数千円程度の安価なものからApple Watchのような本格的なスマートウォッチまで、活動量計の機能を持つウェアラブルデバイスが近年普及しています。

そういったデバイスの多くは腕時計型・バンド型の手首に巻きつけて使用するタイプですが、すでに愛用している腕時計があるからバンド型は選びたくないなど、興味を持ちながらも食指が動かなかった方もいるのではないでしょうか。

そんな需要が認知されつつあるのか、ここ数年は手首に巻きつけるタイプではなく指にはめて使うスマートリングも登場し始めています。今回は「第3世代Oura Ring Horizon シルバー」(以下、Oura Ring)を試す機会をいただいたので、実際に1カ月ほど使ってみました。

  • Oura Ring 第3世代

「Oura Ring」は指輪型のスマート活動量計で、腕時計型・バンド型のデバイスと比べて睡眠や運動量など健康状態のトラッキングに特化している点が特徴です。

リングはチタン製で、皮膚に触れるリング内側に取り付けられているセンサーが心拍やその変動、血中酸素飽和度(SpO2)などを記録する仕組み。

記録自体は開始・終了を意識することなく自動で行われるため、この手の健康管理デバイスを初めて使う人であっても面倒臭さを感じることなく始められるのが便利です。

  • Oura Ring 第3世代

Oura Ring本体のほかに、充電用のクレードル、USB Type-Cケーブル、ドキュメント類が付属しています。

バッテリー持続時間は約7日間とこまめに充電する必要はありませんが、Oura Ringをクレードルに置くだけで充電できるようになっているのは充電へのハードルを下げるいい作りだと感じます。

  • Oura Ring 第3世代

購入前に注意すべき点としては、Oura Ringは腕時計型デバイスと違って購入後に自分に合ったサイズに調節できないこと。一般的な指輪とサイズ感が違っている可能性もあるため、装着したい指にどのサイズのOura Ringがフィットするのかを確認しておく必要があります。

国内代理店であるSoftBank SELECTIONで購入する場合は専用の「サイジングキット」が用意されているため、最適なサイズを確認したうえで購入できます。

サイジングキットの価格は2,000円ですが、購入時にはOura Ring購入に充てられる2,000円クーポンが付与されるため、サイズの確認は実質無料で行える形です。

  • 今回試したのは第3世代Oura Ring Horizonのシルバー

    今回試したのは第3世代Oura Ring Horizonのシルバー

個人的に感じているOura Ring最大の魅力は、なんといってもデザイン性の高さ。

今回紹介している最新のOura Ringにはリングの上部が平面になっている「Heritage」、シンプルな「Horizon」の2つのスタイルがラインナップされていて、加えてそれぞれのスタイルに4~6色のカラーバリエーションが用意されています。

今回はシンプルな「Horizon」のシルバーを試しましたが、腕時計型のデバイスと比べてもデザイン性が強く、どんなファッションにも合わせやすい点が良いなと感じました。

ただし、この手のスマートデバイスにしては価格が高いのは正直気になるところ。最も安価な「Heritage」のシルバーでも47,300円、最も高い「Horizon」のローズゴールドは84,800円と、購入するモデルによってはメジャーな腕時計型スマートデバイスよりも高くなってしまいます。

そもそも両者は装着感や測定できるデータにも違いがあるため値段だけで比べることは難しいですが、Oura Ringはスマートデバイスというよりも「ファッション性の高い指輪に各種トラッキング機能がついてる」という認識のほうが良いかもしれません。

実際に1ヶ月使ってみた。記録されたデータは?

  • 試用期間に計測されていたデータたち。睡眠時間と質が悪そうなのが分かります

    試用期間に計測されていたデータたち。睡眠時間と質が悪そうなのが分かります

実際にOura Ringを1ヶ月ほど試してみたメリットを簡単にまとめると「ここまで詳しいデータが分かりやすく計測されるのは便利」といったところ。

専用アプリケーションに用意されている「コンディション」「睡眠」「アクティビティ」というタブから計測されたデータにアクセスでき、各タブではそれぞれのより詳細なデータが数値・グラフで表示されます。

各項目は「良好」「適度」「注意」といったステータスや青字・赤字で分かりやすく分類されているため、健康管理に慣れていない人であってもひと目見るだけで自分の健康状態を把握できるようになっています。

  • 睡眠やそれに基づくコンディションを分かりやすい数値で確認できる

    睡眠やそれに基づくコンディションを分かりやすい数値で確認できる

「ホーム」タブなどからは各ジャンルのスコアやそれに応じたアドバイスにアクセスできるようになっていて、単に計測・記録するだけでなく、そのスコアをどう改善していくかまで確認できます。

個人的にもこれまでいろいろな活動量計を試してきましたが、アプリケーションの多くが「測定したデータの表示」に留まっていて、「どうしたら改善されるのか?」まで分からないことが常だったので、こうしたアクションの部分まで提示してくれるのはユーザー目線でも嬉しいところ。

  • iOSの場合はヘルスケアアプリから運動記録をインポートすることもできる

    iOSの場合はヘルスケアアプリから運動記録をインポートすることもできる

Apple Watchなどと同様に、徒歩やサイクリングなどを自動で検知してくれる機能が搭載されているのも、継続的な記録という観点ではありがたいです。

ちょっとした近所の散歩や通勤など「いちいち記録するのは面倒」と感じがちなワークアウトを記録して、それらがどう健康に影響するかを先のアクティビティ・コンディションの画面で示してくれるため、アプリを見るだけでおおまかな健康状態が把握できるようになります。

ちなみにAppleの「ヘルスケア」アプリですでにデータを収集している場合、「ヘルスケアのデータをOuraアプリに反映」「Oura Ringで測定したデータをヘルスケアに反映」させる設定も可能です。

計測から行動がしやすくなる。問題はサブスク価格に見合うかどうか

  • Oura Ring 第3世代

こんな感じで約1カ月のあいだOura Ringを試してきましたが、もちろんメリットだけではなく、これではちょっと不便だよな……と感じてしまうポイントもありました。それが「記録したデータの閲覧には月額のメンバーシップ加入が必要」という、事実上のサブスクリプションモデルであること。

一般的なスマートウォッチ・スマート活動量計であれば、ほとんどの場合一度デバイスを購入すれば記録済みデータの閲覧はし放題ですし、仮にメンバーシップ加入が必要であっても簡易的なデータ閲覧はできるというのが常。

しかしOura Ringの場合、初回登録特典である1カ月間のメンバーシップ期間を過ぎてしまうと、以降確認できるようになるのはアプリを起動しているその日の「コンディション」「睡眠」「アクティビティ」のデイリースコアのみ。

過去にさかのぼってスコアを確認したり詳細なデータを閲覧することはできないため、基本的には月額約1,000円の有料メンバーシップへの加入が必須といえます。

  • 有料メンバーシップに加入していないとアプリ上で細かな記録が閲覧できなくなる

    有料メンバーシップに加入していないとアプリ上で細かな記録が閲覧できなくなる

本体価格に加えて毎月約1,000円のメンバーシップがほぼ必須となると、一般的なスマートウォッチ・スマート活動量計で十分だと考える人がいても仕方ないなと感じてしまうのは正直なところです。

とはいえ、指輪という極めてコンパクトなデバイスで日々の活動を測定・記録して自分の健康に生かすことができるのは他のデバイスにはないユニークなポイント。

指輪であれば自分のお気に入りの腕時計と組み合わせて使うことも容易ですし、先に触れたようにOura Ring自体をファッションアイテムとして活かすなど、スマートウォッチでは得られない体験ができるのはOura Ringを選ぶメリットの1つでしょう。

継続的にコストがかかってしまう点とOura Ringならではのメリットを天秤にかけて、自分にフィットしそうだと判断した人はぜひチェックしてみてください。