順天堂大学はこのほど、青年期にバスケットボールやバレーボールをしていた人は、高齢期(65~84歳)の骨密度が高くなる可能性を、研究により明らかにしたと発表した。
今回、同大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの大塚光大学院生(博士後期課程2年)、田端宏樹博士研究員、田村好史センター長補佐/先任准教授、河盛隆造センター長/特任教授、綿田裕孝副センター長/教授らの研究グループは、東京都文京区在住の高齢者1,596人を対象に、観察研究を実施。
同研究では、身体組成、血液検査、 DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いて大腿(だいたい)骨頸部(けいぶ)および腰椎の骨密度を評価。また、中学・高校生期に運動部活動に参加していたかどうか、参加していた人はどのようなスポーツ(部活動)に取り組んでいたかについても調べた。
具体的には、大腿骨頸部および腰椎の骨密度を従属変数とし、各スポーツ(運動部活動)の実施の有無および参加者の特徴(年齢、体重など)を独立変数として、青年期の運動種目と高齢期の骨密度との関連を重回帰分析を用いて解析した。
その結果、中学・高校生期にバスケットボールをしていた男女で高齢期の大腿骨頸部骨密度が高く、中学・高校生期にバレーボールをしていた女性では、高齢期の腰椎骨密度が高いことが示されたという。
今回の研究の興味深い点は、アスリートではない一般人であっても、中学・高校生期の運動経験で得られた骨利益が高齢期まで長期にわたって維持される可能性を示しているところだそう。これは、骨に大きな刺激が加わるスポーツを青年期に行うことで、長期的に骨の健康をもたらし、骨粗しょう症予防や転倒・骨折のリスク軽減など将来の健康につながる可能性を示唆しているという。
なお、運動強度、運動量、運動時間の詳細など、まだ不明な点が多く残されているため、今後もさらなる研究を進めていくとしている。
研究成果は「Frontiers in Physiology」のオンライン版(2023年10月12日付)で公開されている。