矢野経済研究所は12月27日、国内の「オタク」市場に関する調査結果を発表した。調査は6月~9月、「オタク」に関わるコンテンツや物販、サービス事業者および業界団体等を対象に、面談・WEB等にて行われた。
2022年度は「同人誌」「プラモデル」「フィギュア」3分野でコロナ禍前を上回る
2022年度の「オタク」市場主要14分野(市場)では、「アニメ」「同人誌」「プラモデル」「フィギュア」「ドール」「鉄道模型(ジオラマ等周辺商材含む)」「アイドル」「プロレス」「コスプレ衣装」「メイド・コンセプトカフェ、コスプレ関連サービス」の10市場で成長。
特に、「同人誌」はダウンロード販売が紙媒体のデジタル販売を補完していることに加え、クリエイターの支援を強化したデジタル販売プラットフォームが増えていることなどを理由に好調を維持。また、巣ごもり需要を契機に拡大した「プラモデル」と「フィギュア」も好調を維持し、3市場ともコロナ禍前の2019年度の水準を上回った。
注目の市場は「音声合成」
注目の市場は「音声合成」市場。2022年度は、ユーザー消費金額ベースで213億3,000万円と推計。主に「ボーカロイド」「音声読み上げ」「ボイスチェンジャー」といった音声合成に関するソフトウェア、およびこれらのソフトウェアに設定されているキャラクターに関連する商品などの物販で構成される。
2023年度は「アニメ」を除く市場で成長予測
また、2023年度の「オタク」市場主要14分野(市場)の展望は、コロナ禍以降通期で行動制限が求められなくなったこと等により、「アニメ」を除く13市場の成長を予測。
「アニメ」は、通期にわたりイベント等の集客が回復することで、アニメキャラクター関連商品の販売は好調に推移しているものの、外出時間が増加していることにより余暇時間をアニメを見て過ごす人が減少。契約数は減少し、大手配信事業者の成長は鈍化すると推測される。加えて、劇場版アニメも前期ほどのヒット作が少なく、TVアニメの新作制作本数も低下する見込みであることから、縮小に転じるとみられる。