阪神・中野拓夢はプロ3年目の今季、全143試合にフルイニング出場して、164安打を放ち最多安打のタイトルを獲得し、守っても二塁手部門で10年連続ゴールデングラブ賞を受賞していた菊池涼介(広島)の牙城を崩してゴールデングラブ賞を手にした。
打撃面では開幕からコンスタントに安打を積み重ね、毎月25本以上の安打を放ち、5月(.313)と7月(.310)は月間打率3割を超えるアベレージ。好不調の波が少なく、3試合以上無安打だったのは、8月18日のDeNA戦から22日の中日戦にかけての4試合連続無安打のみだった。
▼ 中野の月別安打数
3・4月:26安打
5月:30安打
6月:25安打
7月:27安打
8月:29安打
9・10月:27安打
140試合で『2番打者』として出場した中野は今季打ってチャンスを広げるだけでなく、四球を選んで3番打者に繋げた。プロ入り2年間、21年が29四球、22年が18四球と四球が少ない打者だったが今季は、57個の四球を選んだ。犠打数もリーグトップタイの21犠打。打って、選んで、送って、なんでもできる“2番打者”だった。
守っても昨季までのショートから今季はセカンドにコンバート。開幕前にはWBC日本代表として出場し、この時もショートで出場することが多く、セカンドでの実戦を積む機会が少なく開幕を迎えたが、シーズンの失策数は9。セカンドのポジション1年目でゴールデングラブ賞にも輝いた。
走っても盗塁失敗数が12は反省材料だが、盗塁王の近本光司(阪神)に次ぐ20盗塁をマーク。成功率を高めることができれば、来季は1年目以来となる盗塁王にも期待が持てそうだ。
派手さはないが、チームには欠かせない存在。連覇を目指す来季も、今季以上の活躍に期待だ。