「目の前に推しがいる」「常にブルーレイ画質」コンサートで手にするとそんな感想がこぼれる「防振双眼鏡」。"推し活"シーンで絶賛されているものの、一般的な双眼鏡と比較するとかなり高額なアイテムです。そのお値段、およそ5万円~9万円。

  • 9万円の防振双眼鏡でライブの楽しみ方が変わった!

某アーティストを推している筆者もここぞというライブの時だけ防振双眼鏡をレンタルしては「いつか購入したい」と思い続ける日々……。そんななか、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこともあり、2023年は行きたいライブの公演数が爆増。レンタルする回数も増えたことで、ついにVixen(ビクセン)の防振双眼鏡「ATERA II H12×30」(90,200円)の購入に踏み切りました。

マイナビニュース編集部がオススメする「ベストバイ」企画、アイドルやアーティストを推している編集部員が「防振双眼鏡」を手放せなくなった理由、そして現場での見え方をレポートします。いや~、本当に買ってよかった!

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天井席でも推しを見たい!「ATERA II H12×30」購入した理由

2023年に入ってからは収容人数の制限がない状態での「声出し」も解禁され、やっと気兼ねなくライブに行ける状況になりました。筆者が推しているアーティストもライブツアーを開催し、さらに同じ事務所の若手グループにもハマり、他事務所で活動するアイドルのコンサートにも行き、今年の夏場は週に3~4回のペースで様々な現場に足を運ぶ日々。

その中で気づいたことは、「現場が増えると神席に入れる可能性が増える」「同じくらいとんでもない天井席(後方の席)に入る可能性も増える」ということ。

  • 「Vixen 双眼鏡 ATERA II H12×30」(90,200円)

貴重なチケットが当たっただけでも感謝! 席に貴賤などない! と理解はしているものの、天井席だと推しが豆粒、いや米粒サイズ。 そして私が推しているグループは人数が多くメンカラ(メンバーカラー)の概念もなく、さらに揃いの衣装が多いため、体格と髪型とダンスの癖で推しを探し出す能力が鍛えられました。そんな状況が続き、ストレスを感じたことが購入に踏み切ったきっかけです。また倍率はアリーナ~ドーム規模の会場に行くことが多いため、12倍を選択しました。

とはいえこれまでネットで適当に購入した10倍双眼鏡(約2,000円)を使っていたので、定価90,200円の12倍防振双眼鏡「Vixen 双眼鏡 ATERA II H12×30」を買うのは大分腹を括る必要がありました。倍率自体は10倍から12倍になっただけなのに、値段は45倍以上。それでも購入して使ってみると、買うだけの価値はあったと感じていますし、むしろもっと早く買っておけばよかった! と思うほどです。

「ATERA II H12×30」買ってよかったポイント

「防振双眼鏡」は、文字通り「振れを防ぐ」手ブレ補正機能が搭載された双眼鏡。双眼鏡は倍率が高くなるとその分手ブレの影響が大くなるため、視界が揺れて見たいものに集中できないことが難点ですが、防振双眼鏡は高い倍率でも快適に対象を見ることができます。

軽い操作感のスライドスイッチ&90分の自動オフ機能

ピントを合わせて防振スイッチをオンにすると、「2軸ジンバル制御防振機構」により細かい手ブレがぬるっと収まります。「ATERA II H12×30」はスライドタイプのスイッチなので、操作しやすいところもポイント。電源を入れてから90分が経過すると、自動的に電源が切れるオートパワーオフ機能も搭載しているので、公演が終わってスイッチを切り忘れた場合でも安心です。

なお防振機能の見え方とスイッチまわりの使い方はメーカーによってだいぶ異なるので、購入前に家電量販店でチェックすることを強くオススメします。個人的にはビクセンのヌルヌルとした見え方や軽く押すだけで切り替えられる操作性が気に入っていますが、キヤノン強火担やケンコー・トキナー派などこだわりを持っている方も多い印象。機種によっては短期間レンタルできるサービスもあるので、実際に借りて現場で試してみるのもよさそうです。

状況に合わせて2つのモードを使い分けられる

動く対象を見るときに「V1モード」

「ATERA II H12×30」の最も特徴的な点は、見え方のモードが2つ用意されていることです。

左に傾けながら防振スイッチを入れると、黄緑のランプ「V1モード」。小刻みの微小な揺れを吸収するので、動く対象を視界に捉えたいときに使いやすいモードです。

私の推しはステージを縦横無尽に走り回って踊る元気なパフォーマーなので、定点観測するためにはV1モードがぴったり。細かいブレがなくなりヌルヌルとゆるやかなブレになるので、早い移動もしっかり追いかけて見られます。

観劇に最適「V2モード」

右に傾けながら防振スイッチを入れると、オレンジのランプ「V2モード」。こちらはゆっくりとした大きな揺れを吸収するので、止まっている対象を鑑賞したいときに使いやすいモード。

V2モードはV1モード以上にブレが少なくピタッと止まって見えます。双眼鏡自体を大きく動かすと少しカクつきが感じられますが、急な移動が少ない舞台やお笑いライブなど、双眼鏡をあまり動かさずに使うシーンではV1モード以上にブレが少なく集中できて快適です。

またブレを防ぐ機能だけでなく、レンズも高性能。全面に反射防止多層膜コーティングを施したフーリーマルチコートを、プリズムにはハレーションを低減し解像度を劇的にアップするフェイズコート、像の明るさをアップさせる高反射コートと3つのコートを採用しており、クッキリとクリアな視界が得られます。

重すぎず持ちやすい

防振双眼鏡でどうしても避けられないのはその重さ。明るい視野を確保するための大きなレンズと防振機構、そして電池があるので重くなってしまうのも仕方ないですが、ライブに行くときはなるべく身軽でいたいものです。

一般的な防振双眼鏡の重量は、400g後半〜700g程度。「ATERA II H12×30」は電池別で422g、電池(単4電池2本)+専用ケースに入れても500g程と500mlペットボトル一本分ほどの重さです。

本体サイズは14.9×10.8×6.2cmと女性でも片手で取り回しがしやすいサイズ感。ライブ中は首にかけっぱなし、また片手はペンライトやフラッグ、うちわ、片手は双眼鏡、というシーンが多いため、重さや持ちやすさは重視したいポイントです。

付属しているケースに入れればカバンにもスッキリと収まります。個人的には付属のネックストラップもしっかりしてて好み。首に当る部分にパッドが入っているところも気に入りました。

単4電池に対応

「ATERA II H12×30」購入時の決め手になった理由のひとつが「単4電池対応」という点でした。防振双眼鏡は電池でブレを防いでいるので、ライブ中に電池が切れるとただの重たい双眼鏡になります。突然大きくブレることで、電池が切れた! と気づく瞬間のがっかり感たるや……。

「ATERA II H12×30」は単4電池2本で12時間動作します。単3電池でもっと長時間使える機種もありますが、私がライブの際に使うペンライトは単4電池であることが多いため、ひとまずカバンに単4電池を放り込んでおけばペンライトも防振双眼鏡もどちらもカバーできる点に魅力を感じました。

また電池を入れる部分の蓋が本体にくっついていること、そして電池のプラスマイナスの方向が凸凹で彫り込まれているので、手元が暗くなりがちなライブでも比較的スムーズに電池交換ができる安心感も気に入っているポイントです。そもそも開演前に新品の電池に入れ替えておけばよいのですが、何事にもうっかりはつきものなので……。

防振双眼鏡を購入する際は、倍率や見え方、価格など様々な条件を比較しつつ「ライブ会場で使うときの状況」も想定して選ぶことをおすすめします。

ライブでの見え方比較

今年の夏に防振双眼鏡を購入してから、様々なライブに行きました。今年はなぜかチケット運がなく、やたら最後列の席を引き当てることが多かったので防振双眼鏡が大活躍の一年。実際に筆者が体験した見え方をご紹介します。

全身が見える! ライブハウス 後方席

東京・天空橋のライブハウス、Zepp Haneda (TOKYO)。オールスタンディング+固定席で約2,100名、着席で約1,250席の会場です。どの席でも近い距離で良く見えますが、この時にご用意された席は2階の最後方。ライブハウスなら双眼鏡不要で楽しめば良いか~と思っていたものの、この時のイベントは完全着席のファンミーティングでした。メンバーが楽しくゲームしたりトークする様子、拝みたい……!!

  • Zepp Haneda 2階後方からの視界

12倍防振双眼鏡で見ると、メンバーの全身がピッタリ収まるサイズ。楽しそうな表情やパフォーマンスもしっかり見ることができました。

わちゃわちゃもしっかり見えるアリーナスタンド後方席

東京オリンピック・パラリンピックの会場として建設された東京・有明の有明アリーナ。キャパシティは15,000席、2階席、3階席、4階席とあります。待ちに待った推しグループの単独ツアー、取れたチケットは4階の一番後列の席でした。裸眼だと表情までは見えません。

  • 有明アリーナ 4階スタンド後方の視界

12倍防振双眼鏡で見ると、全身がしっかり収まるのでジャンプや大きな移動、そして4〜5人のメンバー同士のわちゃわちゃも見えました。メンバー同士のわちゃわちゃは尊い。

推しの汗はダイヤモンド、アリーナ2ブロック目

今年はやたら後方の席が多かったですが、何回かはアリーナ席にも入れました! ステージに比較的近いアリーナ席なら双眼鏡を持たずとも表情も動きもしっかり見えますが、12倍の双眼鏡で見るとモニターでは気づけない発見があります。

  • 有明アリーナアリーナ2ブロック目の視界

今日のメイクは好みだな、とか、あのメンバーとこのメンバーのピアスがお揃いだ、など細かいところまでウォッチする楽しみ方もできました。

12倍だとやや物足りないかも…ドーム天井席

55,000人のキャパシティを誇る東京ドームには、某事務所の若手グループが揃う合同ライブを見に行きました。この時ご用意された席も2階席最後列、ステージを遥かに見下ろす場所です。

  • 東京ドーム 2階席後方座席からの視界

2階スタンドの後方の場合、これまではモニターに映されている映像と雰囲気を楽しんでいることが多かったのですが、12倍防振双眼鏡を持つことで動きや表情が見えるようになりました。ただ細かい表情までは見えづらいため、ドームの2階席で使う場合は14倍や16倍といった高倍率の双眼鏡があればより楽しめそうです。

防振双眼鏡で推し活QOLが上昇!

防振双眼鏡「Vixen 双眼鏡 ATERA II H12×30」を購入して良かったことは、「対象をしっかり見られる」ことはもちろんのこと、「どの席になっても楽しめる」という安心感を得られるようになったことです。

これまでチケットが取れた場合、天井席に配置されて「もっと近い席が良かった……!」と残念な気持ちになったり、コンサートによっては当日入場するまでわからないこともありましたが、最近は「防振があればなんとかなるか」の気持ちで臨むようになりました。とはいえ席が近いに越したことはないので、良席が当たるよう常に願っています。

推し活の楽しみ方は人それぞれですが、ライブやコンサートを快適に楽しむなら、防振双眼鏡は強くおすすめしたいアイテムです。2024年も良き推し活ライフを!

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