登板で失点が目立ちシーズンの防御率は「3.71」だが、セーブ失敗は1回で、セーブ機会での防御率は「2.97」だった。

 また、澤村拓一とともに精神的支柱としてブルペンを支え、小野晋吾投手コーチは「澤村と益田がいい声がけ、若い選手たちも多いのでいい声がけをしてくれていい雰囲気を作ってくれた」と評価した。

 今季は澤田圭佑、横山陸人が勝ち試合の9回を経験したが、益田は勝ち試合の9回を何年も経験し、そのプレッシャーを跳ね除けてきた。益田が34歳という年齢を考えると、次世代の抑えの育成は急務と言われることも多いが、実績だけでなく、抑えで投げ抜く力もある。来季も勝ち試合の9回に益田が締める姿、そして秋に歓喜の瞬間を迎えることを期待したい。

取材・文=岩下雄太