アンソニー・ホプキンスやマッツ・ミケルセンが演じた希代の連続殺人鬼、ハンニバル・レクター博士。作家のトマス・ハリスが生み出したこのキャラクターは、貴族の血を引き、高い知能とカリスマ性を有した精神科医でありながら、人を殺して食べることで「人食いハンニバル」とも呼ばれる唯一無二のキャラクターです。

1991年の『羊たちの沈黙』に登場したレクター博士は強烈な印象を残し、その後も彼をフィーチャーした映画やドラマが登場しました。本記事では、このレクター博士が登場する「ハンニバル」シリーズの映画について、見る順番を公開順と時系列含めてご紹介。ドラマとの違いも説明します。

「ハンニバル」シリーズを見る順番

「ハンニバル」シリーズを見る順番を理解するにあたり、まずはシリーズの公開順と時系列を把握しておきましょう。

映画「ハンニバル」シリーズの公開順は以下のとおりです。

「ハンニバル」シリーズの公開順

  1. 『羊たちの沈黙』(公開年:1991年)
  2. 『ハンニバル』(公開年:2001年)
  3. 『レッド・ドラゴン』(公開年:2002年)
  4. 『ハンニバル・ライジング』(公開年:2007年)

続いて時系列は以下のとおりです。

「ハンニバル」シリーズの時系列順

  1. 『ハンニバル・ライジング』(舞台設定:1944年~1952年)
  2. 『レッド・ドラゴン』(舞台設定:1980年~1983年)
  3. 『羊たちの沈黙』(舞台設定:1991年)
  4. 『ハンニバル』(舞台設定:2001年)

1991年に初公開された「ハンニバル」シリーズ。1作目の映画『羊たちの沈黙』では、レクター博士は精神科の病院に終身収容されている犯罪者でした。

第2作『ハンニバル』は、第1作の10年後を描いています。第3作となる『レッド・ドラゴン』で描かれているのは、第1作の約7年前。この第3作の冒頭では、レクター博士が病院に収容される原因となった猟奇殺人事件も登場します。

第4作の『ハンニバル・ライジング』は、ハンニバル・レクターの若き日を描いています。リトアニアの名門貴族の家に生まれた彼が、いかにして殺人者へと変貌していったのか。戦争で両親を亡くし、幼い妹・ミーシャと二人きりになったハンニバル。ハンニバル・レクターがなぜ妹・ミーシャにこだわり、クラリスにミーシャの面影を見たのか、その理由が明かされる前日譚となっています。

「ハンニバル」シリーズを見るおすすめの順番

公開順と時系列を踏まえたうえで、映画「ハンニバル」シリーズは公開された順に見ることをおすすめします。

このシリーズの魅力は、やはりアンソニー・ホプキンスが演じるハンニバル・レクター博士の底知れぬ恐ろしさです。歴史・芸術・音楽などに関する高い教養と、精神医学に関する深い知識、並外れた知能や洞察力を持ち、言葉で人を操るカリスマ性を有する殺人鬼、ハンニバル・レクター。

第1作『羊たちの沈黙』から第2作『ハンニバル』を連続して見ることで、彼の心の闇の深淵さと殺人者としての恐ろしさを強く感じられるはずです。また、第1作を見ておくことで、3作目の冒頭シーンの恐ろしさをより理解できるでしょう。

映画「ハンニバル」シリーズのあらすじ・キャスト一覧

ここからは、2023年時点で公開されている映画「ハンニバル」シリーズ4作品のあらすじやキャストを紹介します。

『羊たちの沈黙』

あらすじ

FBI訓練生のクラリス・スターリングは、ある連続猟奇殺人事件を解明するため、病院に収容されている元精神科医の殺人鬼、ハンニバル・レクター博士と面会することになる。クラリスはレクターからの示唆を受けながら、女性を殺して皮をはぐバッファロー・ビル事件の捜査を進めていくが……。

出演/ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン、テッド・レヴィン、アンソニー・ヒールド
監督/ジョナサン・デミ
公開年/1991年

おすすめ理由・見どころ

・「知的で残忍なレクター博士役のアンソニー・ホプキンスの名演技とクラリスを演じたジョディー・フォスターの可憐な愛らしさが印象に残る名作だと思います」(56歳男性)
・「レクター博士の言葉にはできないほどの怖さが印象的な映画だった。FBIとのやり取りは見る価値がある」(64歳女性)
・「スリリングな展開とジョディの聡明かつ妖艶な演技が印象に残ったから」(55歳男性)
・「ジョディ・フォスターの演技がすばらしく、見入ってしまいました」(53歳男性)
・「私が見た最初のハンニバルシリーズが『羊たちの沈黙』なので一番印象に残っています。怖いけどひかれるものがありました」(48歳女性)
・「初回作品で、ハンニバルの猟奇性がよかった」(48歳男性)
・「タイトルの意味を知ったとき、ずいぶんと意味深だったのが印象的でした」(46歳男性)
・「やはり第1作が一番カオスで混沌としている感じがしてよかったため」(30歳男性)
・「思ったより怖すぎず、レクター博士が魅力的だった。緊張感があって、目が離せない」(62歳女性)
・「アトラクションに乗っているようなハラハラ感があって今見ても古さを感じない」(43歳女性)
・「ジョディ・フォスターはみずみずしく、アンソニー・ホプキンスは不気味……。2人の対峙が際立っていて、ゾクゾクしっぱなしだった」(64歳男性)
・「一番陰湿で暗く美しいから」(42歳男性)

『ハンニバル』

あらすじ

バッファロー・ビル事件から10年。作戦の失敗でFBI捜査官として窮地に陥ったクラリスのもとに、レクター博士から手紙が届く。レクターに恨みを抱く大富豪のメイスン・ヴァージャーは、クラリスとレクターが接触すると考えて、司法省を利用してクラリスを捜査に復帰させる。クラリスはレクターがイタリアにいることを突き止めるが……。

出演/アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、レイ・リオッタ
監督/リドリー・スコット
公開年/2001年

おすすめ理由・見どころ

・「車椅子を突き落とす場面など、印象的なシーンがあった」(42歳男性)
・「猟奇的な映像が多く、正直見るのがつらい映画だった」(68歳男性)
・「レクター博士の知的さと残忍さが際立っていた」(48歳女性)
・「博士がしたたかでとても怖いイメージがあります」(40歳男性)
・「『羊たちの沈黙』から見ていたのでインパクトがすごかった」(54歳男性)
・「世界史が好きなので見始めた」(24歳女性)
・「もともと中世ヨーロッパ、特に北マケドニアあたりの歴史に興味があったから」(53歳男性)
・「怖さがよく出ているが、アメリカ映画の適当さも感じた」(50歳男性)
・「ハラハラするけど、続きを見て行きたくなったから」(53歳女性)
・「レクター博士の猟奇的なところがおもしろい」(45歳男性)

『レッド・ドラゴン』

あらすじ

かつてハンニバル・レクターを逮捕したウィル・グレアム。一度はFBIを引退していた彼だが、元上司のクロフォードの依頼で、連続一家殺人事件の捜査に協力することとなる。捜査に没頭するグレアムだが、なかなか真相にたどり着けない。やがてグレアムは助言を求めてレクター博士を訪ねることになる……。

出演/アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ハーヴェイ・カイテル
監督/ブレット・ラトナー
公開年/2002年

おすすめ理由・見どころ

・「エドワードノートンの情けない演技がよかった印象」(36歳男性)
・「スリリングな殺人事件がゾクゾクした」(70歳男性)
・「そこまで猟奇的ではなかったから。他の作品はもっとひどい」(41歳女性)
・「サスペンスの内容がとてもよかった。終盤が自分なりに盛り上がった」(69歳男性)
・「レイフ・ファインズの演技が恐ろしかった」(49歳女性)

『ハンニバル・ライジング』

あらすじ

1944年のリトアニア。戦火から逃れるため城から山小屋に避難した貴族のレクター家だが、戦闘に巻き込まれて、両親が命を落としてしまう。幼いハンニバル・レクターと妹のミーシャは、対独協力者である兵士たちに見つかり、飢えた彼らはミーシャを殺害し食料としてしまう。なんとか生き延びたハンニバルは、亡くなった叔父の妻だったレディ・ムラサキと暮らし始め、彼女から武道や日本の文化を身につけていく。やがて彼は医学の道に進み、解剖学を学ぶようになり……。

出演/ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、ケヴィン・マクキッド、ドミニク・ウェスト
監督/ピーター・ウェーバー
公開年/2007年

おすすめ理由・見どころ

・「ハンニバルシリーズの中で、この作品が一番おもしろいから」(56歳男性)
・「ハンニバルの過去が知れて人格形成がわかった」(43歳女性)
・「後年のレクター博士へとつながっていく数々の要素が散りばめられていておもしろかった」(49歳女性)

映画「ハンニバル」シリーズの人気作品ランキング

「ハンニバル」シリーズの映画4作品を対象とした人気ランキングは以下のようになりました。

1位『羊たちの沈黙』(61.2%)
2位『ハンニバル』(20.8%)
3位『レッド・ドラゴン』(8.2%)
3位『ハンニバル・ライジング』(8.2%)

ランキング1位となったのは、シリーズの原点でもある1991年のシリーズ第1作『羊たちの沈黙』です。この作品で初登場したレクター博士はまさに衝撃的で、「高い知能と優れた知識を有したサイコパス型殺人者」の底知れぬ恐ろしさを観客に強く印象付けてくれました。

映画「ハンニバル」シリーズの魅力とは

ここからは映画「ハンニバル」シリーズの魅力について詳しく解説していきます。

ハンニバル・レクターというキャラクター

「ハンニバル」シリーズの魅力を一言で表すとするならば「人食いハンニバル」ことハンニバル・レクターという人間の複雑さ、奥深さに尽きるのではないでしょうか。東欧の名門貴族出身であるハンニバル・レクターは、サイコパスの精神分析医で、人肉を食する猟奇殺人犯でもあります。

彼は人文・芸術・歴史・医学・物理学・数学などに関する深い知識を持ち、優雅で気品あふれる振る舞いと知的な会話、そしてそのカリスマ性で会う人を魅了していきます。そして、自身のシンパを身近に作っていきながら、そのシンパをも簡単に手にかけるのです。ひとたび殺人者としての本性を剥き出しにしたときの彼は、獣のような素早さで人を殺めます。そして、自らが殺した人間の臓器や肉を料理し、食すのです。

超越した人間か、獣か、それとも悪魔なのか……。恐ろしいがゆえに、その深淵をのぞいてみたくなる。ハンニバル・レクターとは、まさにそんな計り知れないキャラクターなのです。

アンソニー・ホプキンスの怪演

このハンニバル・レクターというキャラクターにさらなる魅力を与えたのは、アンソニー・ホプキンスをはじめとする俳優陣です。アンソニー・ホプキンスの演じる初老のレクター博士、マッツ・ミケルセンの演じる壮年時代のレクター博士、そしてギャスパー・ウリエル演じる若き日のハンニバル・レクター。彼らの演技からは、それぞれに狂気と知性、カリスマ性が感じられます。

しかし、このレクター博士というキャラクターの人気を不動のものとしたのは、やはり1991年に『羊たちの沈黙』でレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスでしょう。大多数の人間を侮るような表情を浮かべ尊大にふるまいつつ、一部の信頼に足ると感じた人間だけにかすかな愛情を向ける様子からは、レクター博士の高い自尊心と自己愛、そして複雑な精神性が感じられます。

アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士のもっとも大きな特徴は、ほとんどまばたきをしないということ。カッと目を見開き、すべてを見透かすような目でじっと相手を見つめる彼の表情は、なんとも言えず不気味なもの。クラリスならずとも、震え上がるような恐怖を感じるはずです。

レクター博士とクラリスの共鳴

『羊たちの沈黙』と『ハンニバル』の2作に登場し、レクター博士と共鳴し合うのが、女性FBI捜査官のクラリス・スターリングです。『羊たちの沈黙』ではジョディ・フォスター、『ハンニバル』ではジュリアン・ムーアがそれぞれクラリスを演じています。

一見強い女性に思えるクラリスですが、幼い頃に警官だった父親が殺され、預けられた牧場で子羊が殺されるのを見たことから、心の中にトラウマを抱えていました。そのトラウマや、自分の中にある抑圧された感情をレクター博士に見透かされた彼女は、やがて彼に少しずつ共鳴していきます。レクター博士も、クラリスの中に幼くして亡くなった妹・ミーシャの面影を見るようになり、彼女に独特の愛情を抱くようになるのです。2人の間には、いびつな愛情と、ゆがんだ師弟関係が結ばれていきます。

この微妙な関係を、言葉ではなく、表情やかすかな身じろぎなどの演技で表現したジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスは、そろってアカデミー賞を受賞しています。彼らの名演技が、この映画『羊たちの沈黙』を世紀の名作へと引き上げ、「ハンニバル」シリーズを不朽のものとしたとも言えるでしょう。

ドラマ版「ハンニバル」シリーズとは

2013~2015年には、舞台を現代に置き換えた新しいテレビシリーズ「ハンニバル」が始まり、シーズン3まで制作されました。

このドラマでハンニバル・レクターを演じるのは「北欧の至宝」ことマッツ・ミケルセンです。FBIは精神科医のハンニバル・レクターを捜査協力者として招き、殺人事件の捜査を始めます。しかし、実はハンニバル・レクターは連続殺人鬼で、一緒に捜査をしていくプロファイラーのウィル・グレアムは、だんだんと彼に共鳴するようになり……。

美食家であるレクター博士の人肉料理が多く登場するこのドラマ。マッツ・ミケルセンの美しい所作とカリスマ性を感じさせる魅力、そして細部にもこだわった美術や演出が光ります。まるで芸術品のように並ぶその人肉料理のように、恐ろしくも魅力的なドラマと言えるでしょう。

ドラマと映画で違いやつながりはあるのか

このドラマ版『ハンニバル』は、映画『レッド・ドラゴン』と同様に、トマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』を原作としています。映画と同様にウィル・グレアムが主人公で、ウィルはハンニバル・レクターが殺人鬼だと知らぬまま、殺人事件捜査の協力を持ちかけるのです。

他にも、映画版「ハンニバル」シリーズに登場するFBI行動科学課のジャック・クロフォードや精神科医のチルトン医師、映画『レッド・ドラゴン』に登場するメイスン・ヴァージャーやフランシス・ダラハイドも登場します。

映画版の舞台は1980年~1983年でしたが、ドラマの舞台は2013年となっています。このドラマは、現代を舞台に同じ原作をリブートした「別世界のハンニバル・レクターの物語」と言ってもいいでしょう。

「ハンニバル」シリーズを視聴できる動画配信サービス

「ハンニバル」シリーズを初めて見るという方や、「前に見たことはあるけれど見直してみたい」という方は、動画配信サービスで視聴するのがよいでしょう。

2024年10月時点で「ハンニバル」シリーズの映画やドラマが見られる主な動画配信サービスとしては以下があります。各サービスで、配信されている作品が少しずつ異なるので、注意しましょう。

Amazon・プライム・ビデオ

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Hulu

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HuluやU-NEXTを契約していれば、定額で全作品を見ることができます。Amazon・プライム・ビデオでは、時期によってはレンタルやチャンネル登録が必要です。

「ハンニバル」シリーズの見る順番を紹介しました

連続猟奇殺人鬼ハンニバル・レクターが巻き起こす事件や、彼に魅入られた人間たちのドラマを描く「ハンニバル」シリーズ。アンソニー・ホプキンス、マッツ・ミケルセンという演技力と魅力を合わせ持つ俳優が作り出したレクター博士は、カリスマ性のある知的なサイコパス殺人鬼を代表するキャラクターともなりました。ギャスパー・ウリエルが『ハンニバル・ライジング』で見せた若き日のハンニバル・レクターの美しさや危うさも見逃せません。

レクター博士がどんな犯罪者なのか、なぜ彼から目が離せなくなるのか――。その秘密を知りたい方は、ぜひ「ハンニバル」シリーズの映画やドラマを楽しんでみてください。

調査時期:2023年12月15日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:男女合計306人(男性: 231人、女性: 75人)
調査方法:インターネットログイン式アンケート

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