早いもので2023年も残りわずか。仕事納めを迎え、新年の過ごし方を考えている方も多いでしょう。さて、この時期になると毎年、経団連から「大手企業の冬ボーナス妥結結果」が発表されます。2023年の冬ボーナスはどのような結果になったのでしょうか。今回は、民間企業の冬ボーナスについて、大手企業の業種別の妥結額や、中小企業も含めた平均支給額などをご紹介します。
■大手企業の冬ボーナス、平均支給額はいくら?
日本経済団体連合会(経団連)は12月26日、「2023年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」(※1)を発表しました。これによると、回答した19業種163社の平均妥結額は90万6,413円で、前年比1.37%増と2年連続のプラスです。
平均妥結額が90万円台となったのは4年ぶりで、現在の集計方法を採用した1981年以降で3番目に高い水準でした。去年と比較すると伸び率は縮小したものの、コロナ禍からの回復による堅調な業績や賃上げの動きを反映しました。
では、業種ごとの妥結額の平均はどのくらいなのでしょうか。妥結結果を、妥結額の高い業種から順に並べてみました(左から、業種、妥結額、前年比の増減率、2022年の妥結額(※2)。
建設: 135万798円、8.26%増、124万7,699円
機械金属: 112万7,336円、14.83%増、98万1,766円
食品: 111万4,338円、19.92%増、92万9,273円
造船: 101万2,763円、13.81%増、88万9,833円
商業: 99万7,839円、10.30%増、90万4,693円
自動車: 98万4,619円、6.03%増、92万8,620円
鉄鋼: 97万3,946円、4.32%減、101万7,895円
電機: 95万6,448円、0.18%増、95万4,692円
情報通信: 88万3,134円、7.03%増、82万5,139円
化学: 86万2,360円、7.95%減、93万6,864円
ゴム: 85万3,913円、1.14%増、84万4,316円
非鉄・金属: 81万3,747円、0.64%減、81万8,973円
繊維: 79万8,181円、2.73%減、82万565円
鉄道: 79万7,338円、9.58%増、72万7,658円
印刷: 79万6,827円、3.93%増、76万6,727円
電力: 75万3,522円、0.93%減、76万615円
セメント: 72万5,646円、2.48%減、74万4,075円
紙・パルプ: 67万3,768円、3.33%減、69万6,963円
19業種のうち、前年比プラスになったのは12業種、マイナスになったのは7業種でした。また、製造業平均は2.26%増、非製造業平均は0.48%減という結果になっています。
最も伸び率が大きかったのは、好業績を反映した食品で19.92%増、次に機械金属の14.83%増、造船の13.81%増と続きます。一方、下落幅が大きかったのは、化学の7.95%減や鉄鋼の4.32%減でした。
(※1)調査対象は、原則として従業員500人以上、主要21業種大手241社。このうち21業種183社(75.9%)の回答を集計(平均額不明の20社を除く)
(※2)建設、商業、鉄道は従業員平均の数値を含む。貨物運送については、集計社数が2社に満たず数字が伏せられているため、一覧から除外
■中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額は?
次に、中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額を見ていきましょう。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2023年11月8日に発表した「2023年冬のボーナス見通し」によると、民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の冬ボーナスの一人当たり支給額は、前年比2.2%増の40万1,438万円との予想です。
2023年の冬ボーナスは3年連続の増加となる一方、増加幅は前年から縮小するとの見込み。また、コロナ禍の影響は後退するものの、回復ペースは鈍化すると分析されています。
支給労働者割合は82.4%と3年ぶりに低下し、コロナ前の2019年を下回る水準で推移しますが、雇用者数の増加を背景に、ボーナスを支給する事業所で働く労働者の数は4,350万人と過去最多を更新する見込みです。
また、一人当たり支給額と支給労働者数の増加により、ボーナスの支払総額は3年連続で増加します。支払総額の増加率が物価上昇率を上回ることで、個人消費の回復につながることも期待されています。
経団連や三菱UFJリサーチ&コンサルティングの発表から、今年の冬ボーナスは大手企業、中小企業ともにコロナ禍からの回復ペースは落ち着いていることがうかがえました。ただし、業績アップや賃上げなどを背景に、ボーナス支給状況は全体的には上向いているようです。
■今年は冬ボーナスで3回目の90万円台
今回は、2023年の民間企業の冬ボーナス平均支給額をご紹介しました。経団連によると、大手企業の冬ボーナス平均額が90万円台に上ったのは、過去3回だけということ。業種や個別の会社によってばらつきはあるものの、企業が業績をボーナスに反映し、賃金引き上げの勢いが維持されているようです。今後も、ボーナスが順調に上がっていくことを期待したいですね。