第37期竜王戦(主催:読売新聞社)はランキング戦が進行中。12月27日(水)には2組の開幕戦にあたる三浦弘行九段―佐々木勇気八段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、横歩取りの熱戦を85手で制した佐々木八段が2回戦進出を決めました。

1年ぶりの対戦

今期のランキング戦2組は本戦出場に向けた2枠を16名で争うもの。本戦入りには3連勝が必要です。振り駒が行われた本局は先手の佐々木八段が得意の横歩取り青野流を採用。受けて立つ後手の三浦九段は自陣二段目に歩を控えて打つ対抗策を提示しました。

水面下で研究が進む最新形を前に両者テンポよく指し手を進めます。首尾よく桂交換を果たした佐々木八段は一転して自陣の整備に方針転換。持ち駒の桂を使う手をチラつかせて駒組みに制約を与えるこの指し方がうまく、局面は次第に先手ペースに傾きます。

勝負分けた桂の働き

形勢容易ならずと見た後手の三浦九段は8筋に角を打って飛車先突破に全力を挙げますが、佐々木八段はようやく持ち駒の桂をリリース。角を再利用するために後手は攻撃の要の桂を犠牲にするよりなく、こうなると先手優勢は疑う余地もありません。

終局時刻は17時25分、最後は形勢の開きを認めた三浦九段が投了。投了図で先手玉には詰めろがかからず、後手玉は一手一手の寄りとなっています。勝った佐々木八段は2回戦に進出し、近藤誠也七段―阿部健治郎七段戦の勝者と対戦します。

  • 両者の対戦成績は佐々木八段の4勝0敗と意外な偏りを見せている(写真は第30期竜王戦決勝トーナメントのもの 提供:日本将棋連盟)

    両者の対戦成績は佐々木八段の4勝0敗と意外な偏りを見せている(写真は第30期竜王戦決勝トーナメントのもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)